| マセラティのカスタム部門「フオーリ・セリエ」は相当に高い技術力を持っているようだ |
実際にこの仕様で注文したいという顧客が現れるかもしれない
さて、マセラティは先日「3つの特別仕様のグラントゥーリズモを発表する」としていましたが、今回はその3台が詳細とともにリリースされており、いずれも想像を超えていたとしてぼくの中で話題に。
これらグラントゥーリズモはミラノデザインウィークで発表されたもので、マセラティのパーソナライゼーションプログラム「フオーリ・セリエ(Fuoriserie、シリーズ外の意味)」に何ができるのかを示したものとなっています。
そしてこの3台とはカラフルな「プリズマ」、超光沢の「ルーチェ」、そしてマセラティの過去のモデルのスタイリングを取り入れたデジタルオンリー(実車が存在しない)の「ウロボロス」の3つであり、ここでそれらを見てみましょう。
マセラティ グラントゥーリズモ ウロボロス
今回の3台の中でもっとも驚かされるのはこのグラントゥーリズモ ウロボロス。
上述のとおりデジタルワールド内にのみ存在するクルマですが、これは藤原ヒロシ率いるフラグメントデザインによってスタイリングがなされたもので(以前は実際にフラグメントデザインとのコラボレーションによるマセラティが発売されたことがある)、マセラティの過去そして現在とを結びつけた存在だとされています。
ウロボロスは、ピュアエレクトリックモデルのグラントゥーリズモ・フォルゴーレをベースにしていますが、過去のマセラティのから要素を拝借し、その見た目は大きく変わっています。
フロントエンドは過去のレーシングカー「Tipo 151」からインスピレーションを得た丸いヘッドライト、そしてゴージャスな「A6GCS ベルリネッタ・ピニンファリーナ」にも似た光沢のあるグリルが特徴的。
また、クラシックな3500GTにインスパイアされたフェンダーベントや、ボーラのマグネシウムホイールに倣った新しい鍛造ホイールといったディティールも。
加えてテールランプはシャマルにインスパイアされたもので、しかしその内部にはピクセルLEDを備えます。
マセラティによれば、「ウロボロスはグノーシス的なシンボルで、決して消えることなく、破壊と再生の永遠のサイクルの中で永久に姿を変える万物の統一を表現しています」とのこと。
一方で藤原ヒロシは「このグラントゥーリズモ・ウロボロスは、過去のマセラティが持つ様々なデザインと現在のグラントゥーリズモを視覚的、文化的に結びつけるものとして構想されました。私たちはマセラティのデザインチームと協力して、現在の技術や性能の頂点と、何十年にもわたって神話を生み出し、煽り立てたスタイルのアイコンを結びつけることに成功しました」とコメント。
なお、マセラティとのコラボレーションの一環として、藤原ヒロシは(マセラティの本社がある)モデナ、そして自身の拠点である東京にオマージュを捧げたカプセルコレクションを発表しており、これらコレクションは、2023年夏を目処に一部のマセラティショールームとオンラインショップにて販売される予定なのだそう。
マセラティ グラントゥーリズモ プリズマ
そしてこのグラントゥーリズモ プリズマは外装を14色で塗り分けたという、これまでに見たこともないようなカラフルなモデル。
これらの色味は1947年のマセラティA6 1.500(アマラント)や1973年のマセラティ・カムシン(オロ・ロンシャン)など、グラントゥーリズモの先達のカラーパレットから引用したもので、新色としても2色が加えられています。
それぞれのカラーはグラデーションで融合され、マセラティのモデル名を表す8,500の文字が手作業で書き込まれることに。
グラントゥーリズモ プリズマのベースはガソリンエンジンを搭載する「トロフェオ」グレードで、こちらは最高出力557馬力を発生する3リッターV6ツインターボ「ネットゥーノ」エンジンを搭載しています。
マセラティ グラントゥーリズモ ルーチェ
グラントゥーリズモ ルーチェは”まるで車輪の上の鏡のような”と表現されるモデルでもあり、「クロマティックミラーのモノリス」とも言い表されています。
このボディワークは高反射仕上げによって実現され、さらには絶妙なグラデーションも。
その表面にはレーザーエッチングによるドットパターンが刻まれており、視覚的な立体感がもたらされることに。
インテリアにも同様の処理が施され、サステイナブルなエコニール生地を使用しつつ、”海の波のように”ブルーからクリームホワイトへと上部に行くにつれ変化してゆくという仕様(ボディとは逆パターン)。
マセラティ「フオーリ・セリエ」はポルシェで言うエクスクルーシブ・マヌファクトゥア、ランボルギーニのアドペルソナム、フェラーリのテーラーメイドのような存在ではありますが、今回公開された内容を見るに、その技術はそれらに勝るとも劣らぬもので、しかも多種多様な、カラーリングだけではなく物理的な変化までも表現できるようですね。
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参照:Maserati