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【新型ポルシェ・カイエンEV】革新的800V高電圧システムで「走り」と「効率」を両立。なお冷却能力は「冷蔵庫100台分」

【新型ポルシェ・カイエンEV】革新的800V高電圧システムで「走り」と「効率」を両立。なお冷却能力は「冷蔵庫100台分」

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| ポルシェはEVにおいても「ベンチマーク」たる存在を目指す |

新型カイエンEVには「今までにない、新しい」エレクトリックシステムが搭載

ポルシェが新型「カイエン・エレクトリック」の登場に向け、これまでにない高電圧技術と効率性の両立を発表。

新型カイエンEVは、同社が独自開発した次世代プラットフォーム「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)」をベースとし、800Vアーキテクチャを採用と(すでに)公表されていますが、これにより「超高速充電、インテリジェントなエネルギー制御、高効率化」を同時に実現することが可能となっています。

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航続距離600km超、「リアルワールド」でも高効率を実証

さらに新型カイエンEVは(机上の空論ではなく)現実世界においてもWLTPモードで600kmを超える航続距離を達成しており、米国で行われた実走テストではジャーナリストたちが試作車を用いて1回の充電で350マイル(約563km)を走行し、平均時速70マイル(約113km/h)という条件下でも高い効率を証明した、とアナウンスされています。

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「カイエン・エレクトリックによって、私たちはE-パフォーマンスを新たな段階へと引き上げます。革新的な高電圧システムが、ポルシェらしいダイナミクスと最高効率を融合させるのです。」

ポルシェ開発担当役員 ミヒャエル・シュタイナー博士

機能統合型バッテリー:軽量・高剛性・高効率

カイエンEVの中核となるのは「車両構造の一部として組み込まれた113kWhの高電圧バッテリー」。

エネルギー貯蔵に加えて、ボディ剛性の向上と低重心化にも寄与するといい、この一体構造によって従来比でセルとハウジングの比率が12%改善。

さらには衝突時にエネルギーを吸収する専用アルミニウム構造を採用し、受動安全性も向上しています。

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セル化学の革新:エネルギー密度を7%向上

新開発のリチウムイオン・パウチセル(192セル)にはグラファイト+シリコン負極、ニッケル・マンガン・コバルト・アルミニウム(NMCA)正極が採用され、ニッケル含有率86%の高密度設計により、エネルギー密度が現行タイカン比で7%アップ、そしてシリコン添加によって急速充電能力も大幅向上。

こうやって聞くと新型カイエンEVの高性能ぶりが際立つように感じますが、逆に「発売済みの」ポルシェ製EVの性能が相対的に下がってゆくことも間違いなく、ここはポルシェにとっての「ジレンマ」なのかもしれません。

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両面冷却システム:100台の冷蔵庫並みの冷却性能

そして特筆すべきは「革新的な両面冷却機構により、バッテリーを上下から冷却する」というクーリングシステムで、これによって温度を精密に制御し、外気温や運転状況に左右されない安定した性能を発揮することが可能に。

エネルギー効率の高い「プレスファン」は、従来型より15%の低消費電力を実現し、常に最適な温度レンジを保つことで高出力・高効率・低損失を実現します。

予測型サーマルマネジメント:先読み制御で充電も短縮

さらに興味深いのは、走行中にルート・地形・交通状況・運転スタイルを分析し、リアルタイムで冷却・加熱を制御するという温度管理。

これにより、バッテリーを常に最適温度に保ち、充電速度・バッテリー寿命・航続安定性を最大化することが可能となっていますが、さらに改良版「チャージング・プランナー」と連携し、次の充電ステーション到着前に自動でバッテリーをプレコンディショニングするという「ポルシェならではの知的なエネルギーマネジメント」が採用されています。

つまるところ、「ハード面」での改良に加え、ソフトウエアの改良によっても「効率性を向上」させているというわけですね。

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400kW対応の超高速充電:10分で300km分チャージ

そのほか、800Vアーキテクチャによって最大400kWの充電能力を発揮することにも言及され、これによって

  • 10%→80%充電をわずか16分以下で完了
  • 10分間の充電で300km以上の走行距離を追加できる

といった充電性能を発揮し、400V充電ステーションでも最大200kWでの充電が(追加のブースターなしで)可能となるもよう。

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2026年から「ワイヤレス充電」も導入へ

なお、2026年には「ポルシェ・ワイヤレス・チャージングシステム(11kW)」をカイエンEVに導入予定。

床面プレート上に駐車するだけで自動的に充電が開始され、効率90%・完全非接触を実現するというので「充電の手間いらず」となりそうですが、My Porscheアプリでスケジュール管理や車両認証も可能だとアナウンスされています(車両認証を行わないと、誰でも勝手に充電ができそうだ)。

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まとめ:EVでも“ポルシェらしさ”を貫く

カイエン・エレクトリックは、単なるSUVの電動化ではなく、 「E-パフォーマンス」という新たな哲学の具現化。

 効率性、充電性能、安全性、ダイナミクス――そのすべてがポルシェらしい完成度で統合されており、2025年内の正式発表と市場導入が待たれますが、このクルマは間違いなく「電動SUVの新基準」となると目されています。

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現時点ではまだまだ「日常使い」としてはガソリン車に比べ不便なところも多いEVではあるものの、徐々にその差が「短縮されつつ」あり、やがてはガソリン車を「超える」利便性を獲得することになるのかもしれません(ただ、莫大な開発費が継続して必要となる以上、その価格がガソリン車に対して優位性を持つようになるにはずいぶん時間がかかるであろう)。

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参照:Porsche

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