| 今の今までラダーフレームについてはそれほど重要性や必然性を見出していなかったが |
ただしこの動画を見ると、その重要性がよく分かる
さて、トヨタ・ランドクルーザーは「世界で最も頑丈な(民生用の)クルマの一台」として知られていますが、今回は「どう見ても崩壊寸前」なボロボロのランクルが普通に走る動画がインスタグラム上へと公開されて話題に。
ちなみにですが、ランドクルーザーはその誕生時に「お客様をはじめ、このクルマに関わる様々な人々に安全と安心をお届けすることが目標」という思想を掲げ、それがモビリティカンパニーとしてのトヨタの礎となったモデルであり、そこから70年超にわたって続く輝かしいランドクルーザーの伝統がスタートしています。
今やランドクルーザーは全世界で170カ国、累計1,040万台、年間30万台(どんどん増え続けている)を販売するに至っていますが、トヨタがその開発において誕生以来ずっと守り続けている本質が「信頼性・耐久性・悪路走破性」という三要素。
なお、ランクルの用途としては「ランドクルーザーがあるからこそ行き来できる場所で人々の暮らしを支える、必要不可欠な道具」「人道支援や災害派遣などで人の命を支える存在」「ランドクルーザーだからこそ提供できる体験を通じて、より豊かな人生を支える存在」というものがトヨタの中で定められているそうですが、さらには究極の目的として「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」がランドクルーザーであり、でなければランドクルーザーではないと定義しているのだそう。※トヨタの通常の品質基準とは別に、ランクルだけに適用される厳しい”ランクル品質”が車内に存在する
これほどまでにランドクルーザーの本質を語る姿はないだろう
そこで今回話題の動画を見てみると、(おそらくはランドクルーザー70シリーズのシングルキャブ・ピックアップバージョンと思われる)ランクルが道の向こうからやってきます。
この動画はサウジアラビアで撮影されたものだそうですが、中東やアフリカでは「使役車」として様々な車体形状を持つランクルが発売されているわけですね。
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見たところルーフやボンネット、ドア、フェンダーなど完全に破壊されている様子。
ドアはじめ各パーツはグラグラして今にも落ちそう。
ただしそれでもヨタヨタという感じではなくけっこう普通に走っていることには驚かされます。
そしてこのランクルが向かう先は現地トヨタのサービス工場。
このランドクルーザーにつき、オーナーがサウジアラビアの山岳地帯を運転していたところ崖から転落してしまい、何度も転がりながら崖から落ちていったのだそう。
幸運なことに(この惨状を見ると、幸運というよりは奇跡に近い)オーナーは大きな怪我を負うこともなく、そこで気づいたのが「まだランドクルーザーが走る」ということ。
そしておそらくは現場から走って生還したのだと思われますが、こういった話を聞き、その物語の主人公であるランクルを見るに、ランドクルーザーがいかに頑丈であるかに驚かされ、トヨタのいう「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」を実感することも可能です。
やはり、オフローダーにはラダーフレームが必要なのかもしれない
なお、ぼくはこれまで「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」というのは走破性や信頼性のことだと捉えていたものの、この動画を見ると「不測の事態」にまでランクルが対応が可能だということもわかります。
そして、こういった奇跡(トヨタにとっては想定内かもしれない)が可能となるのはひとえにラダーフレーム(ボディオンフレーム)構造を採用しているがためだと思われますが、今回の動画はラダーフレームの優位性を決定づけるものと捉えてもいいかもしれません。
参考までに、ランドローバー・ディフェンダーが現行モデルへとスイッチした際、ラダーフレームを捨てたことで賛否両論が巻き起こり、賛成派としては「ラダーフレームとおなじだけの走破性を実現できるのであれば、ラダーフレームは必要なく、モノコックでも全然OK」という主張が大半であったと記憶しています。
ぼくとしてもこういった意見に賛成ではあったものの、オフローダーという性質を考慮した場合、思ってもみなかった事故に巻き込まれることもあり、その際でも生還することを考慮するならば、(たとえ健常時の走破性がラダーフレームと同じであったとしても)モノコックよりラダーフレームのほうが優れていると認識せざるを得ないのが今回の事例であり、「強固なラダーフレームにエンジン、トランスミッション含むパワートレーンが結合され、足回りもそこへ組み込まれる」構造だからこそ、何があっても車両の基本機能を失わずに走って帰ってこれるのかもしれませんね(モノコックだと、ボディが大きな損傷を受けた場合、パワートレーンも無事では済まない)。
願わくばこのランドクルーザーについて、なんとか修理し再びもとの姿を取り戻して欲しいとは思うものの、それは修理コストを考慮すると現実的ではないのかもしれません(可能であれば、命を救ってくれたお礼として、保存しておいて欲しい)。
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