| ほんの数年前にはMT否定派だったのがウソのようだ |
ポルシェは先日「GT系モデルには自然吸気エンジンを搭載する」と語ったばかりですが、今回は「ガソリンエンジンそのもの」「マニュアル・トランスミッション」継続の意向についても表明しています。
現在、時代はクルマにとって非常に厳しく、排気ガスだけではなく騒音規制によってもエンジンはダウンサイジングされ、パワートレインはハイブリッドになり、そしてEVも登場。
そして規制だけではなく「技術の進歩」も自動車業界を大きく買えており、トランスミッションはMTからクラッチレス、そしてトルコン式オートマが主流となりつつあります。
ポルシェは時代とは逆行する
ポルシェもそういった動向には逆らえず、エンジンはダウンサイジングターボを主力とし、トランスミッションもPDKが主流に。
そして今年にはポルシェ初のEV「タイカン」が発売され、ついに2021年辺りには911にもハイブリッドが登場といった状況です。
そしてポルシェは一時期「10%しか存在しないマニュアル・トランスミッションを継続することは困難であり、正当性を見いだせない」「そもそもPDKのほうが効率的でずっと速い」という理由からMT廃止の方向へ動くことに。
ただ、その後に登場したMTオンリーの「911R」が異常なまでの人気を獲得するにあたり、「やっぱりマニュアル・トランスミッションを継続しないとな」という方向へとシフトしています。
スポーツカーメーカーが「自然吸気エンジンとMTを捨てるのは間違っている」
そして今回、ポルシェGT部門のボス、アンドレアス・プロイニンガー氏がカーメディア「WhichCar」に語ったところだと、「自動車メーカー、とくにスポーツカーメーカーが自然吸気エンジン、マニュアル・トランスミッションを廃止するのは間違っている」と発言。
実際のところ、ポルシェのGT部門におけるMT比率はなんと50%。
ちょっと前までの10%からすると驚くべき数字ですが、これもやはり「911R効果」なのかもしれません。
なお、日本だとトヨタ86の60%、BRZの74%、ロードスターの77%、ホンダS660の60%がMTという統計があり、MTを支持する人は意外に多いということもわかります。
そしてアンドレアス・プロイニンガー氏いわく「クルマは単なる移動手段ではない」とし、「クルマは楽しみをもたらす存在で、ドライバーを笑顔にする存在であるべきだ」とも語っており、それが最新モデルの718ケイマンGT4でも「MTと自然吸気エンジン」を継続させた理由だとも述べています。
そしておそらく「あと10年は」ガソリンエンジン、そしてマニュアル・トランスミッションを存続させる意向を示しているものの、このあたりは世の中の動き次第ということになりそうで、もしかすると「早く消滅するかも」しれませんし、「思ったより長く」生き残ることになるのかも。
ポルシェ718ケイマンGT4に積まれる4リッターNAエンジンは911GT3のデチューン版ではなく新設計だった!そしてせっかく新設計したエンジンはほかモデルにも採用される可能性が大
ポルシェは現在フォルクスワーゲングループに属し、そして同グループは全ブランドあげて「エレクトリック化真っ最中」。
今回のポルシェGT部門はそれと逆行することにはなりますが、一方では「タイカン」を発売することになり、それを免罪符に「GT部門の非エレクトリック化」を手に入れたのかもしれませんね。
なお、同じように「MT継続」を表明したのはBMWそしてアストンマーティンですが、BMWの場合は「一定以上のパワーになると、BMWの使用するマニュアル・トランスミッションが強度的に耐えることができない」とされ、環境とはまた別の理由でMTが消滅するのかもしれません。