| 当時アストンマーティンは322km/hを目指したが、307km/hまでしか届かなかった |
アストンマーティンは世界有数のハイパフォーマンスカーメーカーの一つですが、これまでに市販してきたクルマは「フロントエンジン」のみ。
しかしながら今後は「ヴァルキリー」「ヴァルハラ」そして新型ヴァンキッシュにてミドシップへと参入することになり、すでにフェラーリやマクラーレンから複数の人材を獲得した、とも発表されています。
ただ、「市販」されなかったミドシップスーパースポーツがかつてアストンマーティンに存在し、その名は「ブルドッグ」。
世界に一台、幻のミドシップ・アストンマーティン「ブルドッグ」!現在のオーナーがレストアを行い、速度記録に挑戦すると発表
1979年当時でツインターボ600馬力
このブルドッグは1979年に製造されたコンセプトカーで、デザインは1960年代の初代DBSやラゴンダ・シリーズ2をデザインしたウィリアム・タウンズ氏(そういえばラゴンダとは通じるものがある)。
もともとは15~25台程度を限定生産する予定であったそうですが、その製造コストがあまりに高いために生産が見送られたという経緯を持っています。
全長は4724ミリ(けっこう長い)、そして全高は非常に低い1092ミリというディメンションを持ち、搭載されるエンジンは5.3リッターV8ツインターボ。
出力は600馬力、後部視界確保のためにリヤビューモニタを備えるという「現代でも通用しそうな」クルマです。
なお、1979年のテストでは時速307キロをマークしているものの、これはターゲットの322km/hには届かず、しかし現在の所有者である「クラシック・モーター・カーズ(英国)」が今回このブルドッグをレストアし、アストンマーティンが目指した322km/hを達成する、と発表。
もしこれが達成できるならば「41年越しの快挙」ということになりそうですが、このチャレンジまでには「18ヶ月にわたるレストア」が必要だとされ、まだまだ道のりは遠そうですね。
参考までに、このブルドッグは奇妙なヘッドライトを持っていますが、画像ではヘッドライト前のパネルが「下りている」状態。
通常はこのパネルが持ち上がってフェンダーとツライチになることで空気抵抗を軽減しますが、当時はこのフェンダーやボンネットの角度で十分な光量を得られるヘッドライトがなく、リトラクタブルヘッドライト含め、こういった方法を採用するよりほかなかったわけですね。
レストアは「現代のクオリティ」で行われる
ちなみにクラシック・モーター・カーズはレストアにあたって「信頼性を向上させるため、現代のパーツを使用する」としながらもブルドッグが持つ固有のエンジニアリングやデザインは残してゆくとしており、必要なパーツの手配を始めているところだそう。
このブルドッグはわずか1台のみが生産されたのちにプロジェクトが終了しており、その後どうやってクラシック・モーター・カーズにたどり着いたのかはわかりませんが、とにかく情報が少ないクルマ。
現在はアストンマーティンらしいメタリックグリーンへと(クラシック・モーター・カーズが入手したときから)ペイントされているものの、もともとはシルバーだったといい、クラシック・モーター・カーズでは「だれでもいいので、当時の情報を持っている人は提供してもらえるとありがたい」と述べています。