| スズキ・ミサノのパワートレーンは「ピュアエレクトリック」 |
さて、欧州有数のデザイン学校、IED(Istituto Europeo di Design=ヨーロッパ・デザイン学院)トリノ校の学生たち、そしてスズキとのコラボレーションにて誕生した新型コンセプトカー「スズキ・ミサノ」。
この「ミサノ」とは、イタリア共和国エミリア・ロマーニャにある「ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ」をイメージしたもので、スズキらしく「二輪と四輪」とを結びつけることをひとつのテーマとして掲げています。
意外と2輪と4輪両方を作るメーカーは少ない
なお、世界には無数の自動車メーカー、バイクメーカーがあるものの、この両方を製造している会社は意外と少なく、世界を見渡してもスズキ、ホンダ、プジョー(2輪部門を売却したので、ブランド名は同じでも会社は別になった)、BMW、KTMくらい。
さらには、それらの会社でも「両部門の乗り入れ」はほとんど行われておらず、よって今回のスズキ・ミサノはかなり珍しい例だと考えて良さそうです。
参考までにですが、BMWは過去(1995年)にバイクとクルマとの融合として「 Z21 Just 4/2」コンセプトを発表したことも。
ホンダは2015年にコンセプトカー「プロジェクト2&4」を発表していますね(RC213Vのエンジンを積んでいる)。※ホンダの2輪と4輪部門はかなり仲が悪いと聞いたことがある
スズキ・ミサノはこんなクルマ
そして今回のスズキ・ミサノですが、過去に発表された他社の「バイクとクルマとの融合」コンセプトに比較しても「よりバイクとクルマとが密接に結びついている」ように感じられ、とくに操作系だと「ステアリングホイールの代わりに、バイクのハンドルからインスピレーションを得た」コントロールスティックが用いられています。
このスズキ・ミサノについては余り詳細が公開されておらず、公式にコメントされているのは「電動」ということくらい(それでも出力やバッテリーサイズについては情報がない)。
一見するとシングルシーターのようにも見えますが、よくよく見るとシートは「前後タンデム」のようでもありますね。
なお、ドアは片側のみで「ガラスパネル」が装着され、これによってドライバーは”より路面を身近に感じることができる”とのこと。
座席と反対側には「バッテリーパック」そして「トランク」が設置されているようですね。
スズキ・ミサノの細部はこうなっている
スズキ・ミサノは装着されるホイールはOZ製。
ホイール、そして車体にはゴールド(カッパー)のアクセントが見られ、これはモーターのコイルをイメージしているのかもしれません。
ヘッドライトはSUZUKIの「S」を表現しているようですね。
リアには大きなディフューザー。
テールランプは「すり鉢状にくぼんだ」場所に設置されており、これが発行すると周囲に反射をもたらし、なんともユニークな表情を醸し出す模様。
そしてテールランプは3D構造を持つようですね。
このスズキ・ミサノコンセプトは、5月15日から6月6日までトリノ国立自動車博物館にて展示される、とアナウンスされています。
スズキはジムニー風バイクを作ったらいいんじゃないかと思う
なお、スズキに限らず、バイクとクルマ両方を作るメーカーについて、「意外と両方の乗り入れが少ない」と述べましたが、それはズズキも同様。
現在スズキのクルマとしてはハスラーやジムニーといったアクティブなクルマが人気ですが、であればそれらのイメージを反映させた、アウトドアテイストのバイクを作ってみたらいいんじゃないかと思ったり。
雰囲気としてはホンダのハンターカブやクロスカブのような「ユルい」バイクで、これをハスラーやジムニーのボディカラーとシンクロさせたり、一緒にプロモーションを行ったりすると、さらにスズキのブランドイメージを高めたり、他社にリードすることができ、加えて新たなファンも獲得できるんじゃないかと考えているわけですね。
現在、自動車に限らずファッションブランドなどは、「新しい客層の開拓」「プレゼンスの確保」を目的にコラボレーションが盛んではあるものの、一部の自動車/バイクメーカーは、せっかく同じ社内に有用なリソースをもっているにもかかわらず、両者の強みを掛け合わせるような展開を行わないことが不思議でなりません。