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ランボルギーニが”これまで重視してきた”ジュネーブMSに不参加を表明。「これからは顧客を招いたイベントで新型車を発表する」。なおフェラーリも同様の傾向へ

2020/01/21

| 思えばフェラーリの昨年の新型車はすべて顧客限定イベントで先行発表されていた |

ランボルギーニがなんと「ジュネーブ・モーターショーには出ない」と発表。
ジュネーブ・モーターショーはフランクフルト・モーターショー、パリ・モーターショーと並んで「世界で最も重要なモーターショーの一つ」。
実際のところランボルギーニもこれまでジュネーブにて多数のコンセプトカーやニューモデルを発表してきただけに、今回の決断は「大きな驚き」でもありますね。

じゃあどこで新車を発表するの?ということになりますが、ランボルギーニいわく「これからは、VIPや限られた顧客を優先し、プライベートイベントにて新型車を公開してゆく」とのこと。

ただ、この傾向はランボルギーニだけではなくフェラーリも同様で、昨年発表されたF8トリブート、SF90ストラダーレ、ローマ、812GTS、F8スパイダーはすべて「プライベートイベントにて先行発表」。

スーパーカーメーカーは「限られた顧客」を奪い合う

この理由にはいくつかあると思われ、そのうちもっとも大きなものは「顧客の囲い込み」だと思われます。
つまりは特別な顧客に特別な体験を提供することで、そのブランドに対する忠誠心を顧客に植え付け、ほかのブランドに流れないようにすること。
現在はスーパーカー、ハイパーカーというカテゴリにおいては非常に多くの選択肢があり、メーカー/ブランド間の競争がかつてないほど厳しい時代に。

よって、ここで顧客を放置しておくと、すぐにほかメーカーのニューモデルへと顧客が流れてしまうことになり、各スーパーカーメーカーはこれを阻止したい、ということになりそうです。
スーパーカー/ハイパーカーを購入する人は限られており、各メーカーはその「限られたパイ」を奪い合っているともいえますが、「買うかどうかわからない」新しい不特定多数の顧客を集めるよりも、「買う可能性が高い」特定顧客を重んじるほうが効率的なのでしょうね。

加えて、こういったイベントにはそのメーカーのCEOや重役が出席する場合が多く、こういった人々を間近に見たり、話をしたりということも、そのブランドとの「つながり」をもたせ、ロイヤリティを高めることに繋がりそう。

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そしてプライベートイベントのほか、もうひとつ「モーターショーの代わり」になりつつあるのがペブルビーチやグッドウッドなどの小規模かつ限定的なイベント。
こういったイベントは排他性があり一般の人が来ることはなく、従って「高い興味を持つ人々のみが集まる」といえます。

なお、限定車」は今や各自動車メーカーの貴重な収入源ですが、こういった「希少な限定車」を発表するには小規模イベント、プライベートイベントはうってつけの場であり、こういった理由もあって高級車メーカーはモーターショーから小規模イベントに軸足を移す傾向があるようです。

もはやモーターショーは意味を持たない

そして「モーターショーが意味を持たなくなった」ことも各メーカーがショーに出展しなくなった理由の一つだと考えています。

この原因としてはいくつかありますが、かつてはモーターショーのみが「新車発表の場」で、そこで発表することで記者が集まり、そこから情報が拡散する、というのが「お決まりの」流れ。
ですが今ではメーカーが独自にクオリティの高いプロモーションムービーを制作して新車をオンラインで公開すれば瞬く間に世界中に情報が拡がりますし、SNSを使用することでも新型車の認知向上が可能。

新車発表会にはジャーナリストだけではなくユーチューバーが多く呼ばれるようになったのも同じ理由と思われ、彼らは一瞬にして製品の特徴を世界中に知らしめるだけの影響力があるわけですね。

そうなると高い費用(数億円〜数十億円)を支払ってモーターショーに出展する意味は薄くなり、とくに大陸を跨いでまでそこへ行く意味となるとさらに意味は希薄。
同じ費用をかければもっと効率的なプロモーションが可能となる現在、メーカーとしては「もはやモーターショーに出展する意味は無い」と考えるようになるのも当然と言えそうです。

要は広告が「リアル」から「オンライン」へ移行しているということで、たとえば街なかを見渡してみてもビルの上にあった「看板」はいまや空きだらけで、何十万円、何百万円を支払って「そこを通る人にだけ」しか訴求できない広告にもはや価値はない、というのと同じかもしれません(同じ費用をかければネット上でかなりの集客が見込める)。

それでもモーターショーが生き残る道はある

こういった状況においてはモーターショーも時代に合わせて進化する必要があり、「進化した」端的な例が昨年開催された東京モーターショー2019。
東京モーターショーにおいては「すでにモーターショーは従来どおりの価値がない」という前提に立って位置ら企画を練り直し、そこではこれまでにない試みを多数実施。
つまり「モーターショーでなくとも顧客が得られる情報(新型車)」よりも「モーターショーの場でないと体験できないこと」にフォーカスすることによって結果的に「来場者7割増」という実績に結びついたのだと思われます。

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