| おそらく何らかの意図があってのことだと思われるが |
ヒュンダイが「最新のデザイン言語を示すクルマ」としてプロフェシー・コンセプト(Prophecy Concept)を発表。
これは4ドアを持つエレクトリックサルーンということになりますが、見てのとおりヌルリとしたデザインが特徴です。
極端に段差やプレスラインを抑えていて、そのぶんプロポーションが重視される(ごまかしが効かない)という側面もあり、ヒュンダイはその難しさにあえて挑戦したということになりますね。
なお、現在ヒュンダイのデザインを統括するのは、かつてベントレーやランボルギーニのデザイン部門を率いて、先代コンチネンタルGTやムルシエラゴ、ガヤルドをデザインしたルク・ドンカーヴォルケ氏。
そのほかにもヒュンダイはアヴェンタドールをデザインしたフィリッポ・ペリーニ氏など著名デザイナーを多数獲得しており、「デザイン面においては」世界トップレベルを走っていると考えて良いかもしれません。
衝撃度MAX!アヴェンタドールのデザイナーがヒュンダイへと移り、ヒュンダイはランボルギーニやベントレー出身者で固められることに
楽観的な未来と、悲観的な未来の両方を「予言」
ヒュンダイのグローバル・デザインセンターを管理するサンヤップ・リー氏によると、「このプロフェシー・コンセプトはヒュンダイのデザイン的ヴィジョンを示すもので、未来に対する悲観、そして反対に楽観を表している。まさにプロフェシー=予言なのだ」。
何やら哲学的なコメントでもありますが、現段階ではデザインスタディにとどまり、市販の予定はないようですね。
なお、ヒュンダイはジュネーブやパリ、そしてフランクフルトにて積極的にコンセプトカーを発表しており、このプロフェシー・コンセプトも本来であればジュネーブ・モーターショーにて脚光を浴びたクルマの一台となったのかもしれません。
この段差のないボディ表面、そしてプロペラ形状を持つホイールデザインを見るに、ヒュンダイは強くエアロダイナミクスを意識してきたであろうことが伺えます。
さらにはドアハンドルはなく、ヘッドライト/テールランプにおいても極力段差が廃されているものの、なぜかリアウイングだけはポコンと飛び出ており、この意図は不明。
しかも素材は「クリア」で、テールランプも兼ねているようです。
なお、このテールランプはぼくに「(930世代の)ポルシェ911ターボ」に採用されていたウイングを思い起こさせますが、この形状、そして911ターボの黒い部分がちょうどプロフェシー・コンセプトのクリア部分にマッチしていたり、その内側の構造にも類似性が見られ、「意図的にこのデザインにしたんじゃないか」と思える部分も(その意図は不明ですが)。
なお、テールランプは「ピクセル」っぽい光り方をするようで、これはヒュンダイが昨年9月に発表した「45EVコンセプト」と共通する意匠でもありますね(ただしボディデザインに共通性はない)。
ヒュンダイ・プロフェシー・コンセプトのインテリアはこうなっている
そしてこちらがプロフェシー・コンセプトの「内側」。
妙にレトロな雰囲気もありますが、ステアリングホイールを持たない完全自動運転を意識しているようで、ステアリングホイールの代わりと呼べそうなのはドア、そしてセンターコンソールに取り付けられた二本のグリップ兼コントローラーのようなもの。
フロントウインドウ左右前方には、カメラのようなデバイスも見られます(外から見たときには半球状のパーツ)。
インテリアはかなり広々な印象ですが、贅沢に4人乗りと割り切っていて、ドアパネルやルーフにも何らかの情報が表示されるようですね。
かなり奇っ怪なコンセプトカーだと感じるものの、ヒュンダイの出してくるコンセプトカーにはあまりデザイン的共通性はなく、それだけ「多くの選択肢(引き出し)を持っている」ということを示したいのかもしれません。
VIA:Hyundai