| これら5台をあわせた金額はいったいいくらなのか想像もできないが |
ブガッティにとっては、これらを自社にて所有することが重要だったのだと思う
さて、ブガッティが「創業初期の貴重なモデルをコレクターから譲り受けた」と発表。
このコレクターとはハンス・マッティなる人物で、同氏はブガッティのクルマのみならず、ブガッティの写真や雑誌の特集記事、書籍などありとあらゆるコレクションを積み上げてきた人物だとされ、ブガッティについて世界で最も詳しい専門家の一人だとされています。
そしてブガッティはこれらコレクションを買い取るべく2年半前から交渉を行っていたといい(ブガッティ創業者、エットーレ・ブガッティの孫娘であるカロリーヌ・ブガッティも交渉に参加している)、そしてついにブガッティはめでたくそのコレクションを譲ってもらうことに成功したわけですね。
驚くべきブガッティのコレクションはこんな内容
そしてこのハンス・マッティ氏が所有していたコレクションとはまさに驚くべきもので、現存する中でも「もっともオリジナルの状態を保っている」個体のひとつと考えられているブガッティ タイプ51、非常に保存状態の良いタイプ37A、世界で「唯一」現存するジャン・ブガッティ(エットーレ・ブガッティの息子)のコーチワークを備えたショートシャシーのタイプ49フォーキャブリオレ、そしてタイプ35B、これもやはり現存する唯一のタイプ36エンジン、ギアボックス、リアアクスルを搭載したタイプ35A。
ファクトリーグランプリ専用マシンであるタイプ51は、一度も修復や再塗装が行われておらず、90年にわたるモータースポーツの歴史、そしてブガッティの歴史そのものを雄弁に物語り、一方、タイプ49はジャン・ブガッティ自身のパーソナルカーであり、ドアには「JB」のイニシャルも。
(コーチビルダーの架装ではなく)ブガッティの工場で設計・製作されたボディを持つタイプ49は極めて稀であり、現存するタイプ49の中でフェイクカブリオレボディを持つ個体は他にない、とされています。
ちなみにこのタイプ51とタイプ49は、それぞれ最初の個人顧客に(1930年代に)納車される際、いっしょのトランスポーターで運ばれたそうですが、その後もまたひとつところでともに過ごしたということになりますね。
今回のコレクションの中で最も古いのはルイ・シロンが現役時代にドライブしたファクトリーグランプリレーサー、タイプ35Bですが、これは史上最も成功したレーシングカーとして知られるタイプ35を進化させたもの。
その後ブガッティは「高速バンクを備え、路面の凹凸が激しいことで知られるフランスのモンレヘリーサーキットに対応するため」リジッドリアアクスルを採用したタイプ36を開発しますが、後期型ではスーパーチャージャーを搭載し、史上初のスーパーチャージャー付きブガッティとなったものの、生産はわずか2台のみにとどまり、しかしその2台ともが破壊されたという記録が残ります。
ただ、そのうちの1台のエンジン、ギアボックス、リアアクスルが今回ブガッティに引き渡されたタイプ35Aのボディに(当時のブガッティによって)収められており、ブガッティの歴史におけるワンオフの作品のひとつとして非常に高い価値を誇る一台だとされています。
タイプ37Aについては、もともと自然吸気エンジンを積んでいたタイプ37にスーパーチャージャーを追加してタイプ37Aへとモデル名が変更されたもので、そのパワフルな4気筒エンジンによって時速193kmでの走行が可能であった、とのこと。
ブガッティがスーパーチャージャーを搭載したモデルは76台のみですが、これもまたレストアされていないオリジナルの状態のまま保存されており、今後もブガッティの歴史を物語る重要な文化財として未来永劫保管されることになるのでしょうね。
ブガッティ・オトモービルのCEO、クリストフ・ピオション氏によれば、「私たちは、常に創業者の天才的な才能にインスピレーションを求めるブランドです。エットーレ・ブガッティにとって、ブガッティが最も重要視していたのは、比類なき存在であることでした。ブガッティは、他の追随を許さない存在でなければならないのです。エットーレのビジョンに近づくには、工場出荷時のリベットや塗装、そして特に、彼の車とその成功を定義するようになった綿密なエンジニアリングの状態を見ることほど有効なものはありません。改めて私達は、これらのモデルをブガッティ・オトモビルのホームにお迎えできたことを光栄に思っています。ブガッティの新しい時代に向けて、これらの先駆的なモデルが私たちのインスピレーションとなることでしょう」とのこと。
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参照:Bugatti