
| 伝説のF1、その精神を受け継ぐ者たち |
マクラーレンF1の設計者が「現代版マクラーレンF1」を世に送り出す
マクラーレンF1はコレクター、愛好家、自動車メーカー、そしてエンジニアにとって紛れもなく究極のスーパーカーであり、その地位が揺らぐことはない「絶対的な」王者です。
3座のユニークなレイアウト、信じられないほどのV12エンジンとマニュアルトランスミッションによる究極のアナログドライビング体験、そして当時の世界最速記録とル・マン24時間での勝利。
わずか106台しか生産されず、現在では世界で最も高価なクルマのひとつであることがその価値を証明しており、発売から30年以上経った今でも、F1への情熱は尽きることがありません。
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F1の精神を現代に蘇らせた男
マクラーレン自身がP1やW1、3座のスピードテールといった後継ハイパーカーを送り出してきたものの、F1の精神を最も色濃く受け継いでいるのはF1の設計者でもあるゴードン・マレー氏が設立した「ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)」、そしてGMAより発売されるT.50だとも考えられます。
そしてこのGMA T.50はまさにF1の正統な後継車だと捉えられており、3座レイアウト、F1を思わせるスタイリング、そして官能的なV12エンジンとマニュアルトランスミッションの組み合わせ、さらにマレー氏がF1で実現したかった「ファンシステム」を搭載しています。
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T.50は100台(およびトラックバージョンのT.50sを25台)のみの限定生産ではあるものの、GMAは今後もこのプラットフォームとパワートレインをベースにした限定モデルを製作してゆく計画を公表しており、そのプロジェクト「ゴードン・マレー・スペシャル・ビークルズ」から誕生した第一弾が今回発表された衝撃の「GMSV S1 LM」。
この「GMSV S1 LM」はわずか5台のみの生産で、すべての台数が「1990年代のゴードン・マレーのデザインと、1995年のル・マンでの勝利への情熱」を持つ一人の顧客によって注文されたといい、T.50を凌駕するパフォーマンスとトラック性能を誇りつつ、そのデザインはF1の明確なリメイクとして見るものを魅了します。
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「レトロ」を超えた「模倣」か?
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すべてのボディパネルがカーボンファイバー製で、ルーフラインはT.50よりも低く設計され、フロントバンパーはF1 GTRの現代的な解釈であり、F1のヘッドライトと同じ形状を持つカバーの下にはスリムなLEDヘッドライトが隠されています。
ボディの形状や前傾したフェンダーのベント形状はF1とほぼ同様。リアホイールの前にはF1 GTRのようなインテークが設けられています。
リアには4つの丸いテールライト、バンパーベント、そして4本のエキゾーストパイプを内蔵したクールなディフューザーが目を引きますが、大きなリアウィングとホイールはF1 GTRのそれにそっくりです。
つまり、「マクラーレンF1の設計者が、現代のテクノロジーをもって再設計した”F1”、T.50をベースとし、その外観をF1にまた戻した」というのがGMSV S1 LMだとも考えられます。
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インテリアは素晴らしい出来
S1 LMのインテリアは非常にクールで、戦闘機からインスピレーションを得たデザインと骨格的なアーキテクチャが特徴ですが、T.50よりもはるかに多くのカーボンファイバーが使われ、ドアパネルもすべてこの素材で作られています。
メータークラスターはT.50と同一だとアナウンスされており、しかしダッシュボードにはユニークなフローティングデザインが用いられ、ピル型のエアベントとキルティングパターンが施されたシートが印象的。
もちろんこのS1 LMもT.50やF1と同様に、運転席が中央に配置された3座レイアウトを採用しており、ドライバーは大きなサイドサポートを持つレーシングシートへと収まることとなりますが、このシートは、メッシュの切り抜き、そしてまるで70年代のSF映画から飛び出してきたかのようなパッドが特徴です。※内装は2パターンが公開されている
一方、そのほか二名の乗員はやや後方に配置された、そこまで”過激ではない”シートへと座ることに。
ゴールドフォイルの輝き
GMSV S1 LMの心臓部には、T.50と同じコスワース製V12エンジンが搭載されていますが、排気量が4.3リッターに拡大されていると説明され、最高出力は690馬力以上を誇ります(ロードゴーイングバージョンのT.50とトラックバージョンのT.50sの中間に位置)。※このエンジンは12,100rpmまでを許容する
S1 LMには、F1と同様に18金ゴールドフォイル製遮熱材で覆われた専用のインコネル製エキゾーストが採用されているとも説明されているので、やはりその意味でも「現代版F1」といった性格が濃いのかもしれません。
その一方、シリンダー内の圧縮比が高められ、エンジン内部パーツも軽量化されるなどのメカニカルチューンが施されるほか、マニュアルトランスミッションはT.50sのケーシングとT.50の内部パーツを使用しつつも「ライフルボルトのような短いストローク」を実現したと説明され、サスペンションには新しいジオメトリーとダンパーを備えたローダウンバージョンが採用されるなど「時代を反映したアップデート」も盛り込まれ、比類なき一台に仕上がっているようですね。
ゴードン・マレーの最新作「GMSV S1 LM」を紹介する動画はこちら
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参照:Gordon Murray Automotive