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| ミニバンの隣には並ばない。トヨタがレクサスに託す「超高級体験」 |
ただし日本だとどうなるかはわからない
トヨタの新しいフラッグシップスポーツカー、GR GTは単なる高性能車ではなく、モータースポーツ部門であるGAZOO Racing(GR)が主導して開発を行い、新設計によるV8ハイブリッドパワートレイン、トヨタ初のオールアルミ骨格など、専用技術の粋を集めたスーパーカー。
現在は発表がなされたのみで「発売」には至ってらず、よって価格はまだわからないものの「数千万円」に達すると予想され、つまりトヨタとしては超高価格帯に位置づけられるのは間違いないと見られています。
そしてこの価格帯と特別な車両ステータスを考慮し、トヨタはGR GTの販売に関して異例の戦略をとることが判明したというのが今回のニュース。
ここでは、GR GTが通常のトヨタディーラーでは販売されないという独占的な販売体制の背景、そしてなぜトヨタがこのフラッグシップモデルの「販売体験」をレクサスディーラーに託したのか、その戦略的意図を考えてみたいと思います。
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この記事の要約
- GR GTの予想販売価格と、その高額さが販売チャネルの決定に与えた影響
- 通常のトヨタディーラーではなく、「一部のレクサスディーラー」でのみ販売されるという特別な販売チャネル
- ポルシェ 911 GT3やフォード マスタング GTDなど、GR GTがベンチマークとする競合車の価格帯
- 高価格帯の顧客が求める「例外的なセールス・アンド・サービス体験」とは何か
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数千万円のGR GTがレクサスディーラーを選ぶ理由
フラッグシップにふさわしい価格帯:2,000万円以上か
GR GTの正確な価格はまだ公表されていませんが、プロジェクトマネージャーの土井崇氏が「市場にあるGT3カーを参考にしてください」と述べていることから、その価格帯は明確です。
- GR GT 予想開始価格:2,000万円〜3,000万円超(約225,000ドル以上)
- 参考: 2025年型ポルシェ 911 GT3の開始価格は231,000ドル(約3,400万円)
- 参考: フォード マスタング GTDはポルシェよりさらに10万ドル高価
- 過去のフラッグシップ: 2012年レクサス LFAの開始価格は375,000ドル(現在の価値で約530,000ドル)。ただしGR GTは(カーボン製シャシーを使用しないなどの点から)LFAほど高額ではないと見られている
そしてこの「数千万円の価格帯の車両を購入する顧客」は、一般的な車種を扱うトヨタディーラーでは提供が難しい、極めて上質で個別化されたセールス体験を求めているというのが「GR GTはトヨタディーラーではなくレクサスディーラーにて販売する」という大きな理由となっているようですね。
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販売チャネルの決定:トヨタではなくレクサスへ
実際のところオーストラリアのカーメディアによると、トヨタの広報担当者は、GR GTの販売について「選ばれたレクサスディーラーのみで購入可能になる」と明言しているとのことで、その理由は以下の通り。
- 理由1:顧客体験の質
- レクサスはトヨタの高級ブランドであり、そのディーラーは超高額車を購入する顧客層にふさわしい静かで洗練された商談スペースと、高いレベルの専門知識を持つサービス体制を備えている
- 理由2:ブランドの明確化
- GR GTは「GR」ブランドのフラッグシップとして位置づけられているが、その価格と技術の複雑さに起因し、日常的な、かつ普及価格帯のクルマが並ぶトヨタディーラーのラインナップから切り離し、独立した高級な立ち位置を明確にする必要がある
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GR GTは、トヨタとして初のオールアルミ骨格を採用しており、ボディパネルにはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)とアルミが多用されているほか、パワートレインには新開発のV8ツインターボエンジンに単一のモーターを組み合わせたハイブリッドを採用し、最低でも640馬力、850Nmを発生させるというスーパースポーツ。
この複雑で高度な技術を持つ車両の整備・メンテナンスには、レクサスが持つ専門的なサービスネットワークが最適だとされており、価格の他にも「技術的な問題」が関係していることも推測できます。
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これに加え、やはりGR GTを「普通のトヨタ車と並べたくない」「レクサスブランドのスポーツイメージを高めたい」という思惑も絡んでいるはずで、もしかすると北米では「レクサスブランドから」モータースポーツに参戦することとなるのかもしれません。
なお、日本では独自の販売チャネルとして「GRガレージ」が存在し、GRガレージが展開されていない国であればともかく、日本であればGRガレージでの販売の可能性も残されており、最終的にどうなるのかはナゾのまま(GRガレージでGR GTを扱えないとなると、それまたGRガレージの存在意義を否定しているようなものである)。
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レーシングカー直系の兄弟モデル
さらにGR GTのユニークな販売戦略はそのルーツにも起因しているとされ、つまり「GR GT3」の存在というわけですが、これもやはりGR GT3が「レクサス」ブランドから「レクサスRC GT3の後継として」参戦するという噂を肯定するかのようなニュースです。
なお、このGR GTには「トヨタの文字やマーク」がどこにも見当たらず、つまり最初から「トヨタブランドでは販売しない」という想定のもと開発されたということがわかります。
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- GR GT3との同時開発: 公道仕様のGR GTは、レース専用モデルであるGR GT3と並行して開発され、市販モデルにはハイブリッドシステムが搭載されるものの、GR GT3は純粋なV8パワートレインとなる
- 公道を走るレーシングカー: 両車はサスペンションコンポーネントの一部を共有しており、GR GTが「公道を走るレーシングカー」としての高い位置づけにあることを裏付けている
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結論:販売チャネルが語るGR GTの「格」
トヨタがGR GTの販売を「一部のレクサスディーラー」に限定するという決定は、この車両が従来のトヨタ車の範疇を遥かに超えた存在であることを示しており、価格帯、採用技術、そして(レクサスRC後継と捉えられる)GT3レーシングカーとの密接な関係性を考慮すれば、GR GTがレクサスディーラーにて販売されることは至極納得(ベストではないかもしれないが、ベターではある)。
この特別すぎるフラッグシップの発売は2027年モデルとして予想されており、最終的なスペック発表と価格設定が、ポルシェやフェラーリが支配する世界のハイエンドスポーツカー市場にどのような波紋を広げるか、今後の動向に注目が集まります。
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参照:The Drive



















