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中国では「生成AIを使用したフェイク動画や画像による組織的デマ」が横行中。政治を超えて産業界にも波及、ライバル企業の蹴落としにも利用される

中国車

| 対象は「国外」のみではなく「国内」にも。「組織的デマ」が横行、国営放送が暴いた卑劣な手口とは |

この記事の要約(業界を揺るがす3つのポイント)

  • 市場の転換点:2025年、中国の新車販売でNEV(電気自動車・PHV等)のシェアが初めて50%を突破
  • 摘発された「水軍」:AIツールでデマを量産し、新型車の発売前に組織的な攻撃を仕掛けるネットワークの存在が判明
  • 司法のメス:人気インフルエンサーに数千万円規模の賠償命令。BYDや小鵬汽車(Xpeng)ら大手が次々と勝訴

中国NEV市場の「光と影」:急成長の裏で起きていたこと

現在、中国を発信源とした「生成AIによるフェイク動画」による政治的な日本への攻撃が話題となっていますが、こういった行動は「外国の政府や企業に対して」のみではなく、「中国の国内企業に対しても」行われていることが明らかに。

日本人は一般的に、(もちろんすべての中国人がそうではありませんが)「中国人は外国人を騙したりカモにする」という印象を持っているかとは思うものの、現実としては「中国人自身も、同胞である中国人に対して同様の印象を持っている」人も少なくはなく、つまり「中国人にとっての敵は中国人」「中国人にとって一番信用できないのは中国人」ということが改めて明確になったわけですね。

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そこで本題に入ると、今回国営放送である中国中央電視台(CCTV)が自動車業界における「組織的なオンライン誹謗中傷ネットワーク」の調査報告を放送したことが話題となっており、この「デマをもって相手を蹴落とす」姿勢が問題視されることとなっています。

今や中国は新しく売れる車の2台に1台が「新エネルギー車(NEV)」という電動化の先進国。

しかし、生き残りをかけた競争が激化しすぎた結果、ライバル企業の評判を落とすためにネット工作員を雇う、あるいはインフルエンサーが多額の報酬を受け取ってデマを流すといった不健全な事態が深刻化しているのだそう。

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AIでデマを量産?巧妙化する「誹謗中傷」の実態

調査によると、攻撃の手口は非常に組織的かつ最新技術を駆使したものであり・・・。

  • AIによる自動生成:AIツールを用いて大量のネガティブコンテンツを作成
  • 偽アカウントによる拡散:数千ものダミーアカウントを使い、新型車の発表直前に一斉にデマを投稿
  • 「批判記事」のマネタイズ:一部の車評系インフルエンサーは通常のPR案件よりも高い報酬で「ライバル車を叩く内容」の執筆を請け負っていた

さらに驚くべきことに、攻撃の対象はメーカーだけでなく、「特定のブランドを選んだだけの一般オーナー」にまで及び、リアルな場での嫌がらせに発展したケースも報告されています。

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主要な訴訟例と巨額の賠償金

中国当局はこれらの行為に対し、かつてない厳しい姿勢を見せており、今後はなんらかの規制が入るのかもしれません。

被害メーカー判決の内容賠償金額(日本円換算)
BYD(比亜迪)デンツァN5の燃費デマを流したブロガーが敗訴約4,300万円 (201万人民元)
Great Wall Motor組織的な名誉毀損に対する謝罪と賠償命令約4,200万円 (201.87万人民元)
Xpeng(小鵬汽車)デマ動画の削除と公式な謝罪賠償金+アカウント永久停止

ポイント:2025年末から2026年にかけて、中国の裁判所はこれまでになく高額な賠償金を認めるようになっています。これは「デマはコストに見合わない」という強力なメッセージです。

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【新しい気づき】「情報の信頼性」が車の価値を左右する時代へ

すでに日本は「フェイク動画によるデマ被害」にあっているため、これが「遠い国の話」ではないということも理解できますが、今後は中国においてトヨタやホンダ、マツダといった日系の自動車メーカーが被害を被る可能性も。

現代のクルマ選びにおいて、ぼくらはSNSやYouTubeでのレビューを強く参考にするかと思われ、しかし今回の摘発で明らかになったように、「中立を装った広告」や「意図的なネガティブキャンペーン」が巧妙に紛れ込んでいるのが現実です。

中国政府(サイバー空間管理局)は、すでに数万件の通報を処理し、数千のアカウントを閉鎖したとも発表しており、今後の動きにも注目したいところですね。

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結論:健全な競争こそが、より良いEVを生む

中国のNEV販売台数が年間1,600万台を超え、シェアが5割を突破したというニュースは素晴らしい進化です。

しかし、その裏側にある「デマの応酬」は、技術革新を停滞させ、消費者の利益を損なうものであり、当局による今回の「 正体暴き」は、泥沼のシェア争いに終止符を打ち、メーカーが「風評対策」ではなく「技術研鑽」に集中するための重要なターニングポイントとなるのかもしれません(実のところ、中国政府が望むのは技術の向上であり、安売りによる販売台数の伸長ではなく、技術の進展を阻害するような行動は厳しく制限されそうだ)。

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参照:CarNewsChina

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