| ただしもちろん、ランボルギーニとて「なんでもアリ」なわけではない |
カスタムの許容範囲はメーカーによって異なるが、制限することはかなり難しそうでもある
さて、「ジャスティン・ビーバーがフェラーリのブラックリストに登録され、フェラーリを売ってもらえなくなった」というウワサが流れていますが、その理由は「フェラーリの意に沿わないカラーにラッピングしたり、オーバーフェンダーなどの改造をしたため」「自身のフェラーリをないがしろにし、盗難などが相次いだため」だとされています。
実際にフェラーリからはなんらコメントが出されていないので事実関係は不明ではあるものの、フェラーリはそのブランドイメージを非常に重視しており、これが事実であったとしても納得できる話ではありますね。
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ただしランボルギーニはカスタムに制限を設けない
そこでちょっと面白いのは、ランボルギーニが公式インスタグラムにて「すべての勇敢な心をもつ者のために、いくつかのオプションを選択したい。我々は、本当の自分を表現することに制限を設けない」というキャプションを添えたウラカンFLUOカプセルの画像を投稿したこと。
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投稿のタイミング、そして制限という文言を考えるとジャスティン・ビーバーの一件を意識した可能性が高く、つまり「フェラーリと違って、ランボルギーニだったらブラックリストに加えられる心配なくカスタムができますよ」という意図を示したかったものだと思われます。
自動車メーカーは意図しない改造を(当然ながら)嫌っている
なお、自動車メーカー、とくにプレミアムカーメーカーは意図しない改造や、そのブランドの価値を貶めるような改造そして使用法を(当然ですが)嫌う傾向にあり、その意味では改造に加えて「放置」も問題視することがあるようです。
実際のところ、今回のジャスティン・ビーバーの一件については「放置」が問題になったとも報じられていますね。
それはさておきですが、現在自動車メーカー、とくにプレミアムカーメーカーの多くが取り組んでいるのが「パーソナライゼーション」。
つまりは顧客の求めに応じてボディカラーや内装の変更を行うということで、この「求めに応じる」範囲はメーカーによってけっこう差があるようでもあり、フェラーリはそのブランドイメージを守るためにけっこう「狭く」、そして他メーカーはけっこう「広い」ようにも思います。
たとえば、BMWは「ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニを所有する人々が日常の足としてBMWを選ぶことが多い」という理由からポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニの純正色を用意しています。
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そしてマクラーレンは、おそらくそれによってブランドイメージが向上することはないと思われる「ピンクの」マクラーレンを製作しています。
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実際に顧客からカスタムの要望があると断りにくい
ロールスロイス、マクラーレンの例だと「大口顧客なので依頼を断ることは難しい」という事情もあるのだと思われ、しかしおそらくフェラーリの場合だと、こういった(他社を意識したり、自社のイメージにそぐわない)カスタムは「丁重にお断り」することになるのかもしれません。
ただ、なんでもかんでもダメというわけではなく、先日は「クロキデニム」を内装に使用したフェラーリSF90ストラダーレも公開しており、これまでにないオーダーであっても、フェラーリの思想とマッチするものであれば問題はない、ということになりそうですね。※過去にはジャミロクワイとのコラボレーションにて、そのエンブレムの改変を許したこともある
そしてフェラーリは、これまでブランドイメージを守り続けてきた結果、その顧客のフェラーリに対する忠誠心、そのDNAに対する理解も他ブランドに比較すると抜きん出ており、もともと「無茶な」「フェラーリの価値を損なう」ような依頼は少ないのかもしれません。
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ちなみにブガッティも「カスタムの幅が広い」ほうで、個人の家紋や、国籍を示す国旗などを内外装にて表現することも問題はないといい、しかし「ブガッティのエンブレムを変更することだけはできない」とも。
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ブガッティが顧客によってカスタムされたディーヴォ4台を公開!「仕様を決めるだけで1年」「アジア人は斬新な色を好む」「子供の絵を入れてほしいという人も」
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その意味では、「原型なきまでにクルマを改造する」ことで知られるウィル・アイ・アムをブランドアンバサダーに迎え、さらに「スリーポインテッドスターを排除した」ワンオフモデルを作り公開したメルセデスAMGはかなり「心が広い」のかもしれません。
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ちなみにランボルギーニは一時期「ライバル(フェラーリ)と同じカラーを自社のクルマにペイントできない」としてレッドをカタログから落としていた時期がありましたが、2011年にガヤルドLP570-4スーパートロフェオ ストラダーレにてレッド(ロッソマルス)をイメージカラーとして採用し、「レッドを解禁」しています。
その後はネオンカラー、パステルカラー、ラメのようなグリッターカラーなど様々なアグレッシブなボディ色を純正/オプションとして採用しているものの、やはりランボルギーニとて「なんでもあり」というわけではなく、自社オプションや、パーソナライゼーション部門「アドペルソナム」が許すカスタムであれば問題はなく、しかし「社外品を使用した、機能や外観を損なうカスタム」については厳しく制限しており、イベント等においても排除する傾向にあるようですね(よって、ランボルギーニとしても、ジャスティン・ビーバーのフェラーリ458のようなカスタムを認めるというわけではない)。
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ランボルギーニのカスタムプログラム「アドペルソナム」について知られていないこと5つ!地域別の嗜好やダイヤモンドダストペイントも可能etc.
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参照:Lamborghini(Instagram)