| ただしコネクテッドウォッチ、レディースに関してはこれまでのラインアップを継続するようだ |
この決定は新しい腕時計部門責任者、ジャン・アルノーによって行われる
さて、ルイ・ヴィトンがその腕時計ラインアップ「タンブール」をフルモデルチェンジ(メンズラインアップのみ)。
なお、ルイ・ヴィトンはブランドとしては非常に長い歴史を持っていますが(1854年創業)、腕時計業界に算入したのは21年前であり、そこでルイ・ヴィトンが満を持して放ったのが「タンブール」。
それまでにもヴェルサーチェ、グッチ、フェンディ、ディオール、ティファニーなど多くのハイブランドが腕時計ビジネスに参入するも成功を収めることができず、そこでルイ・ヴィトンは腕時計業への参入にあたり他社事例について研究に研究を重ね、そこで生まれたのがこのタンブールというわけですね。
ルイ・ヴィトン「タンブール」のキーワードは排他性
なお、多くのハイブランドが腕時計業界で成功を収められなかった理由としては「普通の腕時計にブランド名を乗せただけ」であったり「そのブランドの独自性や伝統が感じられない」ためだったのだと思われ、逆に成功したシャネルやカルティエは独自のデザインや、そのブランドの製品や価値観、歴史を表した意匠、そしてストーリーを持っています。
そしてルイ・ヴィトンは「未来の資産となるべく」新しく歴史を作ろうと考え、まずは腕時計マニアを納得させるべく、ロレックス・デイトナはじめ名だたるクロノグラフに採用されてきた名機「エル・プロメロ」を持つゼニスを傘下に収め(実際にタンブールのいくつかにはエル・プリメロが採用されている)、そしてデザインについても太鼓=タンブールを用いることでデザイン的な識別性を高めています。
ただ、そういった戦略を採用し、20年以上をかけプロモーションを継続してきたものの、それでもまだまだ「腕時計としての」地位は高くなく、このタンブールの事例は「いかに腕時計ビジネスで成功を収めることが難しいか」を示しているのかもしれません。※腕時計業界で成功するには、ずば抜けた技術やコンセプト、デザインが必要であり、工業的に優れた製品を作ったとしても、商業的に成功するわけではない
そしてルイ・ヴィトン タンブールは「第二章」へ
そこでルイ・ヴィトンはこのタンブールをリニュアールすることに決めたわけですが、その背景にあるのは(一時、イーロン・マスクを抜いて世界一の富豪に上り詰めた)ルイ・ヴィトン総帥であるベルナール・アルノーの四男、ジャン・アルノーがルイ・ヴィトンのウォッチ部門を担当することになったため(兄のフレデリック・アルノーはタグ・ホイヤーのCEOである)。
そしてジャン・アルノーが取った戦略は非常に大胆なもので、「これまでの定番製品をすべて販売終了とし、これからは高価格帯と受注生産に切り替える」。
ロジェ・デュブイにも似た戦略であもりますが、これまで販売していた数十万円からはじまる定番を一掃したうえで、その後に投入する腕時計の中心価格帯を200-300万円に設定し、オーダー品や限定品はその数倍上、という驚異のプライスゾーンへと持ってゆくという計画です。
実際のところ、7月末あたりをもって全ての現行タンブール(コネクテッドウォッチ除く)が店頭から姿を消すとされ、ルイ・ヴィトンのウエブサイトでもこれまでの定番モデルの大半がドロップし、現在表示されるのは「(新)タンブール」「タンブール ストリートダイバー」「タンブール モノグラム」「タンブール スリム」「タンブール ムーン」「タンブール ホライゾン ライト・アップ」のみとなり、おそらく(メンズについては)「タンブール ストリートダイバー」「タンブール モノグラム」「タンブール スリム」「タンブール ムーン」の表示も近日中になくなってしまうものと思われます。
ルイ・ヴィトン「新」タンブールはこんな腕時計
そこで今回、「新作」タンブールとして発表されたのが「タンブール オトマティック スティール」。
「シルバー」「ブルー」の文字盤が揃いますが、ステンレススティールケースにもかかわらずその価格は2,168,000円に設定されており、まさに前もってアナウンスされていた通りの価格帯ですね。
その外観は「タンブール(太鼓)」イメージを継続しつつ、しかし厚みが抑えられて(8.3ミリ)ドレッシーな印象に。
一方でアワーマーカーとマッチした「LOUIS VUITTON」の文字は健在です。
なお、ケース径は40ミリ、さらにはストラップが「ケースに埋め込まれるように」デザインされているので腕への馴染みが良いといい(ラグが中心に向けて移動したという概念)、コマのひとつひとつをラウンドさせることでさらなるフィット感を追求しているようですね。
ケース、文字盤、ベルトともにブラシ、マイクロサンドブラスト、ポリッシュといった技術を組み合わせて立体感を演出しており、さらにはアプライドインデックス、そして「一段下がった」スモールダイヤルによってさらなる立体感も。
なお、ル・セルクル・デ・オルロジェ社との協業によって開発された初の自社製自動巻き3針ムーブメント「キャリバーLFT023(ISO 3159 クロノメーター認証、パワーリザーブ50時間)」を搭載しています。
巻き上げローターは「マイクロ」、そして22Kローズゴールド製が採用され、やはりマイクロサンドブラストが随所に、そして効果的に使用されているようですね。
ぼくは「個性が際立っている」という理由でタンブールをいくつか愛用していますが、この新タンブールは(ぼくにとって)高級感が強すぎるように思われ、正直なところさほど惹かれる要素はなく、ひとまずはこれからどんどん発表されるであろう新タンブールのバリエーションに期待したいと思います。
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参照:Louis Vuitton