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| ポルシェにとっての「GTS」グレードはいつでもベストな選択のひとつである |
1. 序論:電動ハイパフォーマンスの新たな旗手、マカンGTS登場
ポルシェがそのフル電動SUVラインナップに対し、スポーツ走行とドライバーフォーカスを追求したモデル、マカンGTSを追加。
マカン・エレクトリック「GTS」は、1963年の904カレラGTS以来、特別な評価を受けてきた「GTS」のイニシャルを冠することとなりますが、最高で420 kW(571 PS)のオーバーブーストパワー、電子制御式リアディファレンシャルロック、専用チューニングが施されたスポーツエアサスペンションといった技術を結集し、俊敏性とドライビングダイナミクスの新基準を打ち立てるクルマである、と説明されています。
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2. 動力性能:高効率な900Vアーキテクチャと圧倒的トルク
新型マカンGTSはその驚異的な加速性能(0-100 km/h加速はわずか3.8秒)をもって電動SUVのパフォーマンスを再定義する存在であり、パワートレーンにおける特徴は以下の通り。
2.1. e-モーターとトルクマネジメント
- 強力なリアアクスルモーター: マカンターボと同様、直径230mm、有効長210mmのシリーズ最強のリアアクスルモーターを搭載。900アンペアのSiC(炭化ケイ素)パルスインバーターを組み込むことで極めて高効率な電力制御を実現
- 最大トルクとギア比: ローンチコントロール使用時にはフロントアクスルモーターと連携し、最大955 Nmという巨大なトルクを発生。9.0:1のトランスミッションギア比は、この膨大なトルクに耐えるよう特別に設計されている
- 航続距離と充電性能: WLTP複合サイクルで最大586 kmの航続距離を確保。100 kWhの高電圧バッテリーは、ピーク充電容量270 kWにより、適合する急速充電ステーションで10%から80%までわずか21分で充電可能
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2.2. パフォーマンス維持のための「トラックモード」
標準装備のスポーツクロノパッケージには、タイカンでお馴染みのトラックモードが追加され、このモードは、バッテリー冷却を強化し、熱蓄積によるパワーロス(ディレーティング効果)を最小化することで持続的な高負荷下での性能低下を抑制します。
これは極限状況下での走行や特殊なオペレーション(牽引など)において、車両性能を安定的に維持するために極めて重要な機能ではありますが、「マカン」という性格に加え、「EV」という事実もあり、実際にこのクルマでトラック(サーキット)を走行するオーナーは非常に少ないかもしれませんね。
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3. シャシー技術:俊敏性を極めたGTS専用チューニング
マカンGTSの真骨頂は、その卓越したシャシー制御技術にあリ、その特徴は以下の通り。
3.1. リアバイアスな重量配分と電子制御システム
- 重量配分: 車両後方寄りの重量配分(48:52)、低い重心高、そしてインテリジェントなパワーマネジメントにより、スポーツカーとしての特性を発揮
- PTV Plusの標準装備: 高速応答性の電子式ポルシェトラクションマネジメント(ePTM)に加え、ポルシェトルクベクタリング・プラス(PTV Plus)が標準装備。
- リアモーター直後に配置された電子制御ディファレンシャルロックによってトラクションと俊敏性が飛躍的に高められる
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3.2. GTS専用スポーツエアサスペンション
レベルコントロールとポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)を備えたスポーツエアサスペンションは、GTS専用に再調整されたもの。
車高は10 mm低く設定され、モデル固有のダンパーとアンチロールバーのチューニングにより、卓越した俊敏性とコーナリング精度を実現するほか、オプションのリアアクスルステアリングにより、その性能はさらに引き上げることが可能となります。
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4. デザインと内装:機能美と視認性の追求
GTSのアイデンティティは、内外装の随所に反映され、これまでの「GTS」のレシピに従ったスパイスが付与されているようですね。
4.1. エクステリアの機能的要素
GTSモデルのシグネチャーであるダークカラーのアクセントがフロント、サイド、リア全体に施され、特に目を引くのはティンテッド(着色)仕様のマトリクスLEDヘッドライト。
2026年初頭からは全マカンモデルに新デザインのスポーツデザインパッケージが提供されますが、マカンGTSはこのパッケージを標準装備し、かつ(ブラックアクセントなど)GTS専用のスタイリングが与えられます。
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4.2. 運転集中を高めるインテリア
内装にはブラックのスムースレザーと拡張されたレーステックス(Race-Tex)素材が使用され、高いグリップとスポーティな雰囲気を両立。
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なお、モニター類やアンビエントランプを特徴的な「カーマイン」に発光させることで「これまでにないほどの」GTSっぽさを演出しているようですね。
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シート中央パネルにはRace-Tex、ヘッドレストなどにはスムーズレザーが採用されたアダプティブ18way調整式スポーツシートが装備されますが、オプションのGTSインテリアパッケージでは、エクステリアカラーに合わせたコントラストステッチが施され、コックピットの視覚的な統一感と特別感を高めます。
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5. 結論:特殊用途車両としてのポテンシャル
新型マカンGTSはその圧倒的な動力性能、電子制御シャシー、そして持続的なパフォーマンスを発揮する冷却システムによって単なるハイパフォーマンスSUVの枠を超えることに成功した「まさにスポーツカー」。
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「GTS」の名にふさわしい、そして電動化時代ならではの大トルク、俊敏加速、高い安定性、そして大容量バッテリーによる待機電力の確保といった特性を持ち、さらに(北米で重視される)牽引能力は2,500 kgに向上したことも各種特殊機材(ボートやキャンピングハウス)の運搬において大きな利点となります。
様々な側面を考慮するに、マカンGTSは、ポルシェの最新電動技術によって新たな可能性を切り開いた、新時代の「GTS」と捉えて良いのかもしれません。
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