| 現時点ではどの程度まで開発が進んでいるのかはわからないが、「全固体電池」「E-4ORCE」が今後の日産の核となるのは間違いない |
そして新型R36 GT-Rはパフォーマンス面のみではなく、日産のイメージや未来を牽引するイメージリーダーとして登場するだろう
さて、日産は昨年10月に開催されたジャパンモビリティショーにて「ハイパーフォースコンセプト」を公開していますが、プログラムデザインディレクターを務めるジョバニー・アロバ氏によれば、「このハイパーフォースコンセプトは、単に空想に基づいただけのコンセプトカーではない」とのこと。
つまりはある程度の現実性をもって考えられたクルマということになり、同氏によれば「この2020年代の終わりまでに達成すべき、大胆ではあるが具体的な夢」。
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さらにジョバニー・アロバ氏は上述のように「その形状、プロポーション、スタンスは純粋な空想に基づいたものではない」こと、ハイパーフォースコンセプト発表後に日産が様々な方面から受け取ったフィードバックについてはさまざまなものがあり、「GT-Rには内燃エンジンを搭載すべきだという意見があり、一方ではピュアエレクトリック・セットアップにかなり肯定的な人々も存在する」ことについて言及しています。
このハイパーフォースコンセプトは「最適な重量バランスにて配置された全固体電池(ソリッドステートバッテリー)」はじめ高出力エレクトリックモーター(最大出力1,000kW=1,341馬力)、日産が得意とする4輪駆動システム”e-4ORCE”、カーボンファイバーを多用した軽量な車体、強烈なダウンフォースを生み出すエアロパッケージ」といった特徴を持ちますが、今回の発言では、これが”2030年までに量産モデルに進化する可能性がある”ことが示唆されていると捉えていいのかもしれません。
現行GT-Rは2001年に発表された「スカイラインGT-Rコンセプト」にルーツを持ち、R35”GT-R”として2007年に発表されており、現在の自動車市場、とくにスポーツカーとしては最長寿の部類に入るものの、2023年に実施したフェイスリフト(マイナーチェンジ)を期に北米では販売が584%も増加するなど、依然高い注目度を誇るのものまた事実。
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それでもその設計の古さに起因し、一部の国や地域においては規制や法規に合致せず、よって「やむなく」市場から撤退するケースも報じられており、フルモデルチェンジの必要性に迫られていることは間違いないかと思われます。
次期GT-Rはどんなクルマに?
次期GT-Rについてはいくつか情報が出ており、2019年頃にはなんらかの動きがあったと言われるものの、その後にカルロス・ゴーン問題が勃発するにあたって一旦計画が白紙に戻ったという情報も(もちろん計画が白紙となった要因はこれだけではなく、当時世界中において規制が急激に変化しており、ガソリン車の存続可能性が低くなったことも大きく関係しているものと思われる)。
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しかしながらその後日産が「ソリッドステートバッテリー」「E-4ORCE」といったコア技術を定めるに際してGT-Rもこれらを採用する”フラッグシップ”としてデビューすることが定められたように見え、ここからはまた様々な情報が出てくることとなっているわけですね。
最近のものだと、日産グローバルプロダクトの責任者であるイワン・エスピノーサ氏が「全固体電池(ソリッドステートバッテリー)が成熟するのを待ってピュアエレクトリック版GT-Rを発売する計画」だと語り、さらにはデュアルモーターセットアップを持つハイパーフォースコンセプトをさらに進化させ、「新型R36 GT-Rにはに3つ目、さらには4つ目のモーターを詰め込む可能性」に触れており、さらには「軽量化のためにバッテリーを小型化した、より軽量でスパルタンなニスモバージョン」の可能性についても触れています。
現在日産はソリッドステートバッテリーの実用化を急いでおり、予定通りに進めばトヨタやBMWと並び数年内には実際に全固体電池を積んだEVを発売する可能性が報じられており、よって「新型GT-Rはソリッドステートバッテリーを積んで登場」というのも具体性のある話なのかもしれません。※ソリッドステートバッテリーを使用するには全く新しいプラットフォームの設計が必要になるため、この場合だと新型GT-Rは既存モデルと一切のつながりを持たないクルマとなるのかも
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さらにはE-4ORCE技術についても様々な方法でアピールされており、市販車のみではなく月面探査車など「地球外にも」進出させる意向を持っており、こういった日産の方向性を見る限り、次期GT-Rは単なる「パフォーマンス面の頂点」としてではなく、日産の持つ技術、そしてその未来を示唆するイメージリーダーとしての役割も果たすことになりそうですね。
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参照:Autocar