| ホンダ・シビック・タイプRについて思うことがある |
ふと思うことがあるのですが、それは「なぜ日本のハイパフォーマンスカーはこんなに見た目がゴテゴテしているのか」ということ。
たとえばホンダ・シビック・タイプRですが、この車はもう色々な付加物が取り付けられていて、これはこれでイケてるとは思うのですが、ちょっと「行き過ぎ」感も。
シビック・タイプRの価格は乗り出しだと切り詰めて500万円くらいなので、購入者層はそれなりに年齢が高い人々になりそうですが、それを考えるとデザイン的な「若作り感」が出すぎなんじゃないかと思うわけですね。
そしてオッサンがシビック・タイプRに乗っていると、側からそれを見た人はまず「いい歳こいて」とか「車に人生全てを突っ込んでる道楽者」といった印象を抱くことになると推測でき、そう考えると「もうちょっと外観をシックにした方が良かったのでは」と考えたりします。
シビック・タイプRのライバルはどんなルックスなのか
そこでシビック・タイプRのライバル達ですが、先代同士が「ニュルブルクリンク最速」を競ったルノー・メガーヌR.S.はこんな感じ。
付加物というよりはフェンダーの張り出しなど、全体的な雰囲気で「ハードコアモデル」ということを押し出しているようにも思います。
これならオッサンが日曜日の朝に峠を走っていても「今日は趣味の車の日なんだな」とまわりに受け止められそう。
そしてやはりニュルブルクリンク最速を競ったフォルクスワーゲン・ゴルフGTI(クラブスポーツ)。
こちらはボディ形状も標準のゴルフと同じで、見た目は(レッドのラインがなければ)相当に地味。
やっぱりオッサンが乗っても「若作りして・・・」と言われることはないのかもしれません。
欧州のスポーツカーは「派手」であっても若作り感はない
そしてもう一つ思うのが、欧州のスポーツカーはたとえ派手なルックスを持っていたとしても、「若作りしている」という印象を受けない、ということ。
たとえばアルピーヌA110はその最たる例で、これは「若者のクルマ」というよりは「オッサンのクルマ」という感じですね。
そしてスーパーカーであってもそれは同じで、フェラーリ488のハードコアモデル、488ピスタであってもナイスミドルこそ似合いそう。
こうやって考えると、日本と欧州のスポーツカーのデザインは大きく異なり、同じように派手ではあっても「何かが違う」ということになりそうです。
ただしそれは「お国柄」と言い換えることもでき、日本のスポーツカーが欧州のようなデザインを目指して「ゴテゴテ」をやめてしまうと、それはそれでアイデンテティを失うことにもなりかねず、逆に競争力を損なうことにもなってしまうので、日本のスポーツカーは今の路線で「正解」なのだろう、とも思います。
そういえば腕時計も同じだった
そしていつも腕時計について思うのが「日本と欧州の腕時計メーカーでは、そのデザインが異なる」ということ。
とりわけ高機能(”高級”という意味ではない)型腕時計について差が出るようですが、たとえば日本のメーカーが考える「高機能腕時計」はこんな感じ。
左からセイコー・アストロン、シチズン・プロマスター、カシオG-SHOCK(MR-G)で、どれもデザインがゴチャっとしていることがわかりますね。
なお、シチズンは「一つのボタンに一つの機能」を割り当てることで操作性を向上させるというポリシーを持っており、かつ情報は同時に表示させるという主義を貫いています。
そして欧米の高機能腕時計はこんな感じ。
左からアップルウォッチ、スント・エレメンタム、IWCパイロットウォッチ。
それぞれに様々な計測機能があり、日本の腕時計にまさるとも劣らない機能を持っているものの、アップルウォッチやスント・エレメンタムは非常にシンプル。
これらはダイヤル(アップルウォッチはデジタルクラウン)に複数の機能を持たせ、BMWやアウディのインフォテイメントシステムに採用されるようなロータリーコマンダーのような機能を持っていて、回転させることで様々な画面を呼び出せるようになっています。
ちょうどシチズンが「一つのボタンに一つの機能」と考えているのとは逆に、「一つのボタンに複数の機能(や操作方法)」を持たせているわけですね。
こういった例を見ると、日本の製品は高機能になればなるほど「なにかをアドオン」する傾向にあり、その機能を視覚化する傾向にあるようです。
逆に欧米の製品は高機能製品であっても見た目が「機能の分だけ」複雑になるとは限らず、むしろシンプルになる場合があり、これはスポーツカーにもおなじようなことが当てはまるのかもしれません。