| すでに中国はこういった行為をする段階から脱却したと認識していたが |
さて、中国の北京汽車(BAIC)はメルセデス・ベンツGクラスのコピー、BJ80(画像)を発売しており、今回は発売済みの5ドアに加えて「3ドア」を追加する、との報道。
「また中国のクローンか」ということになりますが、ここで注目の必要があるのは、北京汽車は中国におけるメルセデス・ベンツの合弁相手であり、10年以上にわたるビジネスパートナーです。合弁会社は北京ベンツ(北京奔驰汽车有限公司)
つまり、「共同で事業を行っている相手が、自分のところのクルマをパクり、相手先の自社ブランドで販売し始めた」ということになりますね。
まさに中国では「仁義なき戦い」
いうなれば、花王が(洗剤の)アタックをイオンに販売し、イオンが「そうかアタックは売れるのか」ということでPBにてアタックそっくりのパッケージを持つ洗剤を勝手に売り出すようなものですが、このケースと異なるのは、繰り返しになるものの「メルセデス・ベンツと北京汽車とはビジネスパートナーであり、合弁会社を設立し、一緒に(メルセデス・ベンツブランドの)クルマを作っている」ということ。
昨年も北京汽車はメルセデス・ベンツ(ダイムラー)の株式5%を取得して3番目の筆頭株主に躍り出ていますが、傍から見るとこれは完全に「裏切り行為」のようにも思えます。
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ただ、ちょっと疑問なのは「メルセデス・ベンツが北京汽車に対して何も言わないこと」で、なぜ北京汽車が製造販売する「Gクラスのコピー」を放置しているのか、ということ。
このBJ80(現地では約540万円くらい)はどこからどう見てもGクラスのコピーですが、メルセデス・ベンツがこれを放置しているということは、メルセデス・ベンツは北京汽車に対して「何も言えない」という可能性もありそうです。
実際のところ、北京汽車がヘソを曲げてしまい「合弁解消」となると困るのはメルセデス・ベンツであり、そもそも3番目に大きな株主に楯突くことは難しいのかもしれません。※メルセデス・ベンツは中国市場を失い、北京汽車はメルセデス・ベンツを失うが、ダメージとしてはメルセデス・ベンツのほうが遥かに大きい
ちなみにこちらが今回発売されると見られる、BAIC BJ80。
搭載されるエンジンは3リッターV6、出力は276HP、トランスミッションは6速ATだと報じられています。
もちろんスペックや価格については「比較にならず」、現在メルセデス・ベンツはGクラスの3ドア版を製造してはいないものの、「そういった問題ではない」とも考えられ、しかしメルセデス・ベンツがこれを看過しているのはまさに不思議だとしか言いようがない状況でもありますね。
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そしてこの北京汽車は、なんとメルセデス・ベンツG 63 AMG 6×6をコピーしたことも(それでもメルセデス・ベンツは黙っている)。
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参考までに、北京汽車は「BJ90」なる、ジープ・グランドチェロキーっぽいクルマも作っており、やはり「どこかで見た」ようなクルマもチラホラ。
ただし以前ほどは「パクリが顕著」ではないようです。