| 「台数」を重視するテスラが生産台数を意図的に抑えるとは思えないが、EVの需要が弱くなっていると言われる今、利益重視政策に転換したとも考えられる |
いずれにせよ、イーロン・マスクCEOの戦略は一般人の理解のはるか上を行っている
さて、テスラはサイバートラックの納車を開始したものの、その価格は当初約束していたよりもずっと高く、そして200万台と言われる予約数に比較すると生産台数も非常に少なく(生産が軌道に乗ったとしても年産25万台程度)、よってテスラ自身も「業績に大きなインパクトを与えることはないだろう」とコメントしているほど。
しかし今回、米ビジネス系メディアがそういった状況につき「テスラが意図的に作り上げたものである」と指摘しており、いったいどういったことなのかを見てみたいと思います。
-
テスラ・サイバートラックついに納車開始。最廉価グレードで邦貨換算902万円~、日本の公式サイトでも情報が公開に
| ただしサイバートラックの全長は5.7メートル、日本で使用するにはあまりも大きすぎるかも | おなじみ対生化学兵器にも対応、そしてステアバイワイヤを採用 さて、テスラが2019年11月21日の発表か ...
続きを見る
テスラはフェラーリやアップルと同じ戦略を?
今回その指摘を行っているのは米ビジネスインサイダーで、それによると「テスラはフェラーリやアップルと同じ手法を用いている」。
どういうことかというと、(アップルの場合は結果的にそうなったとして)フェラーリは意図的にその生産台数を「需要よりも少なく制限」することで市場の飢餓感を煽り、これによって「高い価格で長い期間に渡りその製品を販売できる状況を作り出して」いることが知られますが、テスラもまた意図的にサイバートラックの生産を絞ることで「欲しくても手に入らない」という状況を再現しようとしている、というわけですね。
そしてアップルについては「iPhone X」発売の際の現象を引き合いに出していて、高い機能を持つがゆえに高価になってしまい、さらには使用される技術レベルも高かったために生産が追いつかずに品薄になったこと、それが結果的にハングリーマーケットを形成し「iPhone Xは高価だが、手に入れることが難しい」「容易に生産できないほど高度な技術が盛り込まれた製品である」という印象を消費者に与え、それがアップルにとって「高価な製品が受け入れられるきっかけになった」のだと説明しています。
こういった状況は現在のサイバートラックの事情に酷似していて、イーロン・マスクCEOはサイバートラックについて度々「製造が非常に難しい」と述べ、そこには高度な技術が使用されていることにも言及し、「開発が困難を極めたことについては「墓穴を掘った」という自虐コメントを発しています。
-
テスラ・サイバートラックの納車開始日が11月30日に決定。ただしイーロン・マスクCEOは「開発や製造があまりに難しく、自ら墓穴を掘った」と自虐
| それでもついに、2019年11月からサイバートラックの納車を待ち焦がれていた人々に朗報が訪れる | 一方でサイバートラックのサイズ、スペック、価格はまだ公開されていない さて、テスラが2023年第 ...
続きを見る
実際のところ、これらの一連の言動によって、市場は「サイバートラックの製造に使用される技術は当初考えられていたよりもずっと高いレベルにある」「高くなっても仕方がない」「生産台数が非常に限られている」といった認識を持つことになったと言ってよく、これらすべてが「イーロン・マスクCEOが、サイバートラックの価値を高めるために計画的に行ったもの」なのでは、というのがビジネスインサイダーの見立てです。
これについては、ちょっと飛躍した推論であるようにも思えるものの、今まで消費者や評論家にカーメディア、アナリストまでもがイーロン・マスクCEOに翻弄され、ある意味では利用されてきただけに、「もしかすると本当にそうなのかもしれない」という気もしてきますね。
合わせて読みたい、テスラ・サイバートラック関連投稿
-
テスラ・サイバートラックの受注台数は190万台?仮に生産がピークに達してもすべて納車するには5年が必要、テスラがどう動くかに注目が集まる
| テスラは生産台数を非常に重要視しているが | サイバートラックが実際にどれだけ「売れるか」は誰にもわからない さて、第三者がネット上のツールを駆使して調査を行ったところ、テスラ・サイバートラックの ...
続きを見る
-
ウォール街の重鎮がテスラに対して強気の予測。「サイバートラックが路上に出れば、走る広告塔となってハロー効果を生み出す。発表時に株価が7倍になったことを思い出すといい」
| たしかにボクもサイバートラックはテスラの行方を大きく変えることになるだろうと考えている | さらにはこのクルマが街の風景を一変させてしまうだろう さて、テスラはサイバートラックのパイロット生産を開 ...
続きを見る
-
サイバートラックの初期デザインとムードボードが公開される。インスピレーション元は「ロボコップ」「デロリアン」「サイバーパンク2077」「ブレードランナー」など
| テスラ・サイバートラックは間違いなく自動車史に残るクルマとして後世に語り継がれることになるだろう | まさかこんなクルマが登場しようとは、誰もが想像できなかった さて、イーロン・マスクの伝記本作家 ...
続きを見る