| 考えれば考えるほどこのクルマはよくできている |
さて、現在日産ノートe-POWERに乗っています。
そしてノートe-POWERについて驚かされるのは「走れども走れども、ガソリンが減らない」ということ。
ノートe-POWERはガソリンエンジンを積むものの、これは発電専用であって駆動力としては使用できないわけですね。
じゃあどうやって走るのということですが、ガソリンエンジンによって発電した電力をバッテリーに貯め込み、その電力を使用してモーターを駆動して走る、ということになります(よって、ガソリンエンジンを積んではいるが”EV”でもある)。
ガソリンが全然減らない
そういった理由もあり、150キロ位走ってもガソリンの目盛りが一つ減るかどうかといったところで、これは比較的「大食い」のクルマばかりに乗ってきたぼくにとっては異常事態とも言えるもの。
とにかくその燃費の良さについては驚かされるばかりですが、たしかに以前ノートe-POWERをレンタカーとして借りて返却するとき、レンタカー会社の人に「給油したレシートを見せてください」と言われたことがあり、これは「走れども走れどもガソリンが減らず、それでも(いかに少ないとはいえど)減った分はちゃんと給油してもらわねばならず、しかし(ちょっとやそっと走ったくらいでは)メーターの目盛りがひとつも減らないので”給油しない”客が多いための対策なのだと思われます。
ノートe-POWERはほかにもメリットが盛り沢山
そしてしばらくノートe-POWERに乗って思ったのは「乗り心地に優れる」ということ。
EVなので当然ではありますが、このクラスの車にしてはかなり快適だと思います。
さらに印象的なのは「エアコンがよく効く」こと。
たとえばしばらく走り、その後炎天下にてノートe-POWERを駐車したとしますよね。
その後クルマに乗り込むと、もちろん直射日光にて車内はそうとうに暑くなっているのですが、その後エアコンを入れるとけっこう早く車内が冷えて驚かされることになります。
これは単に「エアコンが強力」というレベルではなく、なんでだろうなと推測してみると、「車体が熱を持ちにくい」構造を持っているからなんじゃないかと考え至ることに。
通常のガソリン車だと「ガソリンエンジン、トランスミッション、エキゾーストシステム」という熱を発生するコンポーネントがあり、これらが車体に連結されることで車体に熱が伝わります(直接的に伝わる熱のほか、輻射熱も)。
そして常にガソリンエンジンが動作しているためにかなりの熱量となり、ガソリンエンジンを停止させ駐車したとしても、いったん車体に行き渡った熱はなかなか冷えず、とくに炎天下だと「車体は熱いまま」。
この状況で再度走り出し冷房を入れたとしてもなかなか車体が冷えない、ということになるわけですね。
ノートe-POWERは熱を発しにくい
しかしながらノートe-POWERの場合はガソリンエンジン、排気システムがあるといえども、エンジンは常に動作しているわけではなく、かつ回転数が低いので「あまり熱を発しない」模様。
実際のところ、走行直後に(室内から)フロアに手を当ててみるとフロアがほとんど熱を持っておらず、つまりガソリン車のように車体が暖められていない、ということになりそうです。
参考までに、トランスアクスルレイアウトを持つクルマや、トランスミッションがフロントにあるFRだとフロア、特にトンネル部がかなり熱を持つことになり、走行直後にフロアを触ると「相当な熱を持っている」ことがわかります。
これはエンジンやエキゾーストシステムが熱に加え、トランスミッション内部やプロペラシャフトの回転(摩擦)によって生じる熱が車体に伝わるためですが、ノートe-POWERにはトランスミッションもプロペラシャフトも無いので車体が熱くならず、よって「走行後、炎天下に駐車して車体が熱くなったとしても、それは表面だけであり、フロアが熱を持っていないため、また熱を持つ構造物がほぼ無いために「再度走行を開始し、エアコンを入れるとすぐに車内が冷える」ようですね。
おそらくこれは日産にとって「計算外のメリット」なんじゃないかと思いますが、e-POWERはプラグインハイブリッドと異なり構造が簡単でコストが安く、車体も軽量化でき、バッテリー容量も(発電用エンジンを持たないEVに比較して)小さく済み、結果として販売価格も安くなるという「いいところしかない」クルマ。
このe-POWERは発想の転換によって作られたシステムと言えそうですが、「ある意味、現時点でもっとも優れたドライブトレーンなんじゃないか」とも考えています。