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ポルシェ911カレラRS 2.7にて初めて採用された「ダックテール・リヤスポイラー」。なぜあの形状が取り入れられ、「ダックテール」と命名されたのか

ポルシェ911カレラRS 2.7にて初めて採用された「ダックテール・リヤスポイラー」。なぜあの形状が取り入れられ、「ダックテール」と命名されたのか

| ダックテールリヤスポイラーはドイツ特許庁にも登録されていた |

ポルシェは自らのクルマや機能にニックネームを付けるのが好きだった

さて、ポルシェ911カレラRS2.7(ナナサンカレラ)は今年で50周年となりますが、これは「軽量・パワーアップ・足回り強化」というレシピを確立した最初のRSモデルであり、はじめて「ダックテールリヤスポイラー」を装着したポルシェとしても知られます。

そして今回、ポルシェがその「ダックテール・リヤスポイラー」について、その誕生秘話を公開しており、ここでその内容を紹介してみたいと思います。

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ポルシェが「911カレラRS 2.7」50周年を祝う!ナナサンカレラは「はじめてリアスポイラーを装着」「はじめて前後異なる幅のタイヤを装着」したポルシェだった
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ポルシェのダックテール・リヤスポイラーを考えたのはこの人だった

ポルシェによると、ダックテール・リヤスポイラーを考案したのは当時26歳だった、ポルシェに入社したての航空宇宙エンジニアであるティルマン・ブロドベック氏、そしてヘルマン・プルスト氏。

ティルマン・ブロドベック氏はその時代の自動車をして「基本的に揚力が発生してしまう形をしていた」と表現しており、これはつまり、横から見ると、車体底面がフラットで、ボディ上面が弧を描いており、つまり「翼断面」のような形なので、飛行機の翼が持つ役割のように、浮かび上がろうとする力が自然と発生してしまうということですね。

もちろん揚力が発生すると、車体を地面に押し付ける力=ダウンフォースとは逆の効果が発生するので車体が浮いてしまい挙動が不安定になります。

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よってこの二名はまず風洞実験によってポルシェ911の揚力係数を測りますが、その数値は0.29CLもあったといい(この数値がどのくらいのレベルなのかはあわからないものの、全く話にならないレベルだったようだ)、この問題を解決すべく、かんたんな板金で制作したリヤスポイラーを作成し取り付けたれたところ、揚力係数は0.08CLへとダウンし、時速240km/h時点でのCd 値も4.5ポイント向上することに。

なお、このリヤスポイラーの取り付けには反対派も存在したといい(その理由はわからないが、美しくないと考えた人も多いと思われる)、しかしこの911カレラ2.7RSがモータースポーツに使用されるという性格、そして競技の場において、いかにいかにこの数値が効果を発揮するかをもって社内を説得し、実際に発売となったもよう。

なぜダックテール・リヤスポイラーは「ダックテール_リヤスポイラー」となったのか?

果たしてポルシェ911カレラRS2.7はダックテール・リヤスポイラーを身につけて発売されることになりますが、当時の販売責任者は「500台」という限定台数に自信が持てず、「100台も売れないんじゃないか・・・」とつぶやいたそうですが、そこで誕生したのが「ダックテール」という名称なのだそう。

もちろん形状が「カモの尾」に似ていたということもあるかと思われ、しかし実際には、わずか時速4.5キロで鴨がヨチヨチと歩く様を「皮肉を込めて」命名されたといい、ティルマン・ブロドベック氏によれば「全くひどい話だった」。※販売サイドの命名だったようなので、それだけ販売がスローになるという意味だったのかも

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このリヤスポイラーは1972年の8月5日、ドイツ特許庁に特許番号2238704で登録されている!

この500台の限定台数は当時のグループ4カテゴリへと参戦させるために必要な「最低限」の台数だったわけですが、実際には、御存知の通り「ポルシェの心配をよそに」限定台数の500台を遥かに超えて1,525台が販売され、いまでは信じられないような価格にて取引されることに。

さらには時を超えた現代においてもこのダックテール・リヤスポイラーは様々なモデルにて活用され(ウイングの下にも装着されている場合もある)、ポルシェにとっての大きな特徴となっています。

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参考までにですが、「あんな小さなスポイラーが車体の中央にチョコンとついているだけで効果があるのか・・・」と思ったりするものの、718ケイマンの場合、リアフェンダーがうまくエアをこのスポイラーへと導くようで、洗車時に水をかけてみるとそのエアの流れを視覚的に確認することも可能です。

もうひとつ参考までに、ポルシェは昔から「皮肉屋」でもあったようで、かつて(レーシングカーの)917/20を公開した際、スポンサーから「なんだこのブタみたいなクルマは」と言われ、「ピンクピッグ」と自ら命名したことも。※正確には「ピッグ」とそのまま名付けたらしいが、すぐにピンクピッグ、もしくは雌豚ベルタ、トリュフハンターと呼ばれるようになった

さらにいえば、ポルシェは自らのクルマや機能に独自の名称やニックネームを付与することを好むようで、PASM、PCCB、PDK、PDLSなど多くの「ポルシェ・なんとか」という呼称が存在します。

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参照:Christophorus

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