| ただ、その短い期間であっても「GR86を販売する」と決めたトヨタの決断を支持したい |
なお、新型フェアレディZはそもそも欧州には導入されない
さて、先日試乗して非常に感動した新型GR86。
北米市場でもすでに発売されており、欧州市場では2022年に導入されることが決定していますが、今回トヨタの欧州法人より公式に「GR86を販売できるのは2年のみ」とアナウンスされています。
トヨタヨーロッパ副社長のトム・ファクス氏によれば、「このクルマは非常に優れており、ヨーロッパにおけるトヨタのイメージ向上に必要だと感じていました。諸々の事情を考慮し、最終的には、このクルマを提供することが重要であると判断して欧州市場での発売することとなりましたが、将来的には法的に求められる要件を満たさなくなるため、このクルマの販売を停止する必要があります。しかし、この2年間だけは、情熱的なお客様のためにこの車両を手に入れる機会を提供することができることになりました」とのこと。
詳しくは語られていないものの、この「求められる要件」とは環境規制ではなく「安全に関する規制」だとされ、この規制が2年後に導入されることがすでに決まっていて、そしてGR86はこれを満たさないということになりそうですね。
発売前から「寿命」が決まっているクルマが多くなった
なお、ここ最近の自動車業界は大きく動いており、今後数年で環境や騒音、はたまた上述のような安全に関する規制が導入されることになり、これらによって多くのクルマが「販売できなくなる」のは明確な事実。
もちろんGR86もその一台ではありますが、ロータス・エミーラもそういった悲運を背負う一台であり、さらに新型フェアレディZについてはそもそも「欧州には導入されない」。
これももちろん規制の関係だと思われ、現在は販売できたとしても、1−2年後には販売できなくなるクルマをわざわざ発売する意味は薄い、と考えたのかもしれません。
そう思うと、「2年間という短い寿命であっても」欧州トヨタがGR86を販売しようと決定したことには喝采を送りたいとも考えていて、「さすがトヨタ」だとも考えています。※欧州での発売が遅れたのは、協議を重ねていたからなのかもしれない
現代では「販売終了」がひとつのステータス
そして2年間だけの販売となると、販売終了後の価値がぐっと上がることになりそうですが、最近の転売ブームにおけるひとつ重要な要素は「販売終了」。
かつては販売が終了したり新型に切り替わったりすると、その後継モデルや代替製品に注目がゆき、以前の(販売終了となった)製品が注目されることはあまりなかったように思い、しかし現在ではむしろ「販売終了」が一つのステータスとなっているもよう。
これはロレックスに顕著ではありますが、「販売終了となった製品のオーナーは(自分の製品が旧型になるので)悲しむ」のが普通ではあるものの、今は「販売終了になると価値が上がる」として喜ぶ、つまり販売終了を歓迎する傾向が拡大しているようですね(よって、販売終了がアナウンスされると、S660のように買いが殺到する)。
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こういった動向を鑑みるに、欧州でのGR86の販売終了は「GR86の価値を上げる」ことにつながるのは間違いなく、よって多くのショップや中古車ディーラーがGR86を仕込むことになりそうで、しかしここで重要なのは「いったん登録する必要があるんじゃないか」ということ。
つまり、規制によって「新車」販売(登録)ができなくなるという事情を考慮するに、「新車」を保有していてもそれを売却し、そして買った人は「登録できない」つまり乗ることができなくなります。
一方で、「一度でも登録された」ことがあるクルマだと、これまでの例を見るに「新しい規制が導入された後も中古車として売買し、新しいオーナーが登録できる」と考えてよさそう。
もちろん、購入したとしても登録せずに保管するだけの人もたくさんいるとは思われ、よって「未登録」を好む人も居そうですが、全体的な傾向を鑑みるに、やはり「登録可能」な状態にて(しかし走行距離を伸ばさずに)売買したほうが「値がつく」んじゃないかとも考えています。
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