レンジローバー・ヴェラールには「非レザー」の内装オプションがある模様。
標準レザーの上位に「レザーに代わるプレミアム素材」として設定されており、最も高価な「ウインザー・レザー」の一つ下の価格帯となるようですね。
これはニュジーラーンド産の天然ウールをブレンドした素材で、デンマークのKvdrat社製とされています。
ランドローバーのデザインチーフ、ジェリー・マクガバン氏によると「高級素材に対する考え方は近年変わってきている」とのことで、方向性としてはより「洗練されてきている」とのこと。
特に欧州では「毛皮」に対する拒否反応や、生物に負荷をかける皮革の使用に対しても嫌悪感を示す人が増えているようで、一切の動物性食品を採らない「ヴィーガン」も増加。
加えてそういった人々は社会的地位が高かったり、所得の高い人が多く、高級車にレザーが使用されていることが許容できない、という例も(ジェリー・マクガバン氏もその傾向がある模様。レザーそのものが嫌いなのではなく、レザーを妄信的に好む人を嫌いなのかもしれない)。
そのためかベントレーは「ヴィーガン対応」となる、レザーを一切使用しないインテリアを提供する用意があると公表しており、マセラティもゼニア製の生地(シルクウール)を使用したインテリアを提供していますね。
なお「アルカンターラ」は人工素材なので動物とは無縁ですし、最近はメッシュなど化学繊維を使用した内装も高級スポーツカーを中心に増えており、こういった素材は「見た目の新しさ」を演出するのにも向いていそうです(レザーではできないことができ、レザーとは異なる質感をもつ。スポーツカー的には”軽い”というメリットも)。
人工的に「レザー」を再現するという「レザー信仰」から解き放たれ、こういったメッシュ素材のように「レザーと違う」素材をあえて使用するというのは考え方として新しく、歓迎すべき傾向ではないか、とぼくは考えています。
加えて、こういった傾向が拡大すると、長らく続いた「レザー=高級」という概念も変化すると思われ、インテリアのデザインそのものも大きく変わることになりそうですね。