| サブマリーナはプロ用、ヨットマスターは遊び用 |
さて、今日はロレックス・サブマリーナ、そしてロレックス・ヨットマスターとの違いについて述べてみたいと思います。
ロレックス・サブマリーナというと、デイトナと並ぶロレックスの人気モデルであり、一方のヨットマスターはスポーツモデル(スポロレ)といえども今ひとつブレイクできないシリーズでもありますね。
実際のところ、両者にはけっこう大きな違いがあり、ここでその差異を見てみましょう。
一見、両者は非常によく似ているが
今回比較する実物はハルク(116610LV)とヨットマスター40(ラバーブレス/116655)なので見た目の大きく感じられますが、サブマリーナデイト(ブラックベゼル/116610LN)とヨットマスター40のステンレスモデル(126622)だとこんな感じ。
両方とも見た目はダイバーズウォッチのように見えますが、サブマリーナの防水性能は300メートル、ヨットマスターは100メートル。
一般にダイバーズウォッチは100メートル以上の耐水性能を持つことがが要件のひとつとされますが、ISO6425定めるところでは、「逆回転防止ベゼルを持つこと」とも定義されています。
この観点から行くと、ヨットマスターは逆回転防止ベゼルを持たないので、「ダイバーズウォッチではない」、ということになりますね。
じゃあヨットマスターは何なのか
じゃあヨットマスターは一体何なのということになりますが、ぼくの考えるところでは「ラグジュアリースポーツウォッチ」。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、要は「お金持ちがレジャーとしてヨットに乗る時に身につける腕時計」だと考えていて、そのためロレックスのスポーツウォッチとしては唯一、「男女ペアで装着できるよう」37ミリ、40ミリというラインアップからスタートしています(昨年に42ミリが追加された)。※本気のヨッティング用ウォッチとしては「ヨットマスターII」がある
現在のラインアップはざっとこういった感じ。
ヨットマスター42 ・ホワイトゴールド+ラバーベルト ヨットマスター40 ・オイスタースチール?プラチナ ・オイスタースチール+エバーローズゴールド ・エバーローズゴールド+ラバーベルト ヨットマスター37 ・オイスタースチール+プラチナ ・オイスタースチール+エバーローズゴールド ・エバーローズゴールド+ラバーベルト |
さらにはこういった、ダイヤモンドを敷き詰めたダイヤルを持つモデル(4,996,200円)も存在し、これを見てもやはり「ラグジュアリースポーツウォッチ」だということがわかります。
さらにヨットマスターのベゼルはステンレススティールモデルではプラチナ、そしてエバーローズゴールドモデルだとゴールド。
そのためステンレススティールケースを持つヨットマスター40の価格は1,265,000円に設定され、これはサブマリーナデイトの943,800円と比較してもかなり高い値付けです(ムーブメントについては、ヨットマスターだと3235、サブマリーナでは3135)。※市場価格だと、サブマリーナは現在130万円くらい、ヨットマスターだと145万円くらい
ブレスレットの仕上げも同じく3連リンクのオイスターであるものの、ヨットマスターではセンターがポリッシュ仕上げ。
両方ともバックルにはオイスターロックフォールディングクラスプを持ちますが、ブレスレットの延長機能についてはヨットマスターがイージーリンク、サブマリーナは(ダイバーズウォッチなので、ダイビングスーツの上から着用できるよう)グライドロックエクステンションを備えます。
サブマリーナとヨットマスターを比較してみよう
本来はステンレススティールケース、ステンレススティール製ブレスを持つヨットマスターがあればよかったのですが、あいにくぼくが持つヨットマスターはエバーローズゴールドモデルなので、今回はこの両者にて比較を行ってみます。
ベゼル
ベゼルは上述の通り、ヨットマスターでは950プラチナもしくはエバーローズゴールド。
ちなみにステンレスケース+プラチナの組み合わせを持つのはヨットマスターのみで、これは「ロレジウム」と呼ばれます(ステンレスとゴールドとの組み合わせは”ロレゾール”)。
そしてヨットマスターのベゼルは、素材に関わらずレイズ(立体)仕上げの数字と目盛りを持っていて、数字はポリッシュ、凹んだ部分はサンドブラスト。
ステンレスケースには950プラチナのベゼルが、そしてエバーローズゴールドモデルには、エバーローズゴールドのベース部+セラミックの数字部分を持つベゼルが組み合わせられます。
サブマリーナのベゼルはもちろん逆回転防止、しかしヨットマスターのベゼルは両方向に回転します。
ちなみにサブマリーナのベゼルを回すと「カチカチ」というクリック間のある音を発しますが、ヨットマスターの場合はウエットな小さい音となっていて、その感触もややウエット。
サブマリーナは精密機械を思わせる乾いたタッチ、ヨットマスターはちょっと高級なヌルっとした感覚があります。
ケース
ケース径はサブマリーナ、ヨットマスターともに40ミリ。
素材の違いは抜きにしてもけっこう差があり、というのもサブマリーナの側面は「平たく」、ヨットマスターは「ラウンド」。
横から見るとサブマリーナのラグは比較的真っすぐ伸びていて、ヨットマスターではラウンドしていることも分かります。
サブマリーナはウェットスーツの上からの着用を想定しているからだと思われますが、結構な相違があることもわかりますね。
加えて、防水性能実現のためなのか、サブマリーナのケースバックはヨットマスターよりも大きく盛り上がっています。
そしてこちらはラグの端。
ヨットマスターのほうがかなり細い作りを持っています(しかも斜めにカットされている)。
これらの相違を見るに、ヨットマスターは、サブマリーナよりも「デイトジャスト」に近いケースを持っていることがわかると思います。
バックル
バックルは上述の通り、 両者ともオイスターロックフォールディングクラスプを持ちますが、ブレスレットの延長機能についてはヨットマスターがイージーリンク、サブマリーナはグライドロックエクステンションを備えていて、そのためサブマリーナのほうが「長い」形状を持っています。
ちなみにヨットマスターにはロレックス初のラバーベルト「オイスターフレックス」が採用。
ロレックスがはじめてラバーベルトを装着するモデルに「ヨットマスター(のエバーローズゴールド)」を選んだのは、もしかすると(ラバーベルトモデルが人気な)ウブロやオーデマピゲ・ロイヤルオーク・オフショアクロノグラフへの対抗の意味があったのかもしれません。
ただし後発だけあってその構造はよく考えられていて(開発には数年を要したらしい)、裏面には柔かいヒレのようなものがついていて、これのおかげでフィット感が格段に向上し、かつ「ずれにくい」ようですね(濡れたときにも滑って腕時計が回ったりしにくい)。
一方で難点もあり、それは(イージーリンク以外で)ベルトの長さ調整ができないということ(社外品のロレックス用ラバーベルトだとカットすることで長さを調節できる)。
そのぶんロレックスはかなり細かくベルトサイズを取り揃えていて、購入時にはちゃんと腕につけてみて、もっともしっくりくる長さのベルトを選ぶ必要があります。
いざ腕に巻いてみよう
そしてこちらがサブマリーナを腕につけてみた状態。
けっこうゴツい、という印象ですね。
こちらはヨットマスター。
同じ40ミリでも腕にフィットする感触が強く、見た目もかなりコンパクト。
以上、ロレックス・サブマリーナとロレックス・ヨットマスターとの比較ですが、一見すると似たように見える二本ながらも、細部を見たり、実際に身につけると「けっこう違う」ことがわかると思います。