| なぜ住宅街の地面に? |
フェラーリ・ディーノは今年で50周年を迎えますが、そんなディーノのちょっとめずらしい話をここで紹介。
アメリカはロサンゼルスの住宅街の地面の下からディーノ246GTSが出てきたという話ですが、これが見つかったのは1978年。
ただ、今に至るまでこのディーノは(レストアを受けて)登録されておらず、そしてなぜここに埋まっていたのかも様々な調査にもかかわらず全く謎のまま。
ディーノにまつわるストーリーは多々あれど、これだけ奇妙な背景を持つ個体はそうそうないかもしれません。
発見されたのはロサンゼルスの住宅街
ときは1978年にまで遡りますが、ロサンゼルスのダウンタウンにて、地元の子供達が地面を掘って遊んでいたところ、「何か」が埋まっているのを発見。
ショベルの先端が何かに当たったとのことで保安官を呼び、そして保安官は業者を呼んで掘り出してみたところ、それはなんと「ディーノ246GTS(メタリックグリーン、車体番号は07862)」。
当時のロサンゼルスタイムの記事によると「クルマは驚くほどコンディションがいい」とのことで「200万円の価値がある」と記しています(当時の200万円はインフレ率を考慮すると、2018年では900万円くらいに相当)。
なおディーノ246は1968年から1974年にかけて生産されていたので、1978年だとまだ「現役のスーパーカー」という印象があったと思われ、世間的にかなりな衝撃があったことが想像できます。
前年にはフェラーリを「棺」にした富豪も
その前年にはこのディーノとは無関係に、自身の所有していたフェラーリ330アメリカを「自分の棺」として自分と一緒に埋葬した富豪も。
この人はテキサス(石油で一発当てた人が多い)出身の未亡人で、当時ビバリーヒルズ在住のウエストさんといい、37歳の若さで薬物の過剰摂取にて死亡。
生前の希望によって、死後には「レースのナイトガウンを着て、フェラーリの運転席に座った状態で」夫の横に埋葬されることになり、フェラーリごとビバリーヒルズからテキサスまで輸送され、そこで埋葬されたという記録が残っています。
この件はその年の「もっとも大きなニュースの一つ」としてアメリカ報道史に残っているそうですが、当時話題となっただけに「泥棒が掘り起こさないよう」トラック荷台分のコンクリートをフェラーリ330アメリカにかけて埋葬したようですね。
よって、この次の年に今回紹介するディーノ246GTSが「地面の下から」見つかったとき、多くのアメリカ人は「またか」と考えた、とも記録されています。
しかしこのディーノは「棺」ではない
ただ、このディーノ246GTSの車内に人はおらず、「棺」ではないことは明らか。
ナンバープレート(832LJQ)も付いたままで、そこからこのディーノ246GTSは1974年10月にアラバマ州のロセンド・クルス氏が購入したことがわかっていますが、クルス氏は1974年11月にこのディーノ246GTSを「盗まれた」と届け出ており、実際に警察に記録されていることもわかっています。
なお、この事件に関しては「盗まれた」ことが調査の結果認められており、22,500ドルがクルス氏へと支払い済みだそう。
ここでふと思うのは「保険金詐欺(ブガッティ・ヴェイロンを池に落として保険金を不正に受け取った人も)」ですが、埋めたところは住宅街で、クルス氏とは何の関係もないところ。
クルマを見つからないようにするには海にでも捨てればいいだけですし、もしあとで掘り起こすならもっと「掘り起こしが容易な」ところを選ぶはず。
そして当時でも「ディーノが見つかった土地」には家が建ち人が住んでいて(3ヶ月前に引っ越してきたばかりだが、すでに家は建っていた)、もちろんその住人も家を購入もしくは借りるときに何もディーノのことは聞いておらず、そしてずっと前から住んでいる近隣住人も「1974年から今までに、なにもおかしなことはなかった」と証言しているのがさらにナゾ。
今に至るまでレストア、登録されていない
なお、当時の新聞では「コンディションはいい」と記されているものの、実際はかなりひどかったようで、このディーノ246GTSを調べた記録では、「21レイヤー塗装は所々剥がれ(塗装が21層というのに驚き。14はレイヤー、7層がカラーペイント)」、ボディとホイールは腐食が進み、内装は傷みが激しく(ウインドウとボディとの間にはタオルが挟んであった)、マフラーには土が詰まり、カムシャフトとカバーはサビつき、エンジン・ルーム内は破損していた」とされています。
それでも当時は多くの購入希望が殺到し、しかし現車を確認すると誰もが購入をあきらめたとされ(写真を見るとそこまでひどくないように見える)、最終的に購入したのはサンフェルナンド・バレーで修理工場を営む若者で、その価格は9000ドル。
その後修理工場は移転して行き先も不明となってしまい、このディーノも同時に行方がわからないままとなっているそうです。
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VIA:Jalopnik