| エレクトリック時代になると、そのプラットフォームの自由度から車種を拡大することが容易になる |
これまで以上に各ブランドの境界線が曖昧になり、ブランドごとの性格を強調する必要がありそうだ
さて、プジョー・シトロエンとフィアット・クライスラーが合併して「ステランティス」が誕生しており、その誕生以降ステランティスは大きく各ブランドの方向性を強調、もしくは変更することとなっていますが、もちろんその中心にあるのは電動化。
ステランティスCEO、カルロス・タバレス氏は「もちろん最大限の努力をもって電動化を進める」としながらも「電動化は消費者が望むものではなく政治家が決めたものである」というスタンスを示しており、ステランティスとしては電動化に際して複雑な心境を持っているのかもしれません。
新型ジープ「EV」はこうなる?
そこで今回、ステランティスはグループ全体での電動化に関するカンファレンスを開催し、その中で各ブランドの戦略に触れるとともに、2023年はじめに投入されると思われるエレクトリックジープの画像、そしてその翌年に投入されるであろうエレクトリック版ラム1500のティーザー画像を公開しています。
ただしこれらについてスペックは明かされておらず、今のところは「画像のみ」の公開となりますが、イエローの方は比較的小型でシティ志向(オフロード志向ではない)だという印象を受け、フロントグリルにはおなじみ7スロットが用いられながらも「e」の文字が光ります。
フロント、サイド、リアの下部には大きな樹脂製クラッディングが装着されており、ジープらしさが強調され、しかし「言われなければ」エレクトリックモデルだとはわからないほど現行モデルに近いルックスを持っているようですね。
なお、ステランティスは次世代エレクトリックプラットフォームとして「STLA」を開発していると報じられているものの、このSTLAアーキテクチャはまだ実用化には数年かかるとされており、よって今回示された「新型エレクトリックジープ」は既存のe-CMPプラットフォームを使用することになるものと思われます(現在プジョーe208とオペル・コルサeに使用されている。ただしFFモデルしか存在しない)。
ラム1500EVはスタイリッシュに?
そしてこちらはラム1500のティーザー画像ですが、現段階では「イメージスケッチ」にとどまるために市販モデルがどうなるのかは全く不明。
この画像からはスタイリッシュな印象を受けますが、実際にはフォードF-150ライトニングや、ハマーEVのように「タフさを強調したゴツゴツしたルックス」となるのかもしれませんね。
こちらについても技術的な詳細には一切触れられず、しかしこのラム1500はフルサイズトラックとなること、ラダーフレームを採用すること、2024年に発売されることが明かされています。
加えてラム1500EVについて「すべての購買者の希望を満たす」とも紹介されており、「当社の内部性能指数によれば、ラム1500EVは、顧客が最も重視する属性において、すべての競合車を凌駕することになります。航続距離、牽引力、積載量、充電時間等、すべてにおいてです」とコメント。
ライバルに比べるといささか遅めの発売とはなってしまうものの、そのぶん「待った甲斐がある」クルマとなるのでしょうね。
ジープからもミニバン?
そして今後の計画として公開された画像を見るに、「ライフスタイル・ファミリーSUV」なるモデルも含まれており、これはミニバンに近いモデルとなるのかも。
韓国ヒョンデもミニバン「スターリア」を投入していて、中国においては高級ミニバンブームが訪れており、ポルシェもハイエンドミニバンの投入を考えていると言われるので、今後ミニバンはひとつの大きな潮流となるのかもしれません。
なお、ダッジからは「パフォーマンス・マッスルカー」が登場することになり、こちらについても期待したいところですね。
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