| 現時点でルシードは「1台販売するごとに5750万円を失っている」状態だが
なんとか販売台数を増加させて開発費を回収せねばならない
さて、米新興EVメーカー、ルシード(ルーシッド)が”エアー”に次ぐ2番目のピュアエレクトリックカー「グラビティ」を発表。
ルシードそのものが「テスラを去った社員」が設立されたものだと言われていますが、そのラインアップもモデルSU7やモデルXをターゲットとしたもので、しかしルシード自身、「テスラは高級車ではないが、我々の製品は高級車である」ともコメントしています。
つまりは「高級であること」をテスラとの差別化要因として掲げており、パフォーマンスやEV性能についても「テスラを超える」数値を持っているのがルシードのクルマである、というわけですね。
ルシード「グラビティ」はこんなクルマ
そこで今回発表されたルシード「グラビティ」を見てみると、フロントそしてリアのデザインも「エアー」を踏襲したもので、この共通性をもってブランド全体のプレゼンスを高めているものと思われます。
一方では「エアーと似すぎている」ために新鮮味はなく、さらにエアーと競合してしまう可能性もありそうで(テスラの場合、モデルXには、モデルSにはないファルコンドアがある)、エアーに勝る部分(エアーではなくてグラビティを選ぶ理由)はその積載量ということになるのかもしれません。
なお、エアーもまた現在入手可能なEVではトップクラスの航続距離を誇っているものの、このグラビティにおいても「満充電あたりの航続距離は440マイル(約708km)」だとアナウンスされており、これはテスラ・モデルXよりも100マイルほど長い距離。
出力については現在公開されておらず、しかしまずは600馬力程度のモデルが投入されると言われており、後には(エアー同様に)1,000馬力オーバーというスペックを持つトップレンジが投入される可能性も。
一方で900Vアーキテクチャと超高速充電機構を採用していること、これによって約15分で200マイルの航続距離を充電できることが明かされており、ルシード独自のバッテリー技術によって「バッテリーパックそのものは、いくつかの競合他社のバッテリーの半分のサイズに収まってる」ことにも言及済み。
そのほか、プラットフォームはSUV用の新設計、そして搭載されるのはルシード独自の「世界でもっとも出力密度が高い」とされるコンパクトなエレクトリックモーターであること、積載能力は680kg、牽引能力は2,722kgであること、スイッチひとつで車高を上げ、悪路での走破性を高めることも可能であることがアナウンスされています。
ルシード・グラビティはこんなインテリアを持っている
そしてルシード・グラビティのインテリアを見てみると、目を引くのは34インチサイズの曲面OLEDディスプレイ。
そのほかクイックアクセスタッチバーを備えたパイロットパネルもあります。 後部座席の乗客には専用のセンタースクリーンがあり、おそらく空調システムの温度設定を自分で制御するためのものと思われます。
さすがに「ラグジュアリー」を標榜するだけあってカラースキームは上品そのもので、高品質なレザーや(見るだけでそれとわかる)サステイナブルな素材を使用しているようですね。
シートレイアウトは5人乗り、6人乗り、7人乗りとなっており、ルシードによると3列シートの足元スペースは「驚くべき広さである」とも。
なお、ルシードは現在「1台売るごとに5750万円もの損失が発生している」とも言われていますが、販売台数の増加とともに投資を回収してゆくことが可能になるため、どこかの段階にて「儲かる会社」に転じるものと思われます(アメリカでは、リビアンとともに活動を続け、ニューモデルを発表している数少ない新興EVメーカーもである)。
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参照:Lucid Motors