| ヒュンダイはある意味で「もっとも他の分野へ積極的に進出を試みる」自動車メーカー |
一方、まったく「空」に興味を示さない自動車メーカーも
さて、現在「自動車以外」にも活動領域を広げている自動車メーカー各社(矛盾のある表現ですが)。
これは自動車の販売台数が将来的に大きく減少するであろうことを見越しての行動ですが、たとえばフェラーリはアパレルやライセンスビジネスに、アストンマーティンはタワーマンションなど富裕層向けのビジネスに、日産やホンダ、トヨタは航空宇宙産業に、といった具合です。
そんな中、「空」を目指す自動車メーカーも少なくはなく、かつてはアウディ(すでに撤退を表明)、そして現在だとメルセデス・ベンツ(エアタクシー会社に投資)、ロータスの親会社である吉利汽車(空飛ぶクルマの会社を買収)、トヨタ(現在試作機を開発中)、ポルシェ(現在可能性を調査中)など。
-
やはりポルシェは「空」に強い興味があるようだ!エアタクシーに関するレポートを公表し、「200億ドルの投資、勇気と粘り強さが必要だが、市場規模は320億ドルになる」
| 今後、ポルシェがどう判断するのかはちょっとした見ものだ | 空飛ぶクルマは自社のみではどうやっても実現できず、法規やインフラに関わる課題も多い さて、「空」に対して強い興味を持つとされるポルシェ。 ...
続きを見る
ヒュンダイは2028年に垂直離着陸機を実用化
その中でもヒュンダイ(ヒョンデ)はとくに「空」に対して強い関心を持っていて、これまでにもいくつかのコンセプトを公開しているものの、今回新たに「2028年に最初の商業飛行を行う」と発表しています。
この商業飛行に使用される機体は2020年に発表された「AS-1」で、これはUberと共同にて開発された垂直離着陸機であり、 このVTOL機は巡航速度180mph(290km/h)、巡航高度1,000-2,000フィート(300-600m)を想定して設計され、電力のみでの飛行が可能。
ヒュンダイの欧州事業部門最高責任者であるマイケル・コール氏によれば「私たちは、この10年の後半には、都市部でのエアモビリティは、都市内の渋滞を解消し、排出ガスの削減にも貢献する大きなチャンスになると考えている」とのことで、実際に現代自動車は空飛ぶモビリティの未来を真剣に考えており、11月にはアーバン・エア・モビリティ部門を発展させたSupernalという新会社を設立していて、この新規事業の実現に向けて本気で動いているようですね。
ヒュンダイはロボット事業にも参入
そしてヒュンダイは航空事業のほか「ロボット事業」にも参入していますが、すでにボストン・ダイナミクス社を買収したのは既報のとおり。
ヒュンダイはこの買収によって「自動車とロボット」とを融合させ、クルマでは到達できないようなところへと「歩いて」入るなどの行動を計画しているようですね。
-
【動画】ヒュンダイ×BTS!買収したボストン社のロボット犬「スポット」とBTSがダンスを踊り、ロボット産業への本気を見せる
| 「空」「公共交通機関」への興味を示す自動車メーカーは多々あれど、今のところロボットに興味を示すのはヒュンダイをおいて他に無いようだ | ヒュンダイはロボット産業を成長分野だと捉えている さて、ヒュ ...
続きを見る
さらには「飛行」も組み合わせることで行動半径を広げることも想定し、変形ロボットカー「タイガー(コンセプト)」も発表しています。
-
【動画】ヒュンダイが変形ロボットカー「タイガー」発表!ドローンと合体して空を飛び、4本のタイヤつき「脚」を使用してどんな地形にも対応。月や惑星探査も視野に
| ロボット産業は採算に乗せるのが難しいと言われるが | さて、ヒュンダイが「合体ロボットカー」という、激しくメカ好きの魂を揺さぶるコンセプト、タイガーX1を公開。これは2020年にヒュンダイ内部にて ...
続きを見る
「空」は自動車メーカーによって見方が分かれる
なお、この「空」について、強い興味を示す自動車メーカーもあれば「そうでない」自動車メーカーも。
たとえばテスラは「(CEOのイーロン・マスクCEOは航空宇宙産業にも”スペースX”で参入しているが)空飛ぶクルマは無意味」と断じ、アウディはボーイングと提携しながらも「実用化できない」として早々に撤退。
-
アウディ「空飛ぶクルマの実現は難しいことが分かった」。むしろなぜ実現できると考えたのか、そのほうが不思議な件
| 技術以外にも、空を飛んで人を運ぶには障壁が多すぎる | アウディは2018年のジュネーブ・モーターショーにて「空飛ぶ車」として「ポップアップ・ネクスト(Pop.Up Next)」コンセプトを発表し ...
続きを見る
逆に「空を目指す」のは上にあげた自動車メーカーたちですが、ぼくとしては(現在の技術から想定できる範囲では)輸送できる重量が小さい、そして移動できる距離が短い、エアポート(ハブ)をそもそも街なかに建設することが難しい、墜落時の被害が甚大、離着陸前後の時間を考慮すると効率的な移動手段とはいえない等の問題によって「実現は難しい」と考えています(加えて、無人機化などは夢のまた夢だと思う)。
合わせて読みたい、空飛ぶクルマ関連投稿
-
ホンダが「宇宙を目指す」と発表!再利用可能なロケット、アバターロボット、月面でのエネルギー再生システム、さらに地球では「空飛ぶクルマ」の開発も
| いずれのジャンルも「新しい挑戦」ではあるものの、ホンダの「コア技術」を活かせることが共通しているようだ | 「HONDA」ロゴ入りのロケットが打ち上げられる姿を見てみたいものだ さて、ホンダがなん ...
続きを見る
-
【動画】搭載するのはBMW製エンジン!現在もっとも「実用化に近い」空飛ぶクルマ、エアカーが143回めの飛行テストを完了。飛行機から自動車への変形はわずか3分
| 欧州や米国にて小規模空港を移動するにはちょうどいい選択肢なのかも | ただし公道を走行するには様々な法規が「壁」となりそうだ さて、現在自動車メーカーの中でひとつの可能性として研究されているのが「 ...
続きを見る
-
やはり自社単独では無理だった?トヨタが電動航空機製造会社に出資し「空飛ぶクルマ」事業へ本格的に乗り出すと発表
| 事実上、電動垂直離着陸機を開発するJoly Aviationを子会社化したと考えていい | トヨタが航空事業への参入を目指し、電動垂直離着陸機(eVTOL)開発・実用化を進めるJoby Aviat ...
続きを見る
参照:The Guardian