| ポルシェは利益を最大化するために1台あたりの利益率/利益額を最大化 |
もちろんポルシェは価格を正当化するだけの優れた製品を提供してゆく予定
さて、ポルシェはつい先日、年次カンファレンスを実施して今後の計画について述べたところですが、ここで大きな役割を果たしたのが財務責任者のルッツ・メシュケ氏。
ポルシェCEOであるオリバー・ブルーメ氏との「2トップ」体制にて、CEOにも劣らぬ堂々とした姿勢にてポルシェの戦略について説明を行っており、現在ポルシェでは非常に高い影響力を有するということもわかります。
そして今回報じられているのが、そのルッツ・メシュケ氏とアナリストとの電話会談の内容であり、ちょっと衝撃的な内容となっています。
ポルシェは利益確保ために大幅値上げ
一体何が衝撃的なのかというと、2023年半ばにポルシェが現行ラインナップに対する大幅な値上げを行うということで、つまりは2024年モデルからこの値上げが適用されるものと考えられます。
この判断はもちろん利益を確保するためとなりますが、ポルシェは上述のカンファレンスにて「ロード・トゥ 20」なるプログラムを発表しており、これは「(ポルシェの属する)フォルクスワーゲングループの利益率を20%にまで引き上げる」というもの。
現在VWグループにおいてポルシェの果たす役割は非常に大きく、つまりポルシェが同グループの利益を牽引していると言っても過言ではなく、そのためポルシェの利益率を引き上げることはVWグループ全体の利益率を向上させることにも直結しており、このロード・トゥ 20達成のために「値上げは必須」と判断したのかもしれません。
加えてポルシェはこのカンファレンスにて、(1台あたりの利益単価、利益率を向上させるため)ラインアップの見直し、ニューモデルの追加、限定モデルの追加、(エクスクルーシブ・マヌファクトゥア、ソンダーバーシュによる)ワンオフモデルなどカスタム車両の強化についても言及しています。
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ポルシェの電動化車両は「安くない」
さらにポルシェは今後、「マカンEV」「718ケイマン/ボクスターEV」「カイエンEV」の発売を行うことになりますが、ルッツ・メシュケ氏は(電話会談にて)これらの価格についても言及しており、まずマカンEVについては、ガソリン車のマカンに比較して10~15%高価になる、とのこと。
なお、この10~15%が「2023年半ばに値上げされた価格に対するもの」なのかどうかは不明ですが、マカンEVの発表は2024年だとされるので、値上げ後の価格に比較して10~15%高価になると捉えるのが妥当かと思います。
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加えて、2025年に発表される718ボクスター/ケイマンEVについても最大で15%(ガソリンエンジン搭載モデルに比較して)高い値付が行われることにも言及していて、興味深いのは(しばらくガソリン/EVバージョンとが併売される)マカンとは異なり、718ボクスター/ケイマンEVは「ガソリンモデルとの入れ替えになる」と明言されていること。
その後の2026年に登場するのはカイエンEVであり、これもやはりガソリンエンジン搭載モデルに比較して10~15%高価になるといい、しかしその前に行われるであろうカイエンのフェイスリフトにおいては「大幅値上げ」が伴うのかもしれません。
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こういった値上げそして高価格シフトにつき、ルッツ・メシュケ氏は「私たちは、非常に強いブランドパワーと顧客基盤にて構成される優れたベースを持っており、そのためこの非常に困難な時代において、知的な方法で価格を上げる事が可能となるのです」とコメントしており、要は「ポルシェの顧客はより良い製品を求めており、より良い製品を提供することができれば、そしてそれに見合った価格であれば、顧客は喜んでその対価を支払う(ポルシェの顧客は安価で普遍的な製品を求めているのではない)」ということを言いたいのだと思われます。
そしてポルシェは「すべてのポルシェの顧客の要望を満たす」べく、欠けているパズルのピースを埋めるかのように製品ラインアップを拡充してゆくことになりますが、これは既存モデルのバリエーション追加(911シリーズに”ダカール”のようなカタログモデルを追加するなど)、そしてフラッグシップSUVのようなブランニューモデルの投入によって行われることに。
ただ、それでも欠けている(最大の)ピースは918スパイダー後継モデルだと思われ、しかしこちらについては今のところ具体的な言及がなされておらず、オリバー・ブルーメCEOによると「ハイパーカーは常にポルシェの戦略の一部であるが、それをもたらすべき時にのみ登場するだろう」。
つまり現在はその時ではないのだと考えられますが、2025年以降にはなんらかのウワサを聞くことができるようになるかもしれませんね。
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参照:Autocar