Image:Rimac
| リマックCEO、メイト・リマック氏ほど波乱万丈な人生を歩んだ自動車メーカー経営者はいないだろう |
まさに「事実は小説よりも奇なり」である
BMWとリマックが「電気自動車分野にて長期的なパートナーシップ契約を締結する」と発表。
ただしこれはBMWがリマックのバッジエンジニアリング車を作ることでも、その逆でもなく、具体的には「バッテリー電気自動車」向けの高電圧バッテリー技術を共同開発する」こととなるもよう(おそらくはM3のエレクトリック版のような高性能車向けだと思われる)。
参考までに、現在リマックはアストンマーティン、ポルシェ、ヒョンデ、メルセデス・ベンツ/メルセデスAMG、フェラーリ、ピニンファリーナ、ケーニグセグ、クプラ、ジャガー、ルノー、マグナとも提携関係にあり、いまや高性能EVはリマック抜きでは作れない、という状況なのかもしれません。
BMWとリマックとの提携内容は「後ほど詳しく」
なお、現在は提携が発表されたのみにとどまっており、BMWは「詳細については後ほど」とコメントしています。
ただしリマックは、高電圧バッテリー パック、電動アクスル、およびこれらのシステムを制御するソフトウェアの開発を専門とする「リマックテクノロジー」を保有しており、BMWはこれに関わる技術を活用することになると考えていいのかも。
ちなみにですが、BMWは2025年から新世代EV「ノイエクラッセ」を展開する計画を持っており、これは「初代」ノイエクラッセがそうであったように、BMWの未来を新しく作ることを期待されたシリーズです。
しかしながらリマックとBMWの定型の結果がこのノイエクラッセに(時系列的に)反映されるとは考えにくく、そこはちょっと残念な部分かもしれませんね(しかしながら、BMWはリマックの技術を高性能車のみに使用するつもりであることも考えられる。BMW自身もEV分野に関してはトップランナーのうちの1社である)
リマックとBMWは無関係ではない
なお、リマックとBMWとはこれまでにも無関係であったわけではなく、というのも「リマックCEO、メイト・リマック氏が最初に作ったEVがE30世代の3シリーズをベースにした改造車であったから」。
ただし当時両者が提携していたわけではなく、当時メイト・リマック氏がレースに使用していた1984年式3シリーズのエンジンが壊れてしまい、かわりにエレクトリックモーターとバッテリーを積んだことがきっかけとなっていて、しかしそこから同氏は試行錯誤を繰り返し、今ではブガッティを手中に収め、数多くの世界記録を手にし、ニュルブルクリンクのラップタイムでは「EV最速」を記録するまでに至ったわけですね。
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なお、このBMW 3シリーズは「リマック e-M3」と名付けられており、 幾多のバージョンアップを経たのち、2012年には0-100マイル加速3.3秒、最高速度280km/hという世界最速加速電気自動車の世界記録保持者となっていますが、このに使用されていたグリーンは、のちにニュルブルクリンク最速記録を達成した記念限定モデル「ネヴェーラ・タイムアタック・エディション」にも採用されています。
Nevera Time Attack edition, a celebration of a bold and relentless spirit. By defying expectations, we've left 27 speed records behind. pic.twitter.com/jRxNWaIUxl
— Rimac Automobili (@AutomobiliRimac) March 22, 2024
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私は古い BMW E30 (1984式) を所有していて、ドリフトやサーキットでのモータースポーツ活動に使用していました。しかしある日、ついにエンジンがダメになってしまったんです。ですがその後、EVを作ってみることにしました。 1年ほど後、ようやく運転できるまでのレベルにはになりましたが、その結果には満足できませんでした。クルマは重く、パワーもあまりなく、航続距離も非常に限られていました。独自のコンポーネントを開発するために専門家のチームを集め始めました。 エレクトリックパワートレーンは、当時市場で入手可能な内燃機関と比較して、はるかに多くの効果をもたらすと信じていたからです。その時点で、私はすでに最終的な目標について非常に明確なビジョンを持っていました。
このように、私のビジネスの旅は、20歳のときに自宅のガレージで電気自動車に改造した 1984年式のBMW 3シリーズから始まりました。したがって、私のバックボーンは、今日BMWグループと提携するのに完璧な対称性を備えています。
メイト・リマック氏、Rimac Group 創設者兼 CEO
ただ、EVがサーキットを走るには「すぐれたパワートレーン」のみによって達成されるわけではなく、「リマック・ネヴェーラの半分の馬力」にとどまるポルシェ・タイカンがネヴェーラに迫るタイムを記録したことでわかるとおり、車両制御技術(タイカンの場合はブレーキとサスペンションが要である)が非常に重要なポジションを占めています。
そして今回の提携によって、BMWはリマックによる高性能バッテリーやエレクトリックパワートレーンを獲得し、それに自社が誇る車両制御技術を組み合わせ、「鬼に金棒」状態となるのかもしれませんね。
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