| まさに戦時並みの非常事態 |
フェラーリが「3月27日まで」としていた工場操業停止を「4月14日まで延長する」と発表。
この判断については、イタリアのコロナウイルス感染状況を考慮したものというよりは「サプライヤーも休みなのでパーツが揃わないこと」が理由となっているようですね。
加えてフェラーリは株主を安心させるために「財務の健全性」そして「継続的な投資」を行ってゆくことをアピールしています。
なお、日本では「フェラーリのキャンセルは一台もない」と報じられており、現時点では納期の遅れも発生していないとコメントしていて、これを聞く限りではフェラーリにとって「コロナウイルスはほぼ影響を及ぼしていない」ということになりそう。
コロナショックでフェラーリ相場は下がるのか?販売店「キャンセルは一切ない。これしきではオーナーのフェラーリ愛は揺るがず、懐も影響を受けない」
アメリカでも自動車業界は対応を迫られる
そして米国においては「工場稼働停止」以外にも自動車業界は対応を迫られており、たとえばトヨタ自動車の北米法人は、アメリカ政府からの要望に応える形で「人工呼吸器とフェイスマスク(布製ではなく透明の樹脂製)」を製造することに。
ただしトヨタとしてもこれまで人工呼吸器を製造していたわけではなく、これから新たに人工呼吸器を設計する必要があり、今からサプライヤーを探したりといった対応を行うようですね(すでに2つの企業と新たに契約を結んだと報じられている)。
そのほかGM、FCAも政府の要請に応じて人工呼吸器、加えてフェイスマスクの製造を開始しているそうで、まさに戦時中に自動車メーカーが「本業の自動車ではなく兵器を作らざるを得なかった」状況にも似ていますが、大きく違うのは「人を殺す兵器ではなく、人を救う製品」を製造するということ。
よって、自動車メーカーは本業以外でも高い社会貢献を行うということになりますが、こういった例は今までになく、ある意味では自動車メーカーに予定外の利益をもたらすのかもしれません。
とくにFCAは自動車製造販売そのものが不振だとも伝えられているので、新たな「柱」を確立するためのチャンスだとも言えそうですね(これを機に医療機器分野へと進出するのかもしれない)。
工場休止中でもお金はかかる
欧州だとフォルクスワーゲンはじめ多くの企業が工場操業を停止していますが、フォルクスワーゲンがメディアに語ったところによると、「工場稼働を停止している期間であっても、1週間あたり2500億円が経費としてかかる」。
このほとんどは休止期間中でも支払わねばならない従業員への賃金だそうで、このほかにも「止めることができない施設」もあるのだと思われ、工場操業停止期間が長くなればなるほど損失が拡大するということに。
なお、工場操業停止に伴う解雇については、おそらく政府が「禁止」している可能性もあるものの、そのかわり政府は自動車メーカーに対してなんらかの補償金を支払うのかもしれませんね。
とにかくコロナウイルスの影響は至るところにまで及んでいますが、まだまだこの状況が収まる気配は見られず、仮に収まったとしても予想外の形で自動車産業に暗い影を落とすことになりそうだ、とも考えています。