| 現在Eスクーター用バイクやEスクーター用バッテリーには(NYでは)安全基準が定められていない |
リチウムイオンバッテリーは「前触れなしに爆発」するために逃げ遅れる例も
さて、ニューヨークでは2023年だけで17人が「充電中のEバイクやEVスクーターの事故」で死亡しており、238件の火災が発生している、とのこと。
これは先週に発生した、3名が一度に亡くなるという事件とともにクローズアップされたもので、ブルックリンのクラウンハイツでこの火災では、アルバーサ・ウェスト、息子のマイケル・ウェスト、孫のジャミール・ウェストの3世代が死亡したと報じられています。
ニューヨークでは粗悪バッテリーによる火災が日常茶飯事に
ニューヨーク・タイムズ紙によれば「リチウムイオン電池は一般的な基準で製造されたものであれば安全であるが、EバイクやEスクーター用の、安価で規制のないバッテリーが、特にフードデリバリーはじめ配達員の間で急速に普及している」。
FDNY(ニューヨーク市消防局)のローラ・カヴァナー長官は「このような安全ではない機器によってニューヨーカーをこれ以上失わないために、私たちは全力を尽くす義務があります。今年、火災による死者は100人を超えようとしています。この数十年間には見られなかった異常な数字です」とコメントしています。
この「100人」の中にどれくらいのリチウムイオン電池が直接もしくは間接的に関与する事故が含まれているのかはわからないものの、先週には238件目の電動自転車に関連した火災が生じたと報じられており、その原因は「安価に製造された品質の低いバッテリーで、"危険な熱暴走 "を起こしやすい」ため。
さらに、これまで日本での報じられたように、バッテリーが発火する際、くすぶることなく(突如)爆発的な勢いで発火するたことに起因し、逃げるための時間が制限されることも問題視されています。
現在ニューヨークではリチウムイオンバッテリーに関する規制が導入
こういった火災を食い止めるため、州や市の議員たちは「安全で適切にテストされたEバイクやEスクーター用バッテリーだけが流通する」体制の構築に動いているといい、ニューヨークでは現在、正しい安全基準を満たしていない自転車の販売、リース、レンタルは違法とされているのだそう。
前出のローラ・カヴァナーNYFD長官は「このような違法デバイスを今日まで販売し続けているオンライン小売業者と、この問題が自ずと解決すると考え続けている食品配達アプリ運営業者の両方が、この民間業界の手を血で汚している」と手厳しく批判していますが、現在は「安全でないEバイクから、より安全な、企画を満たしているモデルに乗り換えるため、危険なEバイクの下取り制度を提供する団体」までが登場しており、事態は急速に改善されつつあるのかもしれません。
なお、日本だとそれほどEバイクのバイクやEスクーターの火災は聞かないように思われ、しかし規制の緩和によって大量に溢れた(合法なものに加えて違法な)EバイクやEバイクやスクーターユーザーの中には道交法を全く守らないものも見られ、火災よりも使用方法による危険性のほうが高いのでは、と感じることも。
そう考えると「ニューヨークでは、ちゃんと交通法規を守って皆がEバイクやEスクーターを使用しているのか」がちょっと気になります。
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参照:Jalopnik