| いつの時代もクリスチャン・フォン・ケーニグセグは感謝と敬意を忘れない人である |
かくしてケーニグセグは「伝説」となりうるのであろう
さて、ケーニグセグのハイパーカーには「ゴースト」マークが付与されていることでも知られますが、これはケーニグセグのエンブレムとはまた別に車体に再現されているもので、なぜこのマークが用いられているのかという疑問を感じる人も少なくはないかもしれません。
実際のところ、ぼくもそれを不思議に思う一人であったのですが、今回ケーニグセグが公式にその由来について触れており、ここでその「知られざるストーリー」を見てみましょう。
ケーニグセグを不幸な火災から救ったのが「ゴースト」だった
ケーニグセグはクリスチャン・フォン・ケーニグセグによって30年前に設立されていますが、2000年に初めての量産車を予告するCC8Sをパリ・モーターショーへと出展しています。
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ケーニグセグは30年前、22歳の無名の若者によって創業された。最初のクルマ「CC」がウインドウズの付属ソフト、「ペイント」を用いて設計されたことが明かされる
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しかしながら同社を襲った(これまでの最大とも言える)悲劇が2003年の火災であり、当時のケーニグセグの拠点であったスウェーデンのマルグレットトルプ工場が火災によって失われてしまいます。
ケーニグセグによれば「その火は静かな土曜日の朝の台所で始まり、すぐに建物全体に炎が燃え広がった」。
しかしながら車両や工具を含む生産設備については”スタッフの献身的な”搬出作業によって致命的な損傷を免れることができ、しかし貴重な資料の大半が焼失してしまうものの、ケーニグセグは不屈の精神にて同年にCC8Sをジュネーブ・モーターショーへと出展し納車に向けた生産を開始します。
しかしけして前進することを諦めなかったケーニグセグに幸運が訪れ、それはスウェーデンの(当時既に廃隊されていた)F10空軍基地を利用する機会が訪れたこと。
はたしてケーニグセグはこの基地を借り受けることで新しい拠点を得ることとなり、数年後には設備全体を引き継ぎます。
そしてこの設備が今日に到るまでの「ケーニググセグの事業の中心」となっているわけですが、ケーニグセグのオフィシャルフォトは滑走路で撮影されたものが多く、この場所こそがF10空軍基地の跡地なのかもしれません。
「ゴースト」はF10部隊のシンボル
そこでこの「ゴースト」の出番となり、その実このゴーストはF10部隊が採用していたシンボルであり、F10部隊そのものが「ゴースト中隊」と呼ばれていたのだそう。
そしてゴーストと呼ばれた理由は「隠密行動を取るため、暗闇や霧の中を飛んでいた」からだとされ、今でいうステルス部隊の先駆けといった感じになるのかもしれません。
かくしてケーニグセグはこのF10部隊の設備のみではなく「回復力、革新、そして卓越性を象徴する精神」と「The Show Must Go On」というF10部隊のモットーを引き継ぐこととなり、その象徴としてのF10部隊のシンボル「ゴースト」をも引き継ぐこととなったわけですね。
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