| テスラは年間生産2000万台という目標を掲げ、かつ安価な車両の生産を計画しており、これにインドは欠かせない |
もうひとつの有力な生産地「メキシコ】では工場建設が確定済み
さて、「数こそが正義」という信念を掲げるテスラですが、それを実現するために製造拠点を大幅に拡大しており、2018年にはたったひとつの工場しか持たなかったものの、2023年には4カ所にまで増加しています(フリーモント、上海、ベルリン、オースティン)。
ただこれだけにとどまらず、メキシコにはテキサス(オースティン)工場の2倍の敷地面積を持つ大規模工場が建設されることも決定しており、ここでは人件費の安さを活用して「安価なEV」を大量に生産すると報じられていますね。
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テスラはインド政府との交渉を再開
そして今回出てきた話が「テスラがインド政府との交渉を再開・活発化させ、世界で二番目に人口の多い国に工場を建設しようとしている」との報道。
テスラは過去にインド政府と工場建設について協議を行っており、しかし関税に関する認識を合わせることができずにいったんは「決裂」しています。
ただしそこで諦めるイーロン・マスクCEOではなく、少し前にはインド政府に対して交渉再開を打診しており、そして今月ニューデリーにてインドのピユーシュ・ゴヤル商務相と会談し、同国内に工場を建設する計画について話し合う予定だとされているわけですね。
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関係者が語ったとされる内容によると、テスラはインドに組立工場を建設し、現地市場向けおよび輸出向けの低価格電気自動車を生産することに関心を示しており、新工場について、200万インドルピー(現在の為替レートで約345万円)程度からスタートする新型車のための拠点になるとの見方を示しているもよう。
この「200万インドルピー(米ドルだと24,500ドル)」という価格は現在テスラで最も安価なモデル3よりも25%安く、これを実現するために(今回のインド商務大臣との会談では)テスラがEVサプライチェーンを構築し、工場用地の割り当てについて話し合うことが焦点となるとされています。
今回の階段がインド政府との「最高レベル」
イーロン・マスクCEOが6月に米国でインドのナレンドラ・モディ首相と会談し、同国に多額の投資を行う意向を表明して以来、商務大臣との会談はテスラとインド政府との最高レベルの協議となり、つまり今回の会談は非常に重要な意味を持っていると考えられ、というのもここで決裂すれば、テスラの計画の一部が頓挫してしまうから。
参考までに、テスラは「年間2000万台」の生産を目標としていますが(2023年の最終着地は190万台くらいだろうと言われている)、この2000万台の達成に不可欠なのが「安価なEV」「もっと多くの工場」。
一つの工場には生産能力の限界があり、1工場あたり平均して50万台くらいが生産能力のピークだと仮定すると、2000万台を達成するには「40もの」工場が必要であり、しかし仮に工場を40拠点建設しても、作った分が売れるという需要がなければ在庫の山となってしまいます。
テスラはかねてより(販売を伸ばすに際して)価格が最も重要な要素だと捉えていて、低価格を実現するにはなにより安価に製造ができる(土地と人件費が安い)国や地域へと工場を建設する必要があり、よってその第一歩としてインドは「欠かせない立地」。
つまり人件費と土地が(地域によっては)安価であり、世界第二位の人口を持ち、かつ世界で3番めの自動車市場であることから「製造と販売を有利に進めることができる可能性」が大きいとも考えられます。
一方で、いかに自動車販売台数が多いといえど、インドでは低価格車がシェアの多くを占めていて、価格の高いEVは全体の2%しか売れていないという統計もあり、インドに工場を作ることとインド市場をテスラが開拓できるということがイコールではないのもまた事実。
しかしつい最近、「インドがiPhone販売において世界で5番目の市場になった」とも報じられたことでわかるとおり、価格が高くてもいいものを手に入れようとする意識が高い国民性をがあることも間違いなく、そして「テック製品大好き」な市場だけあって、現地の所得水準に比較して高額なテスラ車であっても、アップル製品同様に「常識に当てはまらない」売れ方をするのかもしれません(アップルとテスラは色々な部分で共通している)。
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参照:Reuters