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日産が「中国の開発技術を学び」、次期スカイラインを従来の半分の期間となる「26ヶ月」で開発。完璧主義を捨てて優先順位を明確化する手法とは

日産キックスのステアリングホイール
Life in the FAST LANE.

| 日産の開発改革と「中国のビジネスモデル」追随の衝撃 |

まさか中国の自動車業界が「ベンチマーク」となる日が来ようとは

自動車業界で激化する開発スピード競争の中、日産自動車(以下、日産)が大きな力強い一歩を踏み出すことに。

これまで新車の開発に約4〜5年(50ヶ月〜55ヶ月)を費やしていた同社が、中国の競合他社からノウハウを学び、次期スカイラインの開発期間をわずか「26ヶ月(約2年2ヶ月)」にまで短縮することに成功したと報じられ、激変する市場環境と熾烈なグローバル競争を生き残るため、日産がどのようにして従来のクルマづくりを根本から変革したのか、その全貌について見てみましょう。

この記事の要約

  • 次期スカイラインの開発期間を「26ヶ月」に激縮:従来の約半分の期間で新型車を開発。完全新規モデル全体でも50ヶ月から37ヶ月、派生モデルは30ヶ月へ短縮。
  • 中国企業のスピード感とAI・デジタルツインの融合:完璧主義を捨て「優先順位」を明確化。仮想空間での開発(デジタルツイン/AI)や夜間の自動運転テストをフル活用。
  • 開発体制・組織構造の一新:意思決定のバッティングを防ぐためプログラムディレクター主導体制へ移行し、迅速な意思決定を実現。
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日産が推し進める開発期間短縮の「数字と目標」

日産は近年、厳しい経営状況に直面してきましたが、新車の開発スピードを劇的に早めることで反転攻勢を狙っています。

同社の常務執行役員である山口一幸氏をはじめとする経営陣は「より迅速に新製品を市場に投入できなければ、生き残ることはできない」という強い危機感を表明しており、今回の開発改革により達成された主な開発期間の短縮データは以下の通り。

開発タイプ従来の開発期間新しい開発期間短縮率・短縮期間
完全新規モデル50ヶ月37ヶ月約26%短縮
派生・改良モデル50ヶ月(従来の基準)30ヶ月約40%短縮
次期スカイライン55ヶ月(前世代基準)26ヶ月約53%短縮(半分以下)
日産スカイラインのティーザー画像

なぜ開発期間を短縮できたのか?日産が取り入れた「中国式」と3つの改革

中国の自動車メーカー(BYDや新興EVブランド等)は18〜24ヶ月という驚異的なスピードで新型車を開発・市場投入していますが、日産はこのスピード感に着目し、従来の開発プロセスをゼロベースで見直すこととなり・・・。

1. 「完璧主義」からの脱却とハードポイントの共通化

過去の日産は、あらゆる領域で「完璧」を追求するあまり企画やデザインの選定段階で議論が長引く傾向があり、しかし新しい手法では、その車両で最も重要視すべき「強みや個性」に優先順位を絞り込むこととし、またデザイン案を複数作って長時間かけて選ぶこともやめ、共通のハードポイント(車体骨格の固定点)を持つ「ファミリー」単位でデザイン・設計を行うことで大幅な時間短縮を実現することに。

なお、中国では新型車の「旬」が極端に短くなっていることから「とにかくライバルよりも先に発売する」「発売後、売れ行きが鈍ったら派生モデルやフェイスリフトによって活性化を図る」必要があり、そもそも発売までに時間をかけていては、「発売した頃には時代遅れになっている」ということになるのかも。

そして日産が「開発期間の短縮」を狙うのは、「コスト」よりも「販売機会」を優先しているからだと考えられ、ビジネスのスピードを早めるという狙いがあるのでしょうね。

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2. AI・デジタルツイン・VRの高度な活用

実車の試作モデル(プロトタイプ)を作成して走行テストを何度も繰り返す従来の手法を改め、AIによるモデリングや「デジタルツイン(仮想空間への実車再現)」、VR技術を積極的に導入し、実車を作らずとも仮想空間で高い精度での評価・テストが可能となり、開発初期段階の試行錯誤を高速化させている、とのこと。

さらに、先進的な自動運転技術を活用することで、夜間でもエンジニアなしでテスト車両を稼働させる仕組みを構築しているとされ、これらもまた各社が取り入れている手法でもありますね。

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3. 組織の簡素化と意思決定の一本化

これまではモデルごとに「プログラムディレクター」「プロダクトプランニングマネージャー」「チーフ車両エンジニア」がそれぞれ存在し、意見の食い違いが開発の遅れに繋がっていたといい、しかし新体制では「プログラムディレクター」が明確なリーダーシップを取り、チーフ車両エンジニアは目標達成に集中する構造へと一元化され、無駄な社内調整の時間がカットされることに。

つまり「船頭多くて」という問題を解決するものだと考えてよく、これは人員の削減にも直結するのかもしれません。

競合比較と市場での位置付け:中国のスピードにどこまで迫れるか

開発期間を26ヶ月まで縮めた日産ですが、いまだ「18〜24ヶ月」で新型車を繰り出す中国の競合勢にはまだ完全には届いておらず、山口氏はAuto Newsの取材に対し、この差は「労働文化の違い」も一因であると分析しています。

24時間体制に近い形で猛烈に開発を進める中国の労働環境をそのまま日本に適用することは不可能なため、日産はデジタル化やAI技術の省力化によって効率の限界に挑んでいる、ということに。

しかし、日産が中国市場での合弁事業(東風汽車との取り組みなど)で培ったノウハウを日本やグローバル開発へフィードバックし始めたことは、大手伝統メーカー(レガシーメーカー)にとって非常に大きな転換点であるとも考えられ、すでにフォルクスワーゲンはじめいくつかの自動車メーカーが「中国スタイル」を参考にしはじめているものの、ある意味では中国方式がこれからの「スタンダード」になる可能性も考えられます。※ただ、VWは基本的に「中国スタイル」で開発するのは中国内で販売するクルマに留める意向であるのに対し、日産はグローバルモデルにこれを適用することになる

新型日産エルグランドのインテリア〜フロントウインドウ
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VWが新車の開発期間を54ヶ月から36ヶ月に短縮。「中国の競合に勝つにはそれしかない。いくつかの路上テストを廃止し、冬季テストも2〜3回から1回に減らす」
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関連情報:次期スカイライン(V38型)への期待と今後の日産

開発スピード改革の「象徴(ファーストモデル)」として選ばれたのが日本が誇る名車「スカイライン」。

次期スカイラインは、新技術やAIを駆使しながらも、丸型4灯テールランプなど伝統のヘリテージデザインをリスペクトしたスポーツセダンとして開発が進められており、北米市場などではインフィニティ(Infiniti)ブランドの高性能V6セダンとして展開される見通しであると伝えられています。

「開発期間の短縮=手抜き」ではなく、「最新技術(AI・VR)を活用して品質を保ちつつ、タイムリーに市場へ届ける」というアプローチは、今後の日本の自動車産業全体にとっても重要なモデルケースとなるのかもしれません。

結論:伝統と新スピードの融合が日産再生の鍵を握る

日産が挑んだ「開発期間の半減」は、単なるコスト削減や作業効率化にとどまらず、自動車メーカーとしての生き残りをかけた構造改革そのもの。

伝統的な自動車製造の強みである高い安全基準や走行性能を守りつつ、中国市場で実証されたハイスピードな開発手法を取り入れる——。この挑戦が結実したとき、次期スカイラインをはじめとする日産の新しいクルマたちが再び世界中のファンを熱狂させることは間違いないであろうと考えています。

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参照:Auto News

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