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ターボエンジンはいかに?さらに乗りやすくなったフェラーリ・カリフォルニアTに試乗

2015/07/12

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2014年2月に発表された、フェラーリ・カリフォルニア「T」。
もちろん”T”はターボのTで、それまでの4.3リッターV8に替えて搭載された3.8リッターV8ターボが大きな特徴。
馬力は482PSから552PSへと向上しています。

※こちらは前期型カリフォルニア。
並べないとわからない部分も多いですが、フロントフェンダーは差異のあるところ

なおフェラーリがターボ車を発売するのはF40以来、とのこと。
ルックスは「カリフォルニア」に準じますが、ヘッドライトほか細部が変更に。
テールランプ内側のフィンがタービン形状になっているなど、やたらと手の込んだ作りもカリフォルニアの特徴ですね。

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※こちらは前期型のテールランプ。レンズの色やレイアウトが若干異なります

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カリフォルニアはおよそ6年前の2008年に登場しましたが、フェラーリオーナーの「2台目以降」、もしくは新規顧客の獲得を目指して投入されたもので、実際のところカリフォルニアの70%がフェラーリオーナー以外と言われます。

フェラーリが「他からオーナーを呼びこむ」にあたり当時注力したのは、おそらく質感の向上と見られ、たとえばマフラーエンドの処理や、その周辺およびグリルのパンチングメタルも当時の他のフェラーリ(430など)とは大きく異なり、「高級車に近い」ものでした。
ぼくがまず(当時)カリフォルニアに抱いたのは「フェラーリなのに(失礼。ただし当時のことなので今と品質が多少異なる)質感が高い」ということで、今までのフェラーリにはない高品質なつくりに驚いたものです。

そして今ぼくの目の前にあるのはその最新モデルであり、これはもう見るからに高級車、という感じ。
V8ミドシップモデルがよりスポーツ性を高めるのに対し、カリフォルニアは高級感を強める路線を走っているように思います。

フェラーリに乗りたいが神経質な車は困る、モノが乗らないのは困る、という人もけっこう多かったようで、そこがカリフォルニアの「受けた」要因と思われ、それをさらに強化している感じですね。

その意味では旧来のフェラーリファンとは異なる人が買っており、ポルシェでは「ボクスター」登場初期のような感じなのかもしれません(いろいろな意味で)。

実際のところ、ぼくはV8ミドシップ系(458や488GTB)よりもカリフォルニアに興味を感じるのですが、V8ミドシップの客層とカリフォルニアの客層はかなり異なるのでしょうね。

フェラーリ・カリフォルニアTのパフォーマンスについて、0-100キロ加速は3.6秒、最高時速は316キロ。
488GTBに比べると劣るように見えますが、この数値は加速、最高速ともにランボルギーニ・ガヤルド並で、フェラーリ内では劣って見えても、実際には相当な高性能です。

車体サイズは全長4570ミリ、幅1910ミリ、高さ1322ミリ、と意外とコンパクト(高さがあるせいか大きく見える)で重量は1625キロ。
トランスミッションは7速DCT、価格は2450万円。

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さて、車に乗り込んで早速試乗開始。
まず気づくのは非常に囲まれ感が強いこと。
458系よりも、F12ベルリネッタよりもずいぶん低い位置に座っているように思いますが、これはベルトラインが高いせいでだと思われます(実際のところ全高はカリフォルニアのほうが高い)。

オープン走行を前提としているのか、そしてそのために安心感を出すことを目的に囲まれ感を強めているのかもしれません。
よってF12ベルリネッタや458系に比べても斜め後方の視界はあまり優れず、ドアミラーでの後方確認が重要になってきます。

そのためしっかりとドライビングポジションとミラーの調整を行い、いざ発進。
なおエンジンの始動は他フェラーリのモデルと同じく、キーを差し込んでひねり、ブレーキペダルを踏んでステアリング上のスタートボタンをプッシュ。
このあたりカリフォルニアやFFは他のフェラーリとちょっと性格が異なるので別の方法を採用したり、ステアリングももうちょっと高級車っぽいもののほうが良いのではと考えたりしましたが、フェラーリを購入するという行為において、この共通性は既存フェラーリオーナーであっても新規フェラーリオーナーであっても重要なのだろう、と思い直します(他部分はけっこう差異があるのに、ここを共通としているのは、当然意図があると考えるのが自然)。

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他のフェラーリ同様にクリープはなく、アクセルを踏んで車をスタートさせますが、ここで気づくのは他モデルよりも軽くアクセルを踏んだだけで発進する、ということ。
これは意図的なものか、もしくはターボ化でトルクが太くなったのかは不明。
ただし排気音もかなり大人しくなっていて、そう考えると「よりマイルドに」セッティングしており、より軽い操作で動かせるようにしている、とも考えられます。

実際に動き出すとターボを意識させられる(ターボラグ)ことはないものの、常用回転域が非常に低くなっていることがわかります。
そのため非常に扱いやすく、ターボ化によるデメリットはまず感じられずにメリットが強調されてるんじゃないか、と感じます。
当然フェラーリがターボ化するにあたって最初に考えたのは「レスポンス」だと思われ、そしてフェラーリが満を持して登場させた車なので、デメリットが体感できるレベルにはないのは当然ですね。
※カリフォルニアTはギアによってブースト圧を変更しNA風のフィーリングを出している

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高速道路に入りフル加速を試みますが、サスペンションが柔らかいため比較的ノーズリフトの傾向が強いようです。
オープンにして走りましたが、フェンスに囲まれた高速道路でもさほど排気音は聞こえないので、クローズにするとかなり室内は静かなのかもしれません。
なお、オープンでそれなりの速度を出すとロードノイズはかなりのものになりますが、風の巻き込みや風切り音はかなり小さいですね。
これは今まで数台のオープンカーを乗り継ぎ、そしてオープン専用設計のボクスターを2台乗った経験から見ても非常に優れていると言って良いでしょう。

排気音がもしかするとターボ化で一番変わったところかもしれず、乾いた高音ではなく、ちょっとくぐもった重低音になっています(水の中で音を聞いているような感じ)。
これは488GTBのプロモーションビデオでもわかるところで、ターボ化による顕著な変化と言えますね。

足回りについては確かではありませんが、けっこう柔らかくなっているように感じます。
ただしロールが大きいわけではなく、安定感は抜群。
ステアリングは458系に比べると40%スローになっているとされますが、これも気づかないレベルなので、足回りとステリングとのバランスが優れているのだと思います。

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ぼくは足回りとステアリングとの関連性は重要と考えていて、どちらかの反応がもう一方より早くても遅くても違和感が出ると考えており、その意味ではカリフォルニアのセッティングは白眉と言えますね。

見た目の通りカリフォルニアTは乗り味についても高級感を増しており、これも上述の通りフェラーリのモデル展開拡大によって可能になったことだと思われます。

おそらく以前のカリフォルニアだと買おうとは思わない人も、カリフォル二アTであれば食指が動くと思われ、かなり懐の深いモデルに仕上がっていると感じました。

見たところ最低地上高もけっこうあるようで、まずどのようなところにも(悪路でない限り)乗って行くことができそうです。
極小ながらもリアシートもありますし、日常性は非常に高いと言えますね。

これほど手軽にフェラーリの雰囲気、ブランド、パフォーマンスを楽しめるモデルも他にないと思われ、ぼくにかぎって言えば、ランボルギーニ・ウラカンをフェラーリのいずれかのモデルに入れ替えるのは難しいものの、できることならばカリフォルニアを増車したい、と思わせる魅力があります。
その意味では、カリフォルニアはやはり今までのフェラーリとは異なる魅力、異なる方向性を持っており、確実にフェラーリの利益に貢献するモデルなのでしょうね。

F12ベルリネッタの試乗の際にも触れましたが、「実はすごいことを、すごいと感じさせない」のが現代のフェラーリであり、カリフォル二アTはその際たる例かもしれません。
何も気を使わずに最高レベルのパフォーマンスを堪能でき、アクセルとステアリング操作だけに集中していれば、たいていのことには気を使わずにただ純粋に「楽しめる」わけです。

ちなみに試乗車は右ハンドル。
右ハンドルを用意するあたりも、やはりセカンドカー需要や日常使いでの需要を見込んでいると思われます。
ペダルの配置についてとくに違和感は感じませんでしたが、アクセルペダルとブレーキペダルがやや近く、高さの差を感じることがあるためペダルの踏み換えに戸惑うことがありました。
もしかするとこれは右ハンドル化の影響かもしれませんが、実際に確認しておらず推測の域は出ていません。

なおこちらは前期と後期とのリアエンドの比較。
前期型はテールパイプが縦に、後期型(カリフォルニアT)ではテールパイプが横並びになっています。

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ヘッドライトについては上が前期、下が後期。けっこう変化がありますね。

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なお、フェラーリ・カリフォルニアの前期モデルの試乗記はこちらにUPしています。

これまでの試乗レポートは下記のとおり。
最新の試乗レポートはこちらにあります。

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