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水冷ポルシェ乗りのボクが空冷ポルシェ”930ターボ”をレンタルしてみた!ポルシェ911ターボのルーツに迫る

投稿日:2020/04/26 更新日:

| 911っは昔から911だった |

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さて、先日紹介したポルシェ専門のレンタルショップ、「ポルシェゲート」さんにてポルシェ930ターボ(1982年)をレンタル。

930型911ターボは「初代」911ターボとなり、初登場は1975年、そして(964型にスイッチする)1989年まで改良を続けながら販売されています。

ちなみに市販車初のターボ車はBMW 2002ターボ(1973年)で、これは「どうしても欧州のツーリングカー選手権でポルシェに勝ちたかった」BMWが導入したクルマ。

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一方、ポルシェのほうは1960年代後半からターボエンジンの開発に取り掛かり、市販用としては2リッターターボエンジンを試作するものの、持ち前の慎重さが影響し、市販車に搭載されるのは上述の通り1975年(PDKも着手は早かったものの、市販車への搭載は遅かった)。

ただしレース用としては、930ターボ以前に、”917K/10”として水平対向12気筒ターボを搭載し実戦投入しています。

参考までに、当時のターボは「とんでもなく燃費が悪いシロモノ」だったそうですが、近代では「燃費向上のためのターボエンジンを採用する」という流れとなっているのは面白いところですね(ターボエンジンは、今と昔ではまったくその存在意義が異なる)。

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初代911ターボはこんなクルマ

1975年に登場した911(930)ターボは260馬力(日本仕様は245馬力)を誇り、その後1977年には3.3リッター化によって300馬力(日本仕様は265馬力)に。

なお、あまりに大きなパワーとトルクを持つことからリヤのトレッドとタイヤ幅が広げられ、これがいわゆる「ターボフェンダー(標準の1,650ミリから1,780ミリへと拡大)」ですね。

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トランスミッションは4速マニュアルですが、これは当時「5速トランスミッションではその出力に耐えることができなかったから」とも言われています。

ただ、重量配分の点から見ても、1989年に投入された5速トランスミッションのほうが「優れず」、したがって930ターボについては「4速のほうがいい」とする向きも多いようですね。

さらに930ターボはトランスミッション以外にもタイヤ性能の不足に苦しめられることになり、911ターボがそのポテンシャルを存分に発揮するにはタイヤの進化を待たねばならなかったとも言われ、911ターボの歴史はタイヤの進化の歴史(911ターボがタイヤ性能の進化を早めた)と言われるほど。

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フロントには「ビッグバンパー」。

これはアメリカの規制に対応するためで、高額な車の保険金支払いに苦しむ保険会社の救済措置のため、政府が「低速(5マイル)でぶつかっても、バンパーだけで衝撃を吸収でき、バンパー交換だけで済むように」という規制を設けたことに起因しています。

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リアには「ターボウイング」(1977年以降、この形状に変更されている)。

ダウンフォース発生はもちろん、インタークーラーを内蔵するためにこの独特な形状を採用していますが、このターボウイングは992世代となる現行911ターボにおいても健在ですね。

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ポルシェ930ターボのインテリアはこうなっている

930ターボでは(当然ですが)昔ながらの「カギ」をキーシリンダーに差し込み、それをひねってエンジンスタートする方式を採用。

これが左側にあるのは、昔のル・マン24時間レースにて、ドライバーがクルマの脇に並び、そこからヨーイドンで自分のクルマまで駆け寄ってから車に乗り込み、自分でエンジンをスタートさせる方法をとっていた時代の名残りです。

なぜそれが「左側キーシリンダー」なのかというと、クルマに乗り込んで「右手で」キーを回してエンジンをかけ、「右手で(左ハンドルなので)」シフト操作をしてクルマをスタートさせると発進が遅れるためで、「左手でエンジンをかけながら、右手でシフト操作をする」という、コンマ数秒でも早く車をスタートさせたいというポルシェの理想を実現したものだから。

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メーターは現代の911までに通じる「5連」、そして製造はVDO。

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トランスミッションは4速。

通常の5速や6速トランスミッションだと、ニュートラルのすぐ上が3速ですが、この4速ATではニュートラルの上は1速という配置となっていて、ここはちょっと戸惑うところ。

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そしてクラッチは吊り下げではなく「床から生える」オルガン式。

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このドアインナーパネルのステッチは992世代の911ターボ/ターボSにて”復刻”されましたね。

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シート形状は現代の911ともほとんど同じ。

ただしクッションがかなり柔らかく、高級ソファに座っているかのような感覚です。

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ポルシェ930ターボに乗ってみよう

そこで早速930ターボをドライブ。

ドアのハンドルには「トリガー」がついていて、これを引くことでドアを開きます。

そしてドアを閉じる時の「ガチャン」という精密機械を連想させる音は空冷世代の911特有(近いものとしてはメルセデス・ベンツGクラス)。

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キーは上述の通りステアリングコラム左側にあり、クラッチを踏み込んでエンジンを始動させますが、室内から聞くエンジン音、そして感じる振動がかなり小さく、これは年代を考えるとかなり意外な部分です。

当時、ポルシェは911ターボを「高級バージョン」的位置づけにて発売したとのことなので、制振や遮音についてはかなり高いレベルにあるのでしょうね。

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クラッチの感触はまさに独特で、吊り下げ式ではないところが操作を難しくしており、しかし930トルクのターボは非常に大きいために「アイドリングスタート」でOK。

けっこうスパっとクラッチを離しても簡単にスタートできるとは言いますが、ぼくは念のため「ゆっくり」クラッチを離してスタートさせることに。

ただしクラッチが繋がるのが「かなり手前」で、感覚的には踏みしろが「10」あるとすれば、最後の「1」で繋がる感じです。

そしてクラッチがミートしたときは明確に「ドン」という感じで後輪にトルクがかかります。

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なお、1速から2速にはちょっと入りにくく、これはポルシェの「伝統」かも。

ポルシェゲートさんによると、1速から直接2速に入れるというよりは、1速→ニュートラル→2速という感じで、一度ニュートラルで一息入れるといいとのことで、たしかにそうするとスムーズに入るようです。

そしてシフトフィーリングはまさに「蜂蜜をスプーンで掻き回すような」フィーリングで、よって水冷世代の911のように「バコン」とゲートに吸い込まれるような感覚はなく、最後までちゃんとシフトレバーを押し込んでやある必要があるのも要注意。

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そして3速以上に入れると930ターボは快適そのもの。

分厚いトルクのおかげでほとんどの速度域をカバーでき、踏めば即座にグイと出る加速、適度にしなやかで粘る足回り、どっしりとした安定感は現代の911ターボにも通じるものがあり、この時代からポルシェ911ターボの本質は全く変わっていないんだなあ、と思ったり。

なお、930ターボは、ABSやトラクションコントロールはもちろん、パワーステアリングすらないクルマですが、走り出してからの感覚は驚くほど近代的で、どうりで今でも多くの人が空冷世代の911を(普通に)乗っているわけだ、と納得させられます。

ただ、クラッチ操作が(慣れないうちは)かなり難しく、そして「限界を超えたとき」の挙動については相当に恐ろしいものがあると思われ、このあたりを現代の911では(テクノロジーをもって)「フレンドリーに」仕上げているという印象。

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911は昔から変わっていない、変わる必要のない完成度を持ったクルマだった

つまるところ、911ターボは「930ターボの時代である程度完成の域に達していて」、そこから後の世代では、「様々なものを付与してきた」のが911の進化の歴史だと言えそう。

911は初代からすでに911であり、その真髄は今でも変わっておらず、現代の911は「初代911を様々なテクノロジーによって乗りやすくしたり、安全にしたり、環境に優しくしたクルマ」であると考えられ、そのため「余分なものがついてない」空冷世代の911が愛される理由もよくわかります(最新の911を乗り継いだ人が空冷世代に戻ってゆく理由も理解できる)。

そう考えると、何十年も前によくこれだけのクルマを作ったなという驚きとともに、現代でも「変える必要がないほどの」パッケージングを持つというのは驚愕そのものであり、まさに「911おそるべし」。

なお、930ターボに乗るときにはジューダス・プリーストの「ターボ・ラヴァー(Turbo Lover)」を聴くのが礼儀だと考えているので、当然ながらこの曲を用意し、iphoneにて再生しながらドライブ。

ジューダス・プリーストのギタリスト、グレン・ティプトンは実際に930ターボを所有していて、その930に対する愛をぶつけたのがターボ・ラヴァーというわけですね。

オレはターボ・ラヴァーさ

オレたちはずっと走り続けることができる、

そう、ギアをオーヴァードライブに入れれば

全部ぶっとんで行くのさ

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空冷ポルシェを運転するときにはそれなりの装備を

反省点としては、けっこうソールがヤワなスニーカーを履いて行ってしまい、クラッチを踏むときにソールが「負けて」しまったこと。

これはロータス・エキシージの試乗でも体験したことではありますが、やはりこういったクルマを運転するときには「ソールがしっかりした」ドライビングシューズもしくはレーシングシューズを履いて行った方が良さそうですね。

加えて、今回レンタルした車両はステアリングホイールが小径、かつスウェード仕上げだったので、(滑り止め付きの)レーシンググーローブを持ってゆけばもっと運転が楽しめたな、と感じた次第。

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今回は「はじめての930ターボ」ということでなかなか適応することができませんでしたが、911の進化の歴史を知る意味でも、他世代の911、そしてボクスターの祖先でもある914、もはや登場が望めないであろうトランスアクスルFRモデルの944も借りてみようと思います。

最後になりましたが、ポルシェゲートさんには改めてお礼申し上げます。

ポルシェゲート
住所:〒562-0024 大阪府箕面市粟生新家2-5-9
電話:072-200-5060
営業時間:10:00~18:00
ウエブサイト:http://www.porschegate.com/

 

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