予定通り新型ポルシェ・カイエンが発表に。
デザイン的には大きく変わるものではありませんが、ヘッドライトがよりスリムになり、グリルがさらに水平基調、加えて左右とセンターが連結した形状に。
(ポルシェ・ジャパンのプレスリリースはこちら)
これはフォルクスワーゲン・アウディグループに共通する最近の手法であり、同グループではブランドを超えて共通性を持たせてきていることがわかります。
さらには911、パナメーラとよく似た外観が与えられ、「ポルシェファミリー」としてもアイデンテティも強調しているようですね。
↓新型カイエンのデザイン考、現行モデルとの外観における比較は下記に
第三世代に突入したカイエンは室内が広くなり、重量がより軽く。
ポルシェ・カイエンは2002年の発表以来、じつに76万台を販売したモデル。
「76万台」がどういった数字かというと、ポルシェ911(1964年発売)がようやく今年に100万台目の生産を達成し、マツダ・ロードスター(1989年発売)も今年でようやく100万台となっており、いかにカイエンの販売量が多いかがわかります。
加えて「第二世代」のカイエンだけで50万台を販売しており、「尻上がり」に販売が伸びている、ということも特筆に値する部分ですね。
ホイールベースは先代と同じながらも全長は7.5センチほど増えており、これは主にカーゴスペースの拡大に充てられており、その容量は先代比で15%アップ。
やはり注目すべきはその重量で、サイズを拡大しながらも先代比で重量はマイナス65キロとなっており(ウワサほどはダイエットできなかった)、第一世代では車体重量2410キロながらも、第2世代ではそこからマイナス180キロ、そして第三世代ではさらに65キロを軽量化している、ということに。
フロアや骨格の多く、そしてボディパネルの全てはアルミ製となっているほか、911GT3に採用されるリチウムポリマーバッテリーを採用するなど相当に軽量化には注意が払われている、ということもわかります。
新型カイエンのラインアップはまずベースモデルの「カイエン」、そして「カイエンS」からスタートし、カイエンは3リッターV6ターボ(340馬力、先代比+40馬力のアップ)、カイエンSは2.9リッターV6ツインターボ(440馬力、同20馬力のアップ)。
馬力が向上して重量が軽くなった効果は大きく、0-100キロ加速においてはカイエンで7.7秒から5.9秒に、カイエンSでは5.5秒から4.9秒に。
この「4.9秒」は911カレラの「4.6秒」に肉薄するタイムであり、新型カイエンは相当に速くなっている、と言えそうです(パワーウエイトレシオの向上以上に加速が速くなっており、なんらかの制御系の進歩もありそう)。
なおトランスミッションは8速AT、駆動方式は4WD。
ホイールサイズは19-21インチ、後輪操舵(リアアクスルステアリング)もオプションで用意している、とのこと。
これまでオプションだったPASMは新型カイエンから標準装備となっているようですね。
エアサスペンションは「3チャンバー式」となり、これをコントロールするのはフォルクスワーゲン・アウディグループが強力に推し進める48Vシステム。
これによってより素早い制御が可能になったとしています。
その他特筆すべき点は「InnoDrive」、つまりポルシェの新しい半自動運転機能を備えていること(オプション)。
そして嬉しいのは「ホイール縁石ヒット」を防いでくれる「リムプロテクション」(やはりオプション)。
これはカメラによってホイールが当たりそうな段差を検知し、当たりそうになるとブレーキを自動でかけてくれる、というデバイスです。
内装においてはアナログメーターとデジタルメーターとが組み合わされ、パナメーラに比べるといささか「トラディショナル」な雰囲気。
ドライブインフォーメーションを表示する7インチディスプレイ、タッチ式の12.3インチインフォテイメントシステムを装備しているほか、これまでカイエンの一つの特徴であった、「ずらりと並ぶボタン」は影を潜め、タッチ式による操作が多く採用されているように見えますね。
新型カイエンについて、ショールームに登場するのは2018年半ばで、価格はアメリカでは65,700ドル(カイエン)と82,900ドル(カイエンS)から。
現行に比べると価格上昇は僅かに50万円程度となり、軽量化(燃費向上)、パワー増大、PASM標準装備化などを考慮すると「かなり競争力がある」価格設定と言えそうです。
おそらく今後は「カイエンGTS」「カイエン・ターボ」「カイエン・ターボS」「カイエン・ターボS E-ハイブリッド」とバリエーションを拡大してゆくこととなるはずですが、第二世代カイエン以上のヒットが予想され、早々に「累計生産100万台達成」の声を聞くことが出来そう。