レクサスは単なるトヨタの高級版ではない?
東洋経済にて、「ランクルとレクサスLXはどう違うのか」という記事が掲載。
レクサスのSUVには「UX」「NX」「RX」「LX」がありますが、UXはトヨタC-HR、NXはトヨタ・ハリアー、LXはトヨタ・ランドクルーザーがベース。
そしてUXはC-HRに比較して200-230万円高、NXはハリアーに比較して100万円くらい高く、LXはランドクルーザーに比較し最大670万円も高くなっています。
そして、その価格差はどこにあるのか?というのが記事の主眼でもあるわけですね。
数字で見るレクサスLXとランクルはこうなっている
まず、数字にてレクサスLXとトヨタ・ランドクルーザーを比較するとこんな感じ。
ホイールベースが同じであることから、基本的に「プラットフォームはそのまま」であることがわかりますが、エンジンやトランスミッションが違うんだな、というのは新鮮な驚きです。
レクサスLX | ランドクルーザー | |
ボディサイズ | 全長5080mm 全幅1980mm 全高1910mm | 全長4950mm 全幅1980mm 全高1880mm |
ホイールベース | 2850mm | 2850mm |
重量 | 2730kg | 2430-2690kg |
エンジン | 5.7L/V10 | 4.7L/V8 |
出力 | 377馬力 | 318馬力 |
トランスミッション | 8AT | 6AT |
価格 | 1115万円 | 478-683万円 |
乗員 | 5/8名 | 5/8名 |
記事では、まずランクルがクロカン4WDという「実用車」として誕生したということについて言及。
そして「より豪華で高級、優雅さや威厳にあふれる」クルマとして登場したのがレクサスLXであり、ベースは同じでも生い立ちが異なる、としています。
レクサスLXは「ランクルあってこそ」ではありますが、新しい時代の要望によって誕生したクルマだと言えますね。
そしてレクサスLXについては専用の5.7Lエンジン、そして「より大きなエンジンとハイパワーに耐えるべく」車体が強化され、低い回転数で快適に走行できる8ATの導入、専用にチューニングされたサスペンション、21インチホイールと扁平タイヤが「専用」にて装備されることを機能面での違いとして挙げていますが、たしかに「出力が大きく、ATの段数が多い」となると大きく乗り味は変わることになりそう。
レクサスのレザーシートは一味違う
さらに、内外装に採用されるパーツの加工品質もレクサスのほうが優れ、レザーにしても「セミアニリン」レザーの使用など、様々な部分で異なるようです。
ちなみに「セミアニリン」というのはよく聞く言葉ですが、セミアニリンレザーは着色に「染料」を使用したものを指し(仕上げには顔料を載せている)、しかし一般的なレザーシートのレザーは「顔料による着色」。
どう違うのかとう言うと、染料は文字通り革に色を染み込ませるもので、革の表面がそのまま「質感」として残ります。
これは高級感が出る半面、「傷があったり、表面が不均一なレザーは使用できない」ということも同時に示しています(物理的には使用できるものの、見た目がとんでもなく不細工になる)。
しかし顔料仕上げだと、「革の表面にベッタリ塗料を塗る」ことになるので、もととなる革の品質はあまり関係がなく、傷や凹凸のある革を機械でプレスして平坦にし、その上から「もとの革がどんな風合いなのか」わからないほど分厚く塗料を塗ることになって、よってこれはレザーシートとはいえども、表面は「合成皮革と変わるものではない」ということに。
よってぼくはセミアニリンレザー以外のレザーシートにはお金を払いたくはなく、自動的についてきた(顔料仕上げの)レザーシート、顔料仕上げのレザー巻きステアリングホイールを水や洗剤でガンガン洗うのはそのためです(結局表面は樹脂なので、レザー用のクリームを塗っても意味がない。レザーシートの大半はレザーと呼べるものではない)。
トヨタとレクサスはぜんぜん違う
レクサスはトヨタの高級ブランドではありますが、そこでよく言われるのが、「レクサスはトヨタをちょっと高級な見た目にして、ぼったくったクルマ」。
ですが、ぼくはやっぱりトヨタとレクサスとの間には大きな隔たりがあると考えていて、先日レクサスUXを試乗したときにそれは確信に変わることに。
どういうことかというと、レクサスUXとトヨタC-HRは同じプラットフォームを使用していて、ホイールベースや室内のサイズがほぼ同じことから、そしてサスペンション形式が同一であることからも「基本構造は同じ」クルマ。
ただ、そもそもドアを開けたときの感触、ドアを閉めたときの音、エンジンを指導したときの振動や音、ブレーキのタッチなどが「全然」違うわけですね。
以前のトヨタやレクサスは、「違うプラットフォームを使用しているのに、どのクルマもタッチやドライブフィールが同じ」という奇妙な現象を持っていたものの、現在のトヨタ、そしてレクサスは「同じプラットフォームを使用しているのに、ぜんぜん違う印象を感じさせるようになった」、と感じています。
これは結構難しいことで、「どこをどうすれば、どうドライバーに与える印象が変化する」ということを知らないとできないことでもあり、これができるメーカーはぼくの知る範囲でもそう多くはなく、しかしトヨタ/レクサスはそのレベルに達した、ということに。
レクサスUXとトヨタC-HRの場合は、トランスミッション含むドライブトレーンの差異もあって、そのぶん大きく印象が変わることにはなりますが、いずれにしてもトヨタは「ここまでフィーリングの差を演出できるメーカーになったのか」というのが偽らざる印象です。
レクサスNXとトヨタ・ハリアーはどう違う?
なお、同じく東洋経済では「トヨタ・ハリアーとレクサスNXはどう違うのか」という記事も掲載。
これらもやはり共通のプラットフォームを使用するものの、ぼくは「レクサスLXとランクル」「レクサスUXとトヨタC-HR」との間柄よりも差は小さいと考えていて、実際に「エンジンやハイブリッドシステムも共通」。
記事でも「その差は内外装の仕上げが主なところ」としているとおり、ぼく自身も両者に大きな違いはないと認識しているわけですが、「思ったよりもレクサスっぽくない」NXにがっかりした記憶も。
これ(レクサスNXとトヨタ・ハリアーとの差が小さい)にはいろいろな事情があるのだと思いますが、レクサスNXが最初に登場(現在のNXはマイナーチェンジを迎えている)した際にはまだ、トヨタが「フィーリングの差を感じさせる手法を身につけていなかった」からなのかもしれません。