中国企業がまさかのメルセデス・ベンツに手を出す
ボルボ、そしてロータス、さらにはロンドンタクシーまで買収した中国の吉利汽車がなんとダイムラー(メルセデス・ベンツ)の株式を取得。
中国中央テレビ局(CCTV)報じるところによると吉利汽車はこれに40億ユーロを投じてダイムラーの総発行株式の5%に当たる量を取得。
なんだ5%じゃない、と思うかもしれませんが、これは株主として「3番目」の規模となり、無視できない状況だと言えます。
あながち夢物語とは言えない
なお、吉利汽車がダイムラーの株式取得に動いたのは2回目で、1回目はダイムラーに直接株式の譲渡を打診。
しかしながらダイムラーがこれを拒否したために今回(これが2回目)株式市場を通じて株式を購入したということになりますが、おそらく最終的な目的はメルセデス・ベンツをも傘下に収めたいという意向を持っているはずで(荒唐無稽に見えるがやりかねない)、ダイムラーとしては相当に警戒感を強めているのかもしれません。
特に現在吉利汽車は現在株価が相当な勢いで上昇しており、その時価総額はフォードの約半分。
今後もこの傾向は継続するとみられますが、他の中国における自動車メーカーのように「提携」によって業績を伸ばすのではなく、「買収」によってその業容を拡大している自動車メーカーだけに、その「野望」はとどまるところを知らないのだろう、と思います。
現段階では風車に戦いを挑むドン・キホーテのようなものではあるものの、この無謀に見える物語の結末はどこにあるのか、今後の行く末を見守りたいところですね(ダイムラーは交渉を拒否しているので、買収するにしても”敵対的買収”となる)。
同業種において、小さな会社が大きな会社を買収しようとした例はいくつかあり、自動車産業だとポルシェがフォルクスワーゲン・アウディグループに手を出したのは記憶に新しいところ。
ただしこれは(リーマンショックによる株価下落という影響で)失敗に終わり、逆にポルシェがフォルクスワーゲンに吸収されて上層部総入れ替えという終劇を迎えたわけですが、「ポルシェがフォルクスワーゲンを」乗っ取るよりは吉利汽車がダイムラーを買収する方がありえるかもしれない、とは思います。
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