まさかの992世代911ターボに「フラットノーズ」。ポルシェLOVEなデザイナーが930ターボ「スラントノーズキット」を現代の911上に再現

｜　もともとの911ターボ用スラント（フラット）ノーズは空気抵抗低減、もしくはフェラーリに対抗したルックスを持たせたかったからだとも言われている　｜

そしてそのオプション価格は信じられないほど高価であった

さて、現在自動車業界では100年に一度の変革期が訪れていると言われ、その流れの中でガソリンエンジンが失われようとしていますが、それ以外にも「電動式伸縮アンテナ」「ドラム式オドメーター」「CDチェンジャー」などの消え去った、もしくは消え去りつつある装備が存在します。

そして「ポップアップ式ヘッドライト（リトラクタブルヘッドライト）」もそのひとつであり、しかし最近では（フェラーリ・デイトナSP3はじめ）いくつかの市販車やコンセプトカーではリトラクタブルヘッドライトへのオマージュが見られ、にわかに復活の兆しも見られる今日このごろでもありますね。

最新のポルシェ911にリトラクタブルヘッドライト？

そして今回登場したのが992世代のポルシェ911にリトラクタブルヘッドライトをビルトインしたレンダリング。

これはポルシェ愛好家の間でカルトクラシックとなった、930ファミリーの特徴的なバリエーションである”911スラントノーズ（フラットノーズ）”へのオマージュです。

ヘッドライトの開閉方法としては「パカっと開く」オーソドックスなスタイルを採用しているようですね。

ポルシェは1980年代、930ターボに対し「スラントノーズパッケージ」を用意しており、この価格は新車価格の70％くらい（つまり、これを装着すると「車両価格が1.7倍になる）。

その大きな理由は「一旦完成した930ターボを分解してスラントノーズにするから」であり、つまり最初からスラントノーズとして組み立てられるわけではなく、カエル目の930ターボとして組み立てたのちにこのオプションが組み込まれるため。

なぜポルシェがそういった非効率的なことを行っていたのかはナゾですが、当時の工場では様々なバリエーションを作り分けるだけのキャパシティがなく、よって「後から分解してオプションを組み込む」方法を取っていたのだと思われます。

参考までに、この非効率的な方法は2000年代はじめまで採用されており、というのもぼくが新車でポルシェをオーダーしようとしたとき、カスタムカラーインテリアを選択しようとした際に「一旦通常の内装で製造したクルマの内装を（カーペットやダッシュボード含め）引っ剥がしてカスタム内装を再装着する」という説明を受けたため。※そして外したパーツを「もらえるのか」と聞いたところ「NO」だった

さすがに現在では様々な仕様のクルマをひとつのラインで作り分けることができるようになっているので「それまでのように」非効率的な製造方法は取っていませんが、こういった製造方法やカスタム仕様に対する捉え方もまた「消え去った」自動車文化のひとつなのかもしれません。

この「リトラクタブルヘッドライト」装着の911はとことん930ターボ「スラントノーズ」をオマージュ

そしてこのレンダリングでは、そのヘッドライト（カバー）形状のほか、フロントフェンダー上のルーバーまでをも再現。

ちなみに当時の930ターボ「スラントノーズ」はこう。

そして興味深いのはリアフェンダー上のエアインテークまでもが「スラントノーズ装着車」風となっていること。

ちなみにスラントノーズパッケージを装着すると、フェンダーにこういったダクトが付与されます（さらにオイルクーラーの位置が変更になり、フェンダーとタイヤがちょっとワイドになったようだ）。

そしてリアウイングのエッジもブラックに。

もちろんこれも当時のポルシェ930ターボへのオマージュですね。

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参照：glen.cordle