| テスラいわく、値下げの理由は「インフレコストを吸収し、顧客に還元できる準備ができた |
もちろん、値下げしても十分に利益を得られるだけのコスト改善ができているものと思われる
さて、テスラが中国と日本に続き、主要市場のアメリカでも大幅値下げを敢行。
この値下げの理由は単に「需要が下がったので、購買意欲を刺激するため」だと考えられますが、テスラのドイツ法人より広報担当者が出したコメントによると「サプライチェーンに支障をきたした激動の1年が過ぎ、ようやくコストインフレの一部を正常化することに成功し、その成果をお客様に還元することが可能となりました」。
ただ、実質的には、年明け以降で「半分になってしまった」テスラ株の株価対策だと思われ、アナリストの予想に生産台数が届かなかったことで大きく下落した株価を少しでも戻したいという意向があるのかもしれません。
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いったいアメリカではどれくらい価格が下がったのか
そしてアメリカでどれくらい価格が下がったのかを見てみると、モデル3 RWDだと46,990ドルから43,990ドルへと3,000ドル引き下げられ、比率にすると6.5%。
モデル3パフォーマンスでは14.2%の値下げを適用し、62,990ドルから53,990ドルへと9,000ドルの引き下げを行っています。
モデルYについてはさらに大きく価格が引き下げられ、モデルYロングレンジは20パーセント価格が下がって65,990ドルから52,990ドルと13,000ドルも安くなり、これによって(5人乗りモデルだと)は再び連邦税額控除の対象となるため、ここからさらに7,500ドル安く購入することが可能です。
モデルYパフォーマンスも約19%安くなって1万3,000ドル引き下げられ、その価格は69,990ドルから56,990ドルへ。
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さらにテスラはモデルSとモデルXの価格も引き下げていて、モデルSでは104,990ドルから94,990ドルへと1万ドル(約10%)安くなり、トップレンジのモデルSプレッドではさらに21,000ドル(15%)の値下げとなって135,990ドルから114,990ドルへ。※この値下げ幅はテスラ最大で、日本円だと268万円くらい
モデルXだと11,000ドル(9%)価格が下がって120,990ドルから109,990ドルへ、そしてモデルXプレッドは38,990ドルから19,000ドル引き下げられ、119,990ドル(14%引き下げ)に。
こうやって見るとモデルYロングレンジだと167万円も価格が下がったうえ、連邦税額控除である96万円の適用を受けることができるので、値下げ前に比較すると263万円も”たった1日で”変動したということになりますね。
テスラはこの値下げに耐えることができるのか?
そこで気になるのが「テスラはこんなに値下げをして大丈夫なのか」?
いかに需要を喚起するにしても、あまりにその値下げ幅がダイナミックであり、むしろ販売台数は増えたとしても利益を圧迫してしまうのではと気になったり。
ただ、イーロン・マスクCEOはこの1年の度重なる値上げについても「恥ずかしい」と語り、事態が落ち着いたら価格を正常化するといった旨のコメントも行っていたため、本当に(テスラにとっての)インフレコストが吸収できるレベルに達したのであれば、特に問題はないのかもしれません。
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さらに言及するならば、現在テスラのクルマの生産コストはどんどん下がり続けており、とくに最近導入した「ギガプレス」による製造効率化は特筆べきレベルにあると言われます。
テスラは常々「米国で最も安価なEVを作り続ける」ことを標榜していますが、そのために日々「いかにコストを下げるか」に注力していることは間違いなく、今回これだけの値下げをしたとしても、そのぶん増加するであろう販売台数と合わせて考えたとき、十分にモトが取れると判断した可能性もありそうですね。
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参照:Electrek