| やはりフェラーリがエンジンにかける情熱は異常である |
伝統のV12を守るための「狂気」とも言える新発明
フェラーリの代名詞といえば「官能的なV12エンジン」ということに誰しも異論はないかと思いますが、排ガス規制が強まる現代において、その存続が絶望視されているのも一つの事実です。
そんな中、フェラーリが米国特許商標庁(USPTO)に申請した内容が世界を震撼させており、それは、「2つの独立した直列6気筒エンジンを組み合わせ、発電専用として使用する」という、これまでのハイブリッドの概念を粉砕するEREV(レンジエクステンダー)システムです。

この記事の要約:
- 前代未聞の構造: 2基の直6エンジンを上から見て「V字」になるよう配置
- 発電特化型ハイブリッド: エンジンは駆動せず、発電のみを行うシリーズハイブリッド方式
- 音への執念: 2基のエンジンの爆発タイミングをずらし、理想の「フェラーリ・ノート」を創出
- 超小型設計: 1.5Lクラスの小型エンジン2基でミッドシップのバランスを最適化
なぜ「2つのエンジン」をV型に並べるのか?
このシステムの最大の特徴は、2基の直列6気筒エンジンがクランクシャフトを共有せず、物理的に独立している点にあり・・・。
「V字」の概念が変わる配置
通常のV型エンジンは、正面あるいは真後ろから見てピストンがV字に動きますが、フェラーリの新特許では「真上から見てV字」にエンジンを配置します。
実際にこの特許が実用化されるかどうかはわからないものの、実現すれば「このエンジン形式を何と呼ぶんだろうな」と気になったりするわけですね。

- 逆向き配置: 前向きのエンジンと後ろ向きのエンジンを組み合わせ、スペースを奪い合うジェネレーター(発電機)を効率よく収める
- 排気管での結合: 2つのエンジンをつなぐのは唯一「排気管」のみ。バルブで排気を制御し、片方のみの稼働時でも理想的な排気効率と触媒温度を維持する
なお、フェラーリはこれまでにも「3気筒2ストローク」など奇抜なエンジンを施策したほか、エンジンを上下逆に搭載する特許を出願するなど「奇抜な」手法を恒常的に試しており、よって今回の「1つの車体に直6エンジンを2期搭載する」という考え方も「まだ理解できる」範疇なのかもしれません。
-
-
フェラーリは過去に「2気筒」「3気筒2スト+スーパーチャージャー」「V12ツインスーパーチャージャー」などの変わったエンジンを開発していた。その背景とは
| フェラーリはとにかく「エンジン中心」でやってきた会社であった | ある意味、これだけチャレンジングな会社もないであろう さて、フェラーリはかつてその創業者であるエンツォ・フェラーリの「エンジンが強 ...
続きを見る
「音」を自在にコントロールする
そしてこのエンジン配列につき、フェラーリが最もこだわったのが「サウンド」。
特許には、2基のエンジンの位相(爆発タイミング)を電子制御で変更する技術が記されおり・・・。
- 同位相: 強烈なパンチのあるサウンド。
- 逆位相: 異なる周波数を組み合わせた複雑で官能的な響き。これにより、EV走行に近いEREVでありながら、アクセルを踏み込んだ瞬間に「あのV12サウンド」を完璧に再現しようとしている

フェラーリ新型V12(EREV)暫定スペックと構造
特許情報から推測される、このシステムの革新的な構成をまとめてみると以下の通り。
| 項目 | 特徴・詳細 |
| 形式 | 直列6気筒 × 2基(発電専用) |
| 配置レイアウト | ミッドシップ(ドライバーと後輪の間) |
| V字角度 | 20度 〜 30度(最大45度まで検討) |
| 駆動方式 | 電気モーターによる全輪駆動(シリーズハイブリッド) |
| 推定排気量 | 合計3.0L 〜 4.0L(1.5L × 2など小型化を想定) |
| メリット | 排ガス規制対応、理想の重量配分、自由自在な音響制御 |
-
-
【フェラーリの魂】聖地マラネロで生まれるV12エンジンの製造工程:職人技と最高回転数9500rpmの秘密とは【動画】
| ポルシェ、ランボルギーニに続き「フェラーリ」の製造工程 | フェラーリは「人」によって形作られる 「V12」― この響きは、単なるエンジンの形式を示す言葉ではなく、それはフェラーリというブランドの ...
続きを見る
市場での位置付けと「フェラーリのプライド」
このシステムはライバルたちへの強烈な回答となり・・・。
- ランボルギーニとの違い: ランボルギーニが「レヴエルト」でV12エンジンを直接駆動に使うプラグインハイブリッドを選んだのに対し、フェラーリは「エンジンを楽器と発電機に徹じさせる」という”よりデジタルかつ大胆な”道を選択
- 技術的ルーツ: フェラーリは創業当時(1.5LのコロンボV12など)、小型エンジンで高出力を出すことに長けており、今回の「小型直6×2」という発想はある意味でブランドの原点回帰とも言えるもの

新しい知見:なぜ直6なのか?
直列6気筒は「完全バランス」と呼ばれ、振動が極めて少ない形式として知られます。
これを2基使うこと いよって発電時の不快な振動を抑えつつ、高回転まで回した時の滑らかな音質を担保できることとなりますが、フェラーリは「効率」ではなく「エモーション」のためにこの複雑な構造を選んだというわけですね。
-
-
直列6気筒は本当にV型6気筒より優れているのか?であればなぜ直6搭載車が減ってきているのか?直6とV6との違い、そのメリットやデメリットとは
BMW | 直6にこだわる自動車メーカーも少なくはないが | 直列6気筒はなぜ「優れている」と言われるのか? 直列6気筒(i6)は、特に欧州メーカーや日本車ファンの間で「V6よりも優秀」と語られること ...
続きを見る
5結論:V12の咆哮は、カタチを変えて生き残る
「V12は死んだ」と言われ続けてきた自動車業界において、フェラーリが提示した答えはぼくらの想像を遥かに超えるもの。
2基のエンジンを「音」と「電気」のためにV字に並べる。一見すると非効率で複雑なこのシステムこそ「どんな時代になってもフェラーリはフェラーリであり続ける」という、彼らの狂気じみたプライドの証明なのかもしれません。
-
-
フェラーリとV12エンジンとの歩みを見てみよう。初期の「コロンボ」「ランプレディ」エンジンから現在のF140系に至るまで、そしてその特徴とは
| フェラーリは小排気量V12エンジンを搭載しはじめてル・マンで優勝した自動車メーカーである | フェラーリはこれまでにも様々なV12エンジンを開発している さて、フェラーリの歴史を語る上で外せないの ...
続きを見る
合わせて読みたい、フェラーリ関連投稿
-
-
次世代V12エンジンへ向けての革命?フェラーリが楕円ピストンを採用したコンパクトなV12エンジンに関する特許を出願、512BBやテスタロッサのような「V12ミドシップ」復活に期待
| フェラーリは「法的に許されるかぎり」V12エンジンを作り続けることを明言している | 「楕円ピストン」は技術的な制約も少なくはなく、しかし現代のテクノロジーを使用すれば実用化も「難しくはない」のか ...
続きを見る
-
-
フェラーリのV12愛はまだまだ続く。自然吸気エンジンのトルク曲線を「なだらか」にする特許技術が出願される
| フェラーリはなによりもV12、そして自然吸気のままのV12エンジンを愛している | この記事のハイライト V12を「なだらか」に: フェラーリが、自然吸気(NA)V12エンジンのトルク曲線の不均一 ...
続きを見る
-
-
重力に逆らう?フェラーリが「逆さま水素エンジン」の特許をさらに推し進めて開発:注油停止の衝撃メカニズムとは
| フェラーリが「逆さま水素エンジン」の難題を解決。点火直前に注油を止める驚愕のメカニズムを特許出願 | フェラーリはそこまでして「水素」エンジンの実用化を考えている? 長年にわたり、フェラーリはV型 ...
続きを見る
参照:CARBUZZ











