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メルセデス・ベンツが米にて展開中のサブスクサービスから撤退!一方でジャガー・ランドローバーは新規参入を表明。KINTO含め今後のサブスクの将来を考える

2020/08/10

| サブスクリプションサービスがブランドと顧客との新しい関係づくりに貢献していることは間違いないようだ |

さて、現在自動車各メーカーがこぞって力を入れているのがサブスクリスションサービス。

トヨタが展開するKINTOのように「毎月定額で」クルマに乗れるというのが魅力のサービスで、これは自動車メーカーにとっては「新たなるフロンティア」。

つまりこれまでにない収入源として注目されているということになるものの、KINTOについては思ったほど利用者が伸びていないということも報じられています(それから様々なテコ入れを行っており、そこから利用者が増えたのかどうかは気になる)。

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メルセデス・ベンツはサブスクリプションサービスを廃止

なお、メルセデス・ベンツはアメリカにてサブスクリプションサービス「メルセデス・ベンツ・コレクション」を展開しており、これはKINTOとは異なって「一定の金額を払えば、クルマを変更して乗り放題」というもの(KINTOはクルマの変更ができない)。

ただ、開始から2年を経過しても、その契約者は「わずか数百人」にとどまっており、今回メルセデス・ベンツは”このレベルではとうてい採算が取れない”としてこの夏にもサービスを中止すると発表しています。

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ただ、メルセデス・ベンツによると「一連の経験から学んだこと」もあるといい、それは「比較的若い客層を呼び込めたこと」。

同社の顧客における平均年齢は55歳だそうですが、このサブスクリプションサービスを申し込んだ人々の平均年齢は45歳程度であったといい、今後何らかの展開を行う場合のサービス、もしくは新たなる戦略の参考となりそうですね。

一方では新規参入組も

一方、メルセデス・ベンツとは逆にサブスクリプションサービスへと新たに参入するのがジャガー・ランドローバー(日本への導入はアナウンスされていない)。

同社の幅広いラインナップに対応し、レンジローバーや電気自動車の(ジャガー)I-PACE、発売されたばかりの新型ディフェンダーもこの対象となっています。

そしてこのサブスクリプションサービスの名称は「Pivotal(ピボタル)」というもので、その意味は「重要な」「軸」。

この名称を見ても、ジャガー・ランドローバーがいかにサブスクリプションサービスを重視しているか、そしてこれに期待をかけているかがわかりますね。

内容としては、「毎月定額」の中に車両のレンタル代、保険、税金、維持や修理コストが含まれ、消費者が負担するのは駐車場代と燃料代くらい。

ジャガー・ランドローバーはこの新サービスの開始に伴い「世界は変化し続けており、我々もまた変わらねばならない。そしてサブスクリプションサービスは、これまで我々のクルマを購入しようと考えていなかった人々を呼び込むことになるだろう」と語り、およそ全車両販売の10%がこのサブスクリプションサービス経由になる、と見積もっているようですね。

サブスクリプションサービスは現時点ではメーカー、消費者ともに負担が大きい

なお、現時点ではサブスクリプションサービスについては「あまり大きく伸びないだろう」とぼくは考えていて、その理由としては「現在の自動車は、そもそも購入を前提に作られているのでコストが高い」から。

このコストの高いクルマを月割にしたとして、消費者にとって「魅力的」な価格には映らず、メルセデス・ベンツ・コレクションのように「車両入替自由」にしてしまうと、今度はコストの高いクルマをメーカーは”在庫”しておかねばならないということに。

そして、ここで考える必要があるのは「サブスクリプションサービスを申し込む人の目的」。

単に安い移動手段が必要なのか、そのクルマが欲しいのかということですが、これによって展開の手法も変わってきそう。

たとえば「移動手段」が必要という人には、徹底的に機能を削いで「もともと安く作った」クルマをサブスク用に作ることが好ましいと考えていて、たとえばシトロエン「アミ」のようなクルマですね(これはもともとカーシェアやサブスクリプションサービスでの利用を前提に設計されている)。

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一方で「そのクルマに乗りたい」「そのブランドのクルマが好きだが購入資金がない」ためにサブスクリプションサービスを申し込むという人々も少なくはなく(レンタカー会社の調査ではこの理由が上位に来ている。とくにスポーツカーや高級車)、しかしこういった人々にとって「高いサブスク料金を毎月支払い、長期間乗るというのは”重すぎる”」かもしれません(KINTOだと3年は同じクルマに乗らないといけない)。

よって、こういった人々を対象にするとなると、サブスクではなく「短期レンタル」として様々なクルマに借り換えてもらったほうがいいかもしれず、現在高級車メーカーが”ブランディング”の一環や、これまでそのブランドに興味を示さなかった人を呼び込むという”接点(コンタクトポイント)づくり”として行っているように、プロモーションとして捉えたほうがいいのかもしれません。※利益目的よりも宣伝広告と割り切って、メーカーがコストの一部を負担し、レンタル料金を安く設定する

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いずれにせよ、サブスクリプションサービスは「はじまったばかり」であり、これから様々な消費者の意見を取り入れつつ改良されてゆくと思われ、今後に期待したいビジネスのひとつでもありますね。

参照:Automotive News

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