| このままではEV普及のツケはそのユーザーに回ってきそう |
これもまた急速にEVを普及させようとした副作用なのかもしれない
さて、保険会社アクサ(AXA)がEV(電気自動車)の事故に関する特殊性を調査し、その結果として「EVの事故による修理費用は高額で、他のクルマの乗員にとっても危険度が高く、さらにEVならではの問題も内包している」という結論を発表。
そしてアクサにて損害保険ディレクターを務めるニルス・ライヒ氏によれば「EVがより多くの事故を起こしているというわけではありませんが、より高額な個人賠償請求につながることがよくあります」。
ここでなぜ「保険金請求が高額になるのか」を見てみましょう。
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EVには高度な技術・高価な素材が使用されている
まず「保険金請求が高額になる」1つ目の理由について、EVには高度な技術や高額な素材が使用されており、それらが破損すると修理費用が高額になってしまうこと。
多くのEVが高度な自動運転技術を搭載し、そのためのカメラやレーダー、センサーを搭載していますが、もちろんそれらを破損してしまった場合は高額な修理費用を要求されることになり、さらにEVは少しでも重量を軽くするために高価な軽量素材を使用していることも多々あります。
さらにEVは車体底部にバッテリーを搭載していますが、このバッテリーが破損した際の修理(実際にはまるごと交換になると思う)費用も非常に高く、かつ事故の際の発火等のリスクがある、とのこと。
ただ、アクサは「EVの発火リスクは誇張されすぎている」といい、実際に発火するのは1万台のうち5台という少ない割合ですが、また別の調査によると、EVのバッテリーは燃え出すと消火が難しく、非常に高熱になり、それが周囲に飛散すれば別の火事を引き起こす可能性もある、と論じられています。
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EVの事故は発進時に多く発生している
そして2つ目の理由は「ガソリン車に比較して加速が鋭い」。
0-100km/h加速やドラッグレースではもはやガソリン車はEVの敵ではないことが明確になってしばらく経ちますが、とにかくEVはその加速が鋭く、これは「回転とともにパワーが出る」ガソリンエンジンとは異なり、エレクトリックモーターは「瞬時にピークパワーを発生させることができる」ため。
その加速は時には気持ちが良いものですが、一部のEVドライバーは急加速を試み、これによって制御不能になり事故を起こしている、と言われます。
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アクサによると「ほとんどの電気自動車、特に強力な電気自動車は、パワー(アクセル)ペダルを踏むとすぐにわかるほど、非常に高いトルクを持っています。このため、ドライバーがコントロールできなくなり、不意にギクシャクとした加速をすることがあります」とのことですが、たしかにガソリン車では考えられないような事故も多数報じられていることからもその特殊性がわかり、リマックは「0-100キロ1秒以下の加速も実現できるが、乗りにくくなっては意味がない」とも述べ、いかに加速と扱いやすさとの折り合いをつけるかという(ガソリン車とは異なる)課題に挑戦することとなったようですね。
そしてアクサはこの「アクセル踏みすぎ」現象を「オーバータップ」と読んでおり、ガソリン車と比較して50%も事故の発生率を引き上げる要因になっていると述べています。
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ちなみにですが、ぼくがEVに4年乗っていて「事故を起こすんじゃないか」と感じたのは雨の日の高架道路での走行で、たとえば普通に走行していて、そこからアクセルペダルを緩めると回生ブレーキがかかり、そのときに「濡れた道路の継ぎ目(鉄板)」にちょうど乗ってしまうと駆動輪がスリップを起こしてしまい、「直進」している最中であればよいのですが、カーブの真っ最中に継ぎ目に乗った際はスピンする可能性も否定できない、という状況。
よってぼくはいかなる場合もゆっくりアクセルペダルを戻すようにしていたものの、おそらくこれに関連する事故は少なからず起きていたと見え、今では回生ブレーキの効きをデフォルトで「弱め(ガソリン車のエンジンブレーキと同じくらい)」に設定している例も多く、以前のように「ワンペダル(ブレーキを踏まなくでも、ペダルの戻し具合で減速できる)」ドライブを強調するケースが少なくなったようにも思います。※さらには「レイン」モードを備えるEVもある
電気自動車の「重量」は別の問題も引き起こしている
そしてアクサのいう3つ目のEVならではの問題が「重量」。
EVはバッテリーを搭載しているという理由から車体重量が重くなりがちで、そのため事故を起こした際には「慣性の法則」に従ってそのインパクトが大きくなり、自車はもちろん、相手にも大きな損害を与えてしまう可能性がある、とのこと。
これらの要因から、アクサはEVの運転には注意を要するということを強調していますが、EVの保険料が(ガソリン車に比較して)割高になる可能性も否定できず、これを防ぐには、EVに(ガソリン車以上の)安全運転支援のためのデバイスを標準装備化するなどの対策が要求されるのかもしれません。
アクサがEVのクラッシュテストを行う動画はこちら
https://youtu.be/IRc0Hw2S80A合わせて読みたい、EV関連投稿
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