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ポルシェによる993のレストア「プロジェクト・ゴールド」。なぜポルシェは旧車にも最新技術を用いるのか?

2018/08/11

| プロジェクト・ゴールドには当時にはなかった技術が使用されている |

ポルシェが993世代の911ターボをレストアする「プロジェクト・ゴールド」が着々と進行中。
これはポルシェ70周年記念の一環として行われているもので、ポルシェが自らベースモデルとなる993ターボを手配し、それを「完全に」分解して新車同様(というか新車?)に蘇らせる、というもの。
これまでにもホイールのペイントや加工、シートの縫製などが公式動画として公開されています。

▼関連投稿▼

https://intensive911.com/?p=132680

ポルシェのボディ下地処理はこうする

今回リリースされたのは「ボディの下地処理」。
ポルシェによれば「コーティング。保護と安全」とのことですが、これは塗装の保護を行うコーティングではなく、ボディをサビや腐食から守るコーティングのようで、動画ではドンガラとなったボディの洗浄、そしておそらくは防錆処理のための下地づくりとして液体の入ったプールにドボンと浸ける様子がわかります(昔はこうやって”塗装”されたのだと思われる)。

現在公開されているのは8つのコンテンツのうち4つまで。
まだまだ全容が見えてきませんが、どういったクルマが出来上がるのか楽しみですね。

  1. ビジョン。発見され、高められる。(公開済み)
  2. 洗練。ラッカーとレーザー。(公開済み)
  3. クラフトマンシップ。縫い目とステッチ。(公開済み)
  4. コーティング。保護と安全。(公開済み)
  5. マリッジ。エンジンと電気系統。(8月17日)
  6. 報道機関に公開する時が来ました。(8月24日)
  7. ワールドプレミア。(9月27日)
  8. オークション。(10月27日)

ポルシェがレストモッド?

なお、今回は単にレストアするだけではなく「現代の」技術を用いてレストアがなされています。
こういった、レストア時に「今風」に仕上げることを「レストア+モディファイ」で「レストモッド」と言われるようですが、まだまだこれは普及していない言葉。

ポルシェはオリジナルを大切にする会社というイメージがあり、多くの人は「993に最新の技術を盛り込むなんて」と思うかもしれません。

ただ、ぼくが思うのは、ポルシェは常に「最善」を求めてきた会社。
つまり現状に満足したことはないと思われ、おそらくはポルシェが考える「ベスト」はまだ実現していないのだろう、と考えています。

逆に考えると、「最高のものができた」と思うとそこからの進歩がなくなってしまうわけで、ポルシェの場合、「これまでで一番いいものができた」とは思えど、その瞬間に「まだまだいいものができるはずだ」とすでに考えているのでは、と思うのですね。

そういった会社だからこそたゆまぬ進歩を続け、ぼくらの想像の常に上をゆく製品を送り出してくることになり、その意味では今回の993に最新の技術を盛り込み、「もっといいものを」作ろうとするのはポルシェにとってごく自然なことなのかもしれません(もしくは、70周年記念という性格を鑑みるに、過去と未来とをつなげたかったのかも)。

要は「オリジナルにこだわる」というイメージはぼくらが勝手にポルシェに対して作り出した幻想であり、当のポルシェにとってオリジナルとは「過去」でしかなく、ポルシェ自身はその過去の先にある未来を見ているのだろう、とも考えています(だから過去をそのまま再現することは、ポルシェにとって後退であるのかも)。

「最新のポルシェが最良のポルシェである」とはポルシェがずっと掲げてきた主張ではありますが、ポルシェは「先」を見ていて、しかしぼくらユーザーは「過去を見ている」のは、これまた奇妙な現象だと言えるのかもしれませんね。

それでは動画を見てみよう

こちらが最新の、ボディそのものの下地処理を行う動画、「Project Gold - The coating. Protect and preserve.」。

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