| この新型バッテリーはVW子会社の開発によるもので、十分なバッテリー密度を持つようだが |
ことEVとバッテリーに関しては、実現するまで何も信じることができない
さて、現在は多くの自動車メーカーの想定よりも速く電動化が進んでいる状況ですが、そんな中で大きな問題となっているのが価格競争。
テスラが口火を切った「値下げ競争」といった問題もあるものの、そのテスラ自身が値下げを行った理由の一つが「中国製EVとの価格バランス」だとされ、つまり中国製EVの価格が非常に安く、テスラのクルマが競争力を維持できなくなって需要が下がり、そして減少した需要を喚起するために値下げを行ったと言われています。
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テスラは「もっとも安価なEVを提供する」ことを目的としている
なお、テスラの大きな目的のひとつは「もっとも安価なEVを提供すること」。
そのためにテスラは日夜コストを引き下げるべく努力を行っており、それによって値下げが可能となっているわけですが、ここからさらに「25,000ドルの」ニューモデルを投入することでさらにEV購入へのハードルを引き下げ、これによって爆発的な販売増加を狙っていると言われます。
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そうなるとEV市場においてはテスラの一人勝ちとなってしまう可能性も想定でき、しかしもちろん他社もそれを阻止すべく動いていて、そのひとつが電動化を強烈に推進するフォルクスワーゲン。
そして最近フォルクスワーゲンCEO、トーマス・シェーファー氏がカーメディアのインタビューに対して語ったのが「ID.2 Allは25,000ドルを下回る価格で発売するが、十分な利益が出る」ということ。
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このID.2 Allについて、フォルクスワーゲンから2つのバリエーションが発売されるほか、VWグループ傘下のクープラから1モデル、シュコダからも1モデルのバッジエンジニアリングバージョンが発売されるといい、トーマス・シェーファー氏いわく「利益率が6%を下回ることはありえない。グループ内から4モデル発売することでコストを下げ、十分な利益を得る予定です。私たちが行っているのは慈善事業ではありません。私たちはお金を稼ぐつもりです」。
なお、フォルクスワーゲンはちょっと前まで「EVでは利益を出せていない」とも語っていたので、どこかで何らかの転換があったのだと思われますが、正直なところ今回はの発言は「かなり意外」。
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安価な価格設定を可能とするのは「新型バッテリー」
そしてトーマス・シェアーファー氏が続けて言及したのは「重要なのは、25,000ドル以下からスタートするのは、ID.2allハッチバックのみであるということです。もう一つのバリエーション(SUVになるらしい)、そしてシュコダとキュプラ版は、それぞれ25,000ドル以上からの価格設定となる予定です」。
つまりフォルクスワーゲンはID.2 Allハッチバックを安く売るためにほかのモデルにて利益を確保するのだと考えてよく、さらに同氏は「フォルクスワーゲンの新しい子会社であるPowerCoが開発した新しいバッテリーがコスト低下の重要な要素を占め、このバッテリーがなければフォルクスワーゲンはID.2 Allのようモデルを作ることはできなかったであろう」と付け加えています。
この新型バッテリー(ユニファイド・プリズマティック・セルと呼ばれている)は、コスト面で既存のバッテリー、他社の有するバッテリーに比較して優位性があるといい、さらには十分なバッテリー密度を実現しているそうですが、フォルクスワーゲンはこのバッテリーの採用を拡大し、さらにコストを引き下げることにより、2026〜2027年頃には「2万ドル以下の」EV投入を可能にするとしており、他社としては戦々恐々といったところかもしれませんね。※ただし、ソリッドステートバッテリー然り、EVそしてバッテリー技術については実際に車両に搭載され発売されるまでは何も信じることはできない
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参照:Auto News Europe