しかも意外とカッコイイ
フランコ・スクリバンテ・レーシング(Franco Scribante Racing)が日産R35 GT-Rのヒルクライム・レーシングカーを公開。
ヒルクライムというと「パイクスピーク」が有名ですが、今回このGT-Rが参戦するのは南アフリカで開催される”ジャガー・シモーラ・ヒルクライム(Jaguar Simola Hillclimb)”。
画像を見ると、GT-Rのフロントには上下二段に巨大なウイングが取り付けられ、一見してどちらが前なのか後ろなのかわからない状態ですね。
その仕上げはレーシングカーというよりショーカーレベル
なお、ここまでのウイングが必要なのは当然「ダウンフォースが必要だから」。
超高速にて連続するカーブを曲がるためにはメカニカルグリップや、4WDによる駆動力では不十分であり、強力なダウンフォースが不可欠ということになりますが、これはつまり「この巨大なウイングによって発生するダウンフォースに食われないほどのパワーが出ている」ということになりますね。
一般にレーシングカーだと800~1000キロくらいのダウンフォースを発生し、そうなると当然「それくらいの重さでクルマを地面に押し付ける」ことになりますが、このダウンフォースが強すぎるとクルマは思ったように高速域で加速できない、ということにもなりかねません(ダウンフォースは速度に応じて強くなるので、低速時だと加速力をさほど食うことはない)。
よってダウンフォースの強化はまず一定の速度を出せる「パワーありき」ということになりますが、このGT-Rはどれくらいのダウンフォースを発生するのか興味のあるところです。
ちなみにメルセデスAMG GT ONEのダウンフォースは700キロ、マクラーレン・セナは800キロ、セナGTRは1000キロ、ブラバムBT62は1200キロ、アストンマーティン・ヴァルキリーは1800キロ。
タイヤはレース用、そしてエキゾーストパイプは「サイド出し」。
リアウイングもフロントに負けず劣らず巨大ですが、それらに比較するとリアディフューザーは意外と「地味」。
マットブラックのボディカラーがより一層その凄みを引き立てるかのよう。
フロントフェンダーやドアパネルも改造され、ホイールハウス内のエアを抜いたり、エンジンルームからの熱を逃す作りを持っているようですね。
そしてここまでの魔改造っぷりなのにボディのグラフィックやアクセントがけっこうオシャレ。
かつ、各部の加工品質も高く、ショーカーとしても十分に通用しそうなレベルです。
インテリアはこう。
内装パネルの多くは外されており、むき出しだったりカーボンファイバーに置き換えられたり。
ステアリングホイールには相当数の調整スイッチがあり、パドルはカーボン製の「一枚板」とされるなど、まさに質実剛健といったところです。
エンジンルームも美しく仕上げられ、SEMAに展示されるカスタムカーのようですね。
こちらは昨年のジャガー・シモーラ・ヒルクライムの様子ですが、悪魔のような改造車からカートのようなクルマ、ラリーカーなど「なんでもアリ」な状態。
ただし、今回のGT-Rほどにダウンフォースを追求したクルマは一台もなく、パフォーマンスはもちろん、エアロパッケージという意味でも、今年の競技において大きな旋風を巻き起こすことになりそうです。