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レッドブルがその初のハイパーカー「RB17」について語る。「フォードのバッジを付けて発売される可能性があった」「ヴァルキリーとは異なって手を抜いてない」

レッドブルがその初のハイパーカー「RB17」について語る。「フォードのバッジを付けて発売される可能性があった」「ヴァルキリーとは異なって手を抜いてない」

| アストンマーティン・ヴァルキリーはそもそもプロジェクトの発端自体に無理があったようだ |

一方のレッドブルRB17は「ビジネスとして適切なスタートであった」

さて、レッドブルはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて衝撃の「12億円のハイパーカー」、RB17を発表していますが、その発表直後にレッドブル・レーシングのCEO、クリスチャン・ホーナー氏が「フォードのバッジをつけて発売される可能性が高かったこと」など多くの裏話を披露しています。

なお、フォードとレッドブルは2026年のF1参戦に向けてパートナーシップ契約を結んでおり、両社は共同で電気自動車の開発にも取り組んでいるため、フォードがレッドブルの計画に「便乗」し、自社の”スポーツ”イメージを高めようと考えたのは当然のことかもしれません。

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フォードとレッドブルの考える「市販車の方向性」はやや異なる

クリスチャン・ホーナー氏によれば「私たちは早い段階で、フォードとこのプロジェクトについて話し合ったのですが、電動化路線を強化したいという彼らのロードカーの基準にはあまり合いませんでした。なんといっても、このRB17には4.5リッターV10 エンジンが積まれています。(フォード CEO]の)ジム・ファーレイはきっとこれを運転したがるでしょうが、彼らの現在の方向性にはあまり合わないので、完全にレッドブルのクルマとなりました」。

さらにクリスチャン・ホーナー氏は「レッドブルは、数百台の車を大量生産するのではなく、先進的なイノベーションの先頭に立つモータースポーツに重点を置いた企業であり続けたい」と述べており、”量産”についてはあまり興味がないもよう。

さらに「他の企業の協力があれば、公道仕様への改造が可能である」とも述べ、たとえばランザンテがマクラーレンP1 GTRやアストンマーティン・ヴァルカンを公道仕様へと改造したような例をイメージしているのかもしれません。

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レッドブルRB17には「FIAが禁じた、すべての良いものがある」

現在、市場には「数億円のハイパーカー」としてアストンマーティン・ヴァルキリー、ブガッティ・ボリード、パガーニ・ウアイラR、GMA T.50などが存在しますが、それぞれが独自の個性に基づいていて、たとえばGMA T.50やウアイラRはゴードン・マレー氏、オラチオ・パガーニ氏各々の「個人的な」思想(というか嗜好)が色濃く反映されているのかもしれません。

一方でこのRB17は「個人的なノスタルジー」よりも「イノベーションやテクノロジー」に焦点が当てられており、クリスチャン・ホーナー氏によれば「RB17にはFIAが禁じた、しかし優れたすべてのものがある(唯一備わっていないのはFダクトであるとも述べている)」。※FIAは様々な観点から、これまでに考案された画期的なデバイス〜アクティブサス、アクティブエアロ、ブロウンディフューザー、ファン、その他諸々〜を禁止している

一番衝撃を受けたのは、アクセルオフ時の挙動ですね。まるで誰かが錨を投げたかのような、特にブロウンディフューザー付きの空力ブレーキの強さです。まるでロードカーの急ブレーキのようです。そしてそこからブレーキペダルを踏むと、顎を胸から出さないようにするのに苦労します。とても楽しかったので、ピットレーンに入るのをやめ、もう1周走ることにしたほどです。

そのほかRB17について語られたのは、ダウンフォース、メカニカルグリップ、エンジン出力などを調整できる、あらゆるスキルレベルに適応しカスタマイズできるように設計されている、ということ。

特注による、新しいミシュラン製の(極秘の)コンパウンドを含む3つの異なるタイヤオプションもあり、クルマは一般にタイヤの性能を超えて走ることができない以上、この新しいタイヤは飛躍的にRB17の運動性能を向上させ(引き出すと言い換えてもいい)、FIAの規定するタイヤでは実現できないレベルに達することとなるのかもしれません。

リアム・ローソンのようなプロドライバーの手にかかれば、RB17 は、ダウンフォースのレベルが高いため、特定のサーキットでは F1マシンよりも速く走ることが可能です。限界が非常に高いため、F1ワールド チャンピオンシップのリーダーであるマックス ・フェルスタッペンでさえ、このクルマの性能を最大限に引き出すのに苦労するでしょう。

      なお、このRB17について正確な販売価格は公開されていませんが、一説によると「770万ドルくらい(約12億2000万円)」。

      これについてはクリスチャン・ホーナー氏もおおよそ認める発言を行っており、「アストンマーティン・ヴァルキリーの倍以上」だともコメントしています。

      そしてヴァルキリーの倍の価格となったことについては「金儲けのためではなく、レッドブルが手抜きを拒んだから」だとも述べ、利益のためにデポジットを取り、何百台も生産するというアストンマーティンの手法を半ば批判するかのように「これはデポジットなどに依存するプロジェクトではない」とも。※アストンマーティンは結果的にヴァルキリー計画にて赤字を出している

      加えてRB17プロジェクトは発表されるよりもずっと前から存在し、レッドブルのミルトン・キーンズ工場にて、F1マシンと同じ開発・設計方法と製造方法・工程にてすべてが進められる(それはF1マシンと共通した通し番号を持つことでもわかる)ことについても大株主の過半数から了承を取り付けていたのだそう。

      よってこの価格は「RB17に採用される技術にマッチした」適正なものであるとも主張していますが、つまり「持てる技術をすべて出しきって(コストの上限やFIAの制約に縛られず)最高のクルマを妥協なく作り、それを理解してくれる顧客のみに対し、その技術に対応した適正価格で」販売するという適切なビジネスだということがあらためて強調されています。

      そのほか、クリスチャン・ホーナー氏はRB17につき「自動車史上もっとも革新的である」とも述べ、それは「ル・マンのLMP1クラスの約2倍の空気力学的効率を誇り、それはもはや航空機レベルに近い」から。

      さらには「スキルに合わせて進化するように設計されている」「独創的なデザイナーのおかげで素晴らしいルックスを持つ」こと、なによりも非常に競争の激しいF1の世界で常にトップを走り続けた”最も有名なエンジニア”によって作られことについても言及しています。

      これらを総合すると、RB17は「ルールブックの抜け穴を巧みに操るエイドリアン・ニューウェイの無限の才能に対するレッドブルのトリビュート」であるとともに、F1でも提供できないもの、つまりルールのない世界における高性能ハイパーカープロジェクトであり、エイドリアン・ニューウェイとレッドブルが構築してきた長年の卓越性に報いる、類まれなる最高傑作だと捉えるべきなのかもしれませんね。

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