| 一方、腕時計すべてが下がっているわけではなく、オメガ、カルティエは上昇傾向 |
ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲは「流通しやすい価格」の範囲を超えてしまった
さて、ブルームバーグによると「ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲ」といった高級腕時計の相場が下がり続けている、とのこと。
これらスイス製高級腕時計の相場は2022年にピークを打っていますが、そこに至る経緯としては、コロナウイルスのパンデミックに入ったのち、「本来、旅行などに使われる予定であった」お金が(コロナのためにどこにも行けなくなったので)行き場を失ってしまい、そこでそのお金が高級機械式腕時計市場になだれ込むこととなり、結果として需給のバランスが一気に崩れてしまったのが(相場高騰の)きっかけだと言われています。
参考までに、コロナウイルス感染拡大以前からロレックスはじめ機械式腕時計の相場は上昇傾向にあったものの、コロナ禍に突入した瞬間は(先行き不安から)大きく下落することになり、しかしそこから(上述の理由によって)大きく反転することによって「不動産やクラシックカー、絵画、株式など、あらゆる対象よりも魅力的な投資対象」となったわけですね。※一瞬の下落を狙ってロレックス・デイトナを仕込んだ人は相当な富を築いたと言われている
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現在、腕時計は魅力的な投資対象ではない
しかしながら今回の報道によれば、価格高騰が著しかった「ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲ」については6月も(先月に引き続き)相場が下がり、トレンドとしてはこの2年間ずっと下がりっぱなしとなっているのだそう。
この価格調査は英国に拠点を置く腕時計取引プラットフォーム、「サブダイアル」によって行われたもので、6月だけを見ると1%の下落と「まだ微小」ではあるものの、この1年間で8%、過去2年間では23%も下落しており、米国株式市場のベンチマークであるS&P500指数が過去1年間で27%上昇したこととは対照的です。
この理由として様々な要因が報じられており、ひとつはビットコインはじめとする暗号資産の動きが活発になり、(とくに若い)投資家の目がそちらに向いたこと。
そしてもうひとつはやはり株式相場の上昇で、投資効率や売買の容易さを考慮すると「腕時計よりも株式」という判断になったのだと考えられます(腕時計の売買はけっこう面倒である)。
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しかしボクは機械式高級腕時計の相場下落についてこう考える
ただしぼくは機械式高級腕時計の相場下落については別の理由も存在するんじゃないかと考えていて、それは「相場の上がりすぎ」。
ロレックスだとステンレススティール製のスポーツモデル(俗に言うスポロレ)だともう二次流通価格では「数百万円」にも達しており(コロナ前の倍くらい)、ここまで高くなってしまうと容易には手を出せない状態です。
たとえば「100万円台」であれば、若いサラリーマンが「価値が下がらないから」ということで投資も兼ねて自分へのご褒美に購入するケースもあるかもしれませんが、もう「300万円」「500万円」となってしまうと話は別で、つまり現在の人気モデルは価格が上がりすぎていて、結果として購入できる人が減ってしまい、そこで「取引数量が減ってしまった」ために価格が下がっているのだと考えているわけですね。※取引が行われる頻度が減ると価格が上がりにくくなるので投資対象として魅力的ではなくなり、投資家が離れる傾向にある
実際のところ、上述の腕時計取引プラットフォーム、「サブダイアル」によれば「ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲの価格は下がり続けているが、オメガとカルティエは上昇している」とのことで、オメガとカルティエに共通するのは「まだ頑張れば買える価格」、つまりはコロナ前のロレックスの水準にあるということ。
よって「ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲ」の価格が下がってきているのは、けして「絶対的な価値を失った」と判断されたわけではなく、投資対象として「手頃な」単価を超えてしまったことで「もう大きくは上がらないだろう」と判断されたからであり(これをして”価値を失った”と言われれば、それまでではあるが)、投資家は次の「ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲ」となるであろうカルティエ、そしてオメガに目を向けているのだと思われます。
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参照:Bloomberg